2005年8月7日 ZERO-ONE MAX
「火祭り」後楽園ホール大会観戦記 |
観衆:1680人
今宵の舞台は後楽園ホール、ZERO1-MAXの大会であります。
以前から好評を得ている火祭りなのですが、一度観戦しておきたいという気になりました。
どうやら熱さが売りのようです。暑い中、熱いお茶を飲むのも涼を得る一つの手段。
この猛暑の中、試合では熱く、試合後には心身共に涼しい思いをさせて欲しいと言った所。会場に入るとリングカラーは黄色、鉄柵は無しで北側にはビジョンが設置されています。
試合が始まるまでには、これまでの火祭りリーグ戦の試合経過を簡単にダイジェストで放送。リングアナの説明ではリーグ戦で同点となった選手が出た場合、それが2人なら
決勝進出者決定戦、3人なら3way、4人なら4way、5人なら5wayで
決定戦を行うようです。果たしてどうなるもんでしょ?
会場は満員で早くも熱気に包まれている状態、照明が暗転して試合開始!
第1試合 Aブロック公式戦 池田○対●安田池田は大剣を持って入場。安田はウルフルズの「貸した金返せよ」を前奏にいつもの入場テーマで入場。
安田はガウンを着ている池田に奇襲攻撃。池田もすかさず反撃して一旦仕切り直しへ。
南側からの「安田頑張れー!」の声に反応して「おう!任せておけ!」と返す安田、会場から笑いが漏れます。
そして間もなく池田は大ちゃんボンバーを安田にお見舞い。しかし安田は効いている素振りを見せない。
安田の張り手と池田のエルボー合戦へ、体格差故か打撃合戦は安田が若干有利だったでしょうか。池田は大ちゃんボンバー3連発→筋肉バスターの必殺コンボを発動しますが、安田はカウント2でクリア。
一瞬の隙を付いて安田は池田に急所攻撃、池田は悶絶して場外にエスケープ。
リングを背にした状態で安田は場外パワーボムを狙います。しかし持ち上がった状態から
池田はロープにしがみつきリングイン。そのまま安田を蹴ってリングアウト勝ちを奪い取りました。池田(4点) 安田(4点)
第2試合 Aブロック公式戦 大谷○対●佐藤2人共現時点では3点、この試合の勝者が決勝進出となります。佐藤は持ち前のキック攻撃で
大谷の左足に照準を絞ります。攻められると大谷も非常に苦しそう、リーグ戦中に怪我でもしたのでしょうか?
やられてばかりもいられない大谷はファンに「優勝は俺じゃなきゃダメなんだ」とアピール、
そして熱が今一つ入り切っていなかった観客に顔面ウォッシュを繰り出す事で一気に会場を温めます。左足を攻められると動きが止まってしまう大谷、佐藤の足4の字を喰らう場面になると会場からは大谷コールが発生。
観客も今回の火祭りは大谷に優勝して欲しいと言う思いが強かったのかも知れませんね。
佐藤は続けてダイビングニードロップを大谷の膝へ、観客からは悲鳴と溜め息が漏れる。大谷はニールキック、投げ捨てドラゴンで反撃に転じますが、佐藤も雪崩式裏投げ、ジャーマンSP、ドラゴンSPと
得意技で大谷をギリギリまで追いつめますが、大谷はカウント2でクリア。場内大いに沸きます。
佐藤の二度目のジャーマンを後方回転でかわした大谷は、逆襲のニールキック、ミサイルキック、スパイラルボムと
必殺フルコースを繰り出します。佐藤は何とかカウント2でクリアしますが大谷の
キングコブラホールドに敢えなくギブアップ。形勢が2転3転する中々良い試合でした。大谷(5点) 佐藤(3点)
これによりAブロックからは大谷が決勝進出決定!
第3試合 Bブロック公式戦 健介○対●崔決勝戦濃厚な健介と可能性がほとんど0の崔の対決。ゴングと同時に崔は健介にニーリフト。
健介の右腕にミドルキック、腕ひしぎなど、どうやら右腕に照準を絞っていた様子でした。
崔は以前見た時よりも、キックのキレが中々良くなってますね。ただ線が細いのが気になる所。一度場外にエスケープして一呼吸を置いた健介が逆水平で反撃に転じますが、その一発一発に
崔は後ずさりをしてしまう状況になります。線も細さがこういう場面で仇となっている感じ。
崔も気合いで打撃を返しますが、健介のチョップで胸板がみるみる赤く染まります。キレの良いミドルキックを連打する崔ですが、相変わらず健介の重いチョップ、張り手、フェースバスターの前に
余力を奪われます。最後は健介の助走付きのラリアットに後頭部を強打。成す術無く敗北。でも良い気合いでした。健介(6点) 崔(2点)
第4試合 Bブロック公式戦 大森●対○横井大森はTシャツを着たまま横井を急襲。いきなりダイビングニードロップを放つ。
そしてアックスボンバーを撃つアピールをしますが、かわされてジャーマンを喰らいます。
そのまま場外戦へと移行。東側の壁に横井を打ち付ける大森ですが、またもや横井にアックスボンバーを
かわされ、壁に腕を叩き付ける始末。試合の進め方が少々荒いです。カウント20ギリギリまで場外の攻防は続きます。
大森はアックスギロチンドライバーでリングアウト勝ちを狙いますが、敢えなく返される。
両者とも何とか20カウント以内にリングイン。一番ホッとしたのは観客です。大森はニールキック、アックスギロチンと大技を決めますが一瞬の隙を突かれ、
横井のスピニングチョークに捕獲されます。何とか耐えていた大森も耐えきれずにタップ。大森(4点) 横井(4点)
この結果からBブロックからは健介が決勝戦へ。決勝は大谷対健介に決定!
第5試合 田中、神風●対バンビ・キラー、○アレックス・シェリーちなみに火祭りに参加していた田中、バンビも4点です。人知れず決勝進出を逃しています。
外人選手達は中々のテクニシャンと言った感じに見受けられました。神風はテングカイザーですよね?序盤はプロレスムーブ、中盤もそれなりの攻防とだったと思いますが、あまり印象に残らない程度のものでした。
終盤、神風がムーンサルト、田中のスーパーフライ、神風の垂直落下ブレンバスターと
必殺技をコンボで叩きこみますが、アレックスはカウント2でクリア。決まったと思った観客も驚きです。
更に神風は中途半端なファイヤーバードを放ちますが、これはバンビにカットされます。
勝機を逸した神風が一瞬の油断からか、アレックスの変形型のクラッチにピンフォール負けです。
第6試合 佐々木○対●不動Jr同士の対決。佐々木は線が細いのに対して、不動は結構体格が良いです。
試合開始直後の打撃合戦では不動が有利にも見えましたが、佐々木も気迫を漲らせ五分の展開。中盤、不動はブルドッキング・ヘッドロック、佐々木はジャーマンと大技を絡ませながらも
一進一退の攻防を繰り広げます。そんな中、エプロンに立つ佐々木を不動がリング内へ垂直落下BB!
あまりの危険な落とし方に会場は一瞬凍り付きます。リングアナの沖田もリング真横に駆け寄る程の衝撃。
それでも佐々木はそれ程のダメージを負った素振りも見せずに試合を続行。終盤、勝負に出た佐々木はトップロープに登った不動を捕獲、デスバレーボムのように抱え上げて
そのまま雪崩式のみちのくドライバーを放つも不動はそれをカウント1でクリア。会場からも歓声が飛び交います。
しかし佐々木は粘る不動を必殺のアルゼンチン・コースターで撃沈。勝利後はベルトをアピールしていました。良く言えばスピーディ、悪く言えばバタバタしているなって言った試合でした。
佐々木はもう少し動きに緩急を付けた方が良いですね。必殺技の前に一拍置いたりと、
観客がレスラーの技に気持ちを込める間を作るべき。魅せるという意識を少し強めた方が良いかと。
第7試合 日高、藤田、中嶋○対高岩、村浜、●浪口とても豪華な6メンタッグマッチ。試合前には中嶋と浪口をエリートと雑草の対決と位置づけます。
生前の橋本が映るシーンもあったので、ある意味サービスのようにも感じました。試合開始、高岩と中嶋が先発。打撃で高岩と張り合う中嶋、それに対して高岩を一発のラリアットで中嶋を
吹っ飛ばす、中嶋はモロに後頭部を強打。試合権利は高岩から浪口へ。しかし中嶋は重い蹴りで
浪口を圧倒。この序盤の一幕でも中嶋と浪口にはかなりの力量差がある事が伺い知れます。中盤、6選手が入り乱れる展開。日高と高岩の高度な攻防、日高は場外に転落しそうになった所を
ロープを掴んで上手くリングイン、高岩を場外へ追いやりプランチャを放つも高岩は日高をキャッチ。
すかさず藤田が追撃する形で日高の背中に向かってトペ、さしもの高岩も吹き飛んでしまう。
続けて場外の中嶋へ浪口がプランチャ、それをキックで迎撃する中嶋ですが間髪入れずに
突っ込んできた村浜のトペはまともに喰らってしまう。目まぐるしい攻防に場内、大いに沸きます。終盤、勝負は中嶋と浪口に委ねられる事に。高岩と村浜のフォローを受けた浪口は万全の体勢で
ジャーマンを見舞います。しかしカウントは2、追撃する為にロープに走る浪口ですが、
待っていたのは中嶋の会心の右ハイキック、更に強烈な後ろ回し蹴りに形勢は一気に逆転。
今度は中嶋が浪口にジャーマン。その高さと言い角度と言い文句の付けようがない見事なブリッジ。
同じ技でも格の違いを見せつけられ、浪口無念の敗北。その差はかなりあるように見えました。
第8試合 大谷○対●健介いよいよ火祭り決勝戦。会場の室温も急上昇です。
先に入場したのは大谷、ZERO1ファンの期待を一身に背負う。
対する健介は前奏に「TAKE A DREAM」を流したいつものテーマ曲で入場。
大一番用の入場曲として今後も使っていけば良いと思います。
入場する健介をリング中央で座して待つ大谷、両者の気迫もしっかり観客に伝わったでしょう。そして試合開始のゴング、しばらく両者一歩も動きませんでしたが
健介はショルダータックル、大谷はバックドロップを挨拶がわりにお見舞い。
大谷は健介の右腕攻め、逆に健介は大谷の左膝攻めで序盤戦が展開されていきます。健介に打撃合戦を仕掛ける大谷は健介をコーナーでダウンさせると
観客からの大声援付きの顔面ウォッシュへ。観客の「もう一丁!」と言う声が
聞こえたのか、再度顔面ウォッシュを放ちます。観客のノリも最高潮!
しかし反撃に転じる健介はエプロンに立っている大谷へ背後から左足へマッケンロー、
更にダイビングエルボードロップをまたも大谷の左膝へ。
苦悶の表情を浮かべる大谷に会場からは大谷コールが発生。尚も健介は会場がどよめく程の左右のハンマーパンチで大谷を攻めます。
しかし大谷も健介がラリアットに来た所をカウンターのキック、
ダイビング二ーアタックを健介の右腕へ、更に腕ひしぎで追撃。
互いに相手の負傷箇所を消耗させて行く形で中盤戦が過ぎていきました。試合は終盤戦へ。健介は逆一本背負い、大谷は投げ捨てドラゴンを打ち合う。
互いに脳天から叩き付け合うような危険な角度、それでも試合はまだまだ終わりません。
健介は胸板、後頭部、喉元の逆水平チョップ3連弾でフォールに行くもカウントは2。
勝負を決めにきた健介はロープに走ってラリアットを狙いますが
大谷はカウンターの袈裟切りチョップ!右腕に破壊王の魂を宿らせたかのような一撃。しかし健介はド迫力のラリアット。大谷はカウント2で返す。ならばとノーザンライトボムへ。
試合後
大谷は空中で身体を必死に揺らしますが、持ち堪えた健介は会心の一撃を放つ。
健介、万全なフォールの体勢に入りますが、大谷は何とかこの危機を脱します。
ここまで来るとファンの声援が物凄い。今日何度目かも分からない大谷コール。
声援に後押しされた大谷は袈裟切りチョップで息を吹き返すと、今度は自身の技を畳みかける
そして全身全霊を込めた完璧とも言える飛竜原爆固めへ。健介から念願の3カウントを奪取。
会場大盛り上がりの中、火祭り2005は大谷が優勝となりました。
健闘を讃え合う大谷と健介。しばらく正座で見つめ合った後に互いに土下座。
後楽園ホールの満員の観客からは拍手喝采です。良い光景です。
そして火祭り刀が大谷の元へ。やはりこの刀は大谷に一番よく似合いますね。大谷はマイクでZERO1MAXファンに心からの感謝の意を述べます。
更に抱き合った際に健介から言われた「橋本の為に頑張れ」という言葉に対して
「健介さん、そんなの言われなくても分かってますから!」とリング下の健介にマイク。
会場からも笑いが込み上げ、健介にもどこか照れたような素振りが垣間見えました。大谷はリング下に集っていた火祭り参加者をリング上に誘います。
安田がいない事に気付いた観客からは大「安田コール」。しかし大谷が言うには
「安田さんはコールされると逆に来れない人だからw」だそうで、安田は不在のまま進行。観客に火祭りの熱さを問いかける大谷。声援で応える観客。
この選手と観客の一帯感は他団体にはないZERO1の魅力とも言えそうですね。
そしてお約束なのかプロレスの教科書の唱和へ。では何となくで良いのでご想像下さい。
(*「」の台詞が大谷、『』が観客、()が復唱しながらの自分の心中語です。)
「どんな事があろうと!」『どんな事があろうと!』(これ毎回やってるのかなぁ?)「どんな障害があろうと!」『どんな障害があろうと!』(うんうん...。)
「どんな邪魔が入ろうと!」『どんな邪魔が入ろうと!』(いや、↑と被ってるよw)
「どんな意地悪されようと!」『どんな意地悪されようと!』(..コレってもしかして....。)
「負けてたまるか!!」『負けてたまるか!!』(プロレスの教科書、全く無関係ーーーー!!!ww)
まあ皆楽しそうだから良かったですよ。まあこんな感じで単なる決意表明が終了です。
プロレスの教科書の復唱が終わると、途端に大谷のテーマが鳴り響く。
大谷が慌てて「もうちょっと喋らせろよ!」とテーマ曲を止めます。
そして隣にいた健介にマイクを渡すと会場からも大声援。
健介は「急にマイク持たされても口ベタなの知ってるだろ?」と困惑した様子。
しかし「火祭りに出させてもらって、この参加選手の熱い気持ちがオレの心に
染みこんでいます。ZERO1−MAXのファン一人一人の愛する気持ちが選手たちに
伝わっている。この体が動く限り、大谷、一緒に戦っていこうぜ」とマイク。
一体この男はどこが口ベタなのでしょうかね。そしてマイクは再び大谷へ。「あんまり名前を出したくないけど、橋本さん!ZERO1は俺らに任せろ!」と絶叫。
そして締めのZERO1コールへ!しかし若干一名(健介)このコールの
やり方が分からないので練習へ。見よう見まねで大谷にやり方を教わる健介。
一人では心細くなったのかリング下にいた中嶋を招き寄せる。
今度は健介が中嶋にZERO1コールを伝授。何となくコソコソと練習しているのが可愛いwようやく本番!興行の満足感を込めた人のいれば橋本への悲しさを込めた人もいるでしょう。
会場に詰めかけたファンが、それぞれの思いを込めた締めのコールへ。
「3〜!2〜!1〜!ZERO1ーーーー!!!ウゥ〜〜〜〜〜 M A X !!!!!!!!!!」
感想観客は満員。でも立ち見を開放して欲しかったです。
久しぶりのZERO1観戦となりましたが、ファンに温かみがありますね。
そういうファンを捕えているのは良い事です。でもJrの選手は良いとしても
ヘビーの選手に物足りなさを感じます。前半の試合も私的に今一つな面もあり
セミ、メイン、試合後で満たされたかな?という興行でした。
逆に試合後にも見せ場があると言うのは立派な長所でございますが。
大谷のような志が全選手にあれば、しっかりやって行ける事でしょう。今後に期待です。