2004年5月14日(土) 新日本プロレス
「NEXESS」東京ドーム大会観戦記

投稿者:KEIさん

観衆:35000人


 5時30分頃、水道橋駅付近に到着。水道橋駅からは大量の人達が
ドームの方向に移動しております。この分だと当日券売り場で並ぶハメに
なりそうなので、某券売所を訪れる事にしました。

 エレベーターでビルの7階へ。この券売所には遵守しなければいけない
「掟」が存在します。よって慎重に事を運ばなければいけない。
カウンターへ行くと自分は運良く「新日本プロレスドームのチケットはありません」
という張り紙をショーケース上に確認する事ができました。
しかし、自分と一緒にエレベーターに乗っていた男性が「ドームのチケットありますか?」
などど「掟破り」を敢行。すかさず、店主からは「意味わかんねぇよ!」
続けて「もう〜、何なんだよ〜。書いてあるだろ〜!!」と怒りの応対..。
ダメなんですよ、まず問いかけてから月日・団体名・席種・枚数を順序良く
伝えなくては!ここでは客ではなく店主が神なのです。
以上、極少数の方にしか理解できないネタ話でした。

 仕方なくドームの券売所に移ると、まあまあ人が並んでいた訳ですが3000円の
チケットを無事入手。時間もないので素早く開場入り。
二階席から見渡してみると流石にガラガラの状態、ここからどれだけ観客が増えるか..。

 それでは早速試合の方へ!



  第1試合 吉江、西村●対矢野○、真壁

 オープニングマッチという事ですが、あまりテーマのない試合です。テーマがない故に
良い試合を見せて欲しかった訳ですが「通路の階段を何度も往復する売り子さんは大変だなぁ」と
不覚にもよそ見している間に西村が3カウント取られてました..。ラリアットだったのかな?
4選手とも本領を発揮する事なく5分そこらで試合終了。観客からは当然「えぇ〜〜!!」の声。
西村って稀にこういう負け方ありますよね。特に感想無しです。



  第2試合 鈴木みのる○対アレクサンダー大塚●

 双方とも同様の歌詞付きの入場曲です。アレクの入場曲も私的には良い曲。
しかし浸透しているのはみのるの「風になれ」の方でしょうかね。

 試合開始直後はレスリングムーブ。しばらくしてアレクがみのるをロープブレイクに追いつめると
頭をナデナデします。不機嫌になったみのるはタックルに来たアレクを押さえ付け
蹴りや膝を打ちこむ。アレク一気に意気消沈、挑発しておいてソレかw

 アレクはジャーマン2連発などで攻勢に出るも、みのるのスリーパーに捕えられる。
そのまま立った状態になると、みのる必殺の笑い付きゴッチ式パイルドライバーで勝負あり。
アレクはジャーマンは良かったけど、少々脆いかな。


  第3試合 [王者組]井上、金本●対[挑戦者組]後藤○、稔

 結構期待していた試合です。後半の試合よりも安定度が高いかなとも思ってましたが、さあどうなるもんでしょう。
試合序盤、後藤が劣勢に立たされる状態が続きます。後藤はまだYLなのでこの4選手の中では
2、3枚落ちる選手でしょうか。一方、後藤を圧倒する金本は相変わらずの会場人気です。

 試合中盤、後藤はバックドロップやジャーマンで会場を沸かせますが、どうにも優勢に転じられません。
一方、金本はファルコンアロー、アンクルホールドでその後藤を追いつめますが、後藤は何とか粘ります。
その最中花道では井上が稔の垂直落下(?)BBを喰らい戦線離脱。ここから2対1の状況。
金本は1人で2人を相手にしますが、田中のハイキック2連発→後藤の勢いを付けた前方回転エビ固めにまさかの3カウント。
 
 う〜む、もっと良い試合ができたと思いますがね。金本はいつもの動きで会場を盛り上げていましたが、
井上、稔には大した見せ場はなかったように思えます。後藤はまだまだ打たれ弱い。
この王者チームは評価が高かったのに意外な陥落の仕方です、少し勿体ない気もするなぁ。


  第4試合 [王者]タイガーマスク○対[挑戦者]ブラック・タイガー●

 このブラックタイガーはツームストンパイルドライバーを売りにしているようで、この試合のキーポイントになりそうです。
試合中盤までは普通の試合展開。ブラックは持ち技を披露し、タイガーは持ち前のタイガームーブを
小出しにする程度と言った所でしょうか。場外戦においては、タイガーはツームストンを受けたり、
リングインを阻止されたりと、会場に嫌な予感を巻き散らす20カウントギリギリの攻防が繰り広げられました。
しかし最後はブラックの旋回式ヘッドシザースを捕えてお返しのツームストン→タイガースープレックスの
必殺コンボでタイガーが勝利。試合後はブラックがタイガーのマスクを剥ぎ取り、to be contenuedで幕引き。

 ここまでの4試合は良く言えばテンポがイイ、悪く言えば薄っぺらくてアッサリし過ぎと言う感じです。
  第5試合 永田○対高阪●

 自分が今大会で最も注目していた試合です。青い正義・永田は大会前に高阪の練習場を訪問して
胡蝶蘭をプレゼントしました。ちなみに調べてみますと胡蝶蘭の花言葉は......

「幸福が飛んで来る」 なるほどぉ、対戦相手の幸福を願うなんて素晴しい!できた人間性です!

「清純」 これは相手を褒めているのか、もしくはそういう心意気で試合に臨む覚悟を示しているのでしょうか!

「あなたを愛しています」 ...........、流石は青い謀略家・永田です。試合前に精神戦で優位に立とうとするとは!

皆さんもどうしても勝ちたい相手には永田同様、胡蝶蘭を贈ってみては如何でしょう?
ただし、贈った相手が花言葉に詳しい人物でなければ意味はないですがねw

 試合開始前、柴田&村上がビジョンに映し出されます。今後はW1とリンクして行くつもりなのかな。
旗揚げ前から他力に頼ろうとするのは、いささか問題有りな気もしますが。

 さて試合開始、高阪の手首を取ってロープに押し込む永田。そのまま不意を突くニールキック→
フロントSPの先制コンボ。続けてトップロープに登って追撃の体勢に入りますが高阪は緊急回避。
そして高阪の一本背負いからしばらくグラウンドの攻防が続きます。
高阪は腕ひしぎ→三角絞めなどで永田を攻め立てます。高阪の絞め技が極まりそうになる度に
会場がざわめくのも印象的。高阪の力量がファンの間にも浸透しつつある事を実感できます。

試合終盤、高阪の再三、再四の胴絞めスリーパーをかろうじて凌ぐ永田。
しかしフロントネックロックの体勢に入った所をエクスプロイダー、続けて投げ捨てドラゴンSPで反撃。
いづれも2カウントで返した高阪でしたが最後は高速急角度のバックドロップホールドに撃沈!

 試合後、永田が「山本!見てないで上がって来いや!」とマイク。リングに上がる山本。
「おまえは自分の意志で新日のリングに来たのか?それとも誰かの差し金で来たのか?」と永田が話すと、
「ガタガタうるせーんだよ!」と山本が反論。続けて「永田、お前はミルコに1分、ヒョードルに1分、
合わせて2分....」と永田の古傷に塩・山葵・タバスコ・唐辛子を練り込むような発言!!

山本〜〜〜〜!!てめぇの血は何色だ〜〜〜〜〜!!!!!!(南斗水鳥拳の使い手風)人間か所業か!?

 しかしマイクを取らず、素の声で「来いオラァ!」と大人しく言い放つだけの永田は流石です!
相手がどんな失礼な事を言って来ても温厚+寛大な対応。念のために言っておきますが
本当に痛い所を突かれて言い返せなかった訳ではなく、敢えて言い返さなかっただけ、きっとそうだ。
強いて挙げるならこの試合が本日の私的ベストバウトです。


  第6試合  武藤○対ウォーターマン●

 武藤が入場すると会場も尚更に活気づきます。やはりこの男にはそういう華があります。
試合序盤、武藤はエルボードロップや相手の攻撃を前転で交わしてドロップキックなど定番ムーブで観客を沸かせます。
対するウォーターマンはリフトアップスラムやカナディアンバックブリーカーなど得意なパワー攻撃で武藤を攻める。
しかし、それが仇となって目に見えてスタミナを消費しつつあるウォーターマン。
攻め疲れを待っていたかのような武藤は低空ドロップキック&ドラゴンスクリューの連発で
ウォーターマンを崩しに掛かります。更にテレビカメラへのパフォーマンス付きの4の字固めに移行。
観客が喜ぶと尚一層振り向いてカメラにアピール。しかし調子に乗り過ぎて4の字を反転させられる始末w

 反撃に転じるウォーターマンはスタミナのロスか、あるいは膝攻めが効いたのかパワーボムを失敗。
そのウォーターマンの失敗を取り消すかの如く武藤がSWで会場の空気を緩ませない。ここら辺は流石。
武藤はタイガードライバーを返すと、SWの連発で追いつめますが、ウォーターマンもカウント2でクリア。
しかし武藤のムーンサルトプレスで試合終了!最後はSWでも良かったと思いますが、
敢えてムーンサルトを出したのは武藤のファンサービスでしょうね。プロ意識の高さが伺えるシーンでした。
自分の中では結構な好試合、武藤の試合の組み立ての上手さが観客にも分かり易かったんじゃないかな。


  第7試合 [王者組]中邑○、棚橋対[挑戦者組]カシン●、中西

 挑戦者組のチーム名はワイルド・ソルジャーズ(以下WS)、お揃いのアーミーパンツで同時にリングイン。
王者組はそれぞれ別々にリングイン、二人とも見栄えイイですね。私的に棚橋は前の入場曲の方が好き。
 試合開始、中邑とカシンのプロレスムーブが繰り広げられます。両者共に動き良し。
しかし先に試合の主導権を得たのはWS側。カシンが相手の足を掴み中西が残りの片足をマッケンローで払う
正直微妙な合体技で観客を沸かせます。続けてカシンが羽交い締め、中西がダイビングチョップの
協力技を出しますが、これは誤爆。更に中西が羽交い締め、カシンがロープに助走→相手が避けて再度誤爆か!?
というシーンでカシン踏み止まる、と思いきや中西に張り手(会場笑)。
ドームのタイトル戦でやるべきかは置いといて、この同士討ちムーブがしっかり会場・試合を支配しつつあります。

 王者組も反撃していましたが、WSのキャラ、チームプレイの前に印象薄。せいぜいドラゴンSPとタイガーSPの
競演ぐらいしか良い所はなかったかなぁ。最後は中邑がカシンを腕ひしぎで破って辛勝の末に防衛。
 キャリアの差、若さ故の未熟さが露呈された試合でした。中邑は少し三角絞め出し過ぎ。
良い動きはできる筈だから、もっとリングを広く使った試合をした方が良いと思われます。


  第8試合 藤波○、三沢対蝶野、ライガー●

 7試合目が終わると、一際大きい声援が沸き起こります。会場の観客もこの試合に対しては期待が大きい模様。
入場はライガー、蝶野、藤波、三沢の順。三沢に敬意を払っているのが見て取れます。
やはり聞き慣れた、馴染みのある入場曲はそれだけで我々の高揚感を煽ります。
ただ今回は音量大き過ぎて鳴り響くはずの三沢コールが掻き消されてましたね。
まあ観客が少ないという事もあるんでしょうが新日には少し配慮して欲しかったです。

 ライガーと藤波が先発。藤波の見劣りのしないロープワークに観客も大声援。
そして試合権利は三沢と蝶野へ。蝶野はいきなりケンカキック2発→シャイニングケンカキックを放ち、
この試合は「接待」でない事が、しっかり観客にも伝わっていたと思います。
その後、三沢のエルボーにエルボーで対抗するなど、普段と違う蝶野のファイトに自分も好感が持てました。

 交代してリングインしたライガーは助走付きの掌底→ライガーボムを三沢に見舞う。
加えてチョップを繰り出すライガーに三沢はエルボー。全身を震わせながらライガーもチョップで対抗。
ライガーの意気込みと言い、BNJ側の二人は本当に気合いが入っていて良かったです。
と言うか、この試合に関してはBNJと言う括り方が既に間違いでしょうね。

 試合は蝶野、ライガーの連携に藤波が劣勢に立たされる展開となっていきます。
ケンカキック、ダイビングボディプレスに次第に追いつめられて行く藤波。
しかし三沢がエルボースイシーダ、ドラゴンスクリューを駆使したカットを見せると、
奮起した藤波がライガーを雪崩式ブレンバスターへ。更にドラゴンスリーパー、
三沢のダイビングボディプレスを挟み、最後はグラウンドコブラツイストでライガーから勝利。
試合後、三沢と藤波は握手。何度も藤波に頭を下げる三沢がとても印象的でした。
 
 良い試合だったと思います。藤波のコンディションを考えると、他の3選手があまり技を
見せられないまま終わってしまった感があるのも仕方ないですね。
新日側は気迫があって良かったです、三沢は少し遠慮気味だったかな、藤波を立てる気持ちもあったと思いますが、
2、3歩引いて試合をしていた感じがします。まあ、この試合はそれでOKでしょう。



  第9試合 [王者]小島●対[挑戦者]天山○

 今回、天山に求められているのは前回の醜態を払拭するような試合で王座を奪回する事です。
中途半端な形で王座に返り咲いても意味はない。それが果たして達成されるのかが見所であったと思います。

 試合開始、しばらく微動だにしない両雄、が天山の攻撃を交わすと小島はコジコジカッターを2連発。
まず先手を取った小島ですが、天山はボクシング特訓で得たボディブローの連発で反撃の狼煙をあげる。
コーナーにもたれる小島に対してカーフブランディングを仕掛ける天山、しかし形を崩した技に自分の周辺の
一部観客から「何だ、それは!?」の罵声。この試合、観客の姿勢は一貫して天山には厳しいように感じました。

 優位に立つ天山はダイビングヘッドバットで畳み掛けますが、小島は垂直落下ブレンバスターで一矢報います。
10分経過、小島のラリアットを交しアナコンダ・バイスに移行する天山。
またもや「早すぎるって!」の声がちらほら漏れ出します。確かに決め技の1つを出すには時期尚早でしょうか。
更なるTTD、アナコンダ・バイスによる劣勢をロープブレイクで漸く切り抜けた小島は変形肩固めを繰り出します。
技の出し方・立ち振る舞いなどあらゆる点で風格を醸し出す小島には、この段階に至っても余裕があるように見て取れました。
順風満帆とは決して言えない航路で、果敢に舵を握って来た4冠王者の成長ぶりがこの試合では特に際立っていたと思います。
そして会心の延髄ラリアットを放つ小島、天山は正に両国の悪夢のシーンを再現するかのようにダウン。
小島は10カウントを遮るように天山を無理矢理起こしにかかります。おそらく、まともに10カウントが
数えられていれば天山の敗北は濃厚だったでしょうが、闘っている2人が望む決着の付け方で
試合を終わらせれば良いと思いますので、別段問題はないと自分は考えております。
この場面から会場はほぼ天山への声援一色に染まりつつあったかも知れません。

 小島は正面からのラリアットで天山を追いつめますがカウントは2。そして試合時間15分経過と同時に小島はCCD。
しかし3カウントを許さない天山は、切り札の左のアナコンダフックを小島へ。
声援に押されたのか、天山は余力を振り絞って必殺のムーンサルトプレス→変形型TTDでドームのメインに終止符を打つ。

 王者に返り咲いた天山でしたが、汚名を返上できたかと言えば残念ながらできなかったと思います。
しかし、今後の防衛ロードで小島に負けないぐらいの成長を果し、失墜したIWGPの権威を
回復させれば良いと思います。人としてもレスラーとしても今はまだ中盤戦。
これからの頑張り次第で何とでもなります(まるで爺さんのような口振りですなw)
まあ今後に期待させて頂きますよ、と。


  感想

 観客は6〜7割と行った所でしょうか?少し視認し辛かったです。
色々ガタついたドーム興行でしたが、私的にはまあ悪くはなかった、と思います。
特別、素晴しい試合があったとは言えませんが、変なダルさも残らなかったし。
まあ、これは3000円のチケットで観戦していた人間の意見です。より高額を支払って出向いて来た方々は
果して今大会に如何様な感想をお持ちなのでしょうかね。それはまた別のお話と言う事で。

 今大会は休憩無し、入退場もスムーズに取り行われておりまして自分にとっては喜ばしい限りでした。
4月の全日代々木大会も休憩時間が省かれていた訳ですが、このように
コンパクトに纏める興行形態が今後の主流となっていくのかも知れませんね。