2004年12月11日(土) 新日本プロレス
大阪府立体育会館大会観戦記 |
観衆:6000人
二階席から見てる分には上も下も8割から9割ってところ。カードも良かったし、前宣伝もガンガンやってたのでこれは相応でしょう。
開始前、新日本を応援するユニットということで闘魂ガールズなるお姉ちゃん方のデモンストレーションあり。ピンクの衣装が目に眩しい。どう見てもキャバクラ嬢ながら、試合中もちゃんと後ろの方から観戦してたのは個人的に好印象です。客に見える場所での観戦も仕事のうち。1:サムライ&長尾VS田口&安沢
サムライさんだけ浮いてる。ここのところなぜか前座率が高いんですが、どの大会でも安定してノミネートされてること自体が結構凄いことです。
長尾&田口が若手と中堅の過渡期に入り、面子次第で貫禄みたいなのが出てきたように思います。特に長尾は「動けるノッポ」という馬場―田上ラインを受け継げる正統派路線で、ビルドアップすれば大化けする。でもネックブリーカーだのドロップキックだの、使う技がいちいち馬場を髣髴させるのは狙ってるのか?
連日連敗の安沢ですが、こっちも今日の試合はまずまずでしょう。少なくとも退屈だけはせずに済んだ。でも田口に「後は任せた!」みたいに見せ場を譲られて、僅か二分で負けるのはどうかと思う。評価:3
2:成瀬VS後藤洋
なぜか総合風味。後藤相手で?
打撃から関節の取り合いのいつもの流れのなか、スタンドの裏アキレス腱かなんか狙った後藤、下から膝十字に切り替えされて即効タップ。時間にして三分弱。長くやるのがいいとは言わんが。
どうもネコも良くわかってなかったらしく、タップを続ける後藤を十数秒放置する一幕もあり。もうちょっとちゃんと見ようぜ(笑)。評価:2
3:金本&井上&タイガーマスクVS邪道&外道&田中稔
いつもの6人タッグ。6人タッグなのに、15分一本勝負なのが新日本の力の抜き加減が露骨に表現されています。さしあたって悪い試合でもないんだけど、ここが良かった!って力説する部分もない、そんな内容。
試合中盤、田中と井上が激しく場外乱闘を開始してそのまま会場の外に行ってしまい、この後二度と二人の姿を見ることはなく……w 六人タッグがただのタッグマッチになってしまってグダグダ感が否めない中、ちゃんと後のフォローを四人がつけてくれて一安心です。
試合は一応、クロスフェイスVSアンクルホールドの切り返し合戦を制した金本が凱歌。ここの攻防は面白かったけど、最近本当に丸くなっちゃったなあ、金本。何とかオチをつけようと奮闘する四人がなんか痛々しい(笑)。今日の試合はヒートが防衛でしたね。これで井上プッシュも終焉も迎えるのかと思うと感慨深いモノがありますが、そもそも市場があの扱いだから。
評価:3
4:天龍&中嶋VS矢野&真壁大将大人気。中嶋君も大人気。
矢野の存在だけでコミックマッチ確定なんですが、それに大将をつき合わせるとは思ってなかった。またそれに天龍も結構嬉々としてつきあっちゃうし。休憩前後の試合で矢野が出ると、もう誰が出てようと「矢野の試合」になっちゃう。あれだけの実績がありながら勿体無いけど、ああいう才能もプロレス興行にはまた必要。
中嶋君に一気飲みを強要して真壁に怒られるという微笑ましい一幕の後、天龍に酒という無謀極まりない攻撃を敢行して墓穴。塩攻撃も誤爆して孤立無援になったところを問答無用の53歳。やられっぷりも最高です。評価:3
5:吉江&飯塚&B・ウルフVSブラックストロングマシン&ノートン&長井中堅さんたち。
いや、ノートン面白いわ。未だああいう使い方が出来る外人って本当に少なくなって来ています。B・ウルフとの投げ合いは、「あ〜俺って今プロレス見てるよなあ」って実感が沸いてきて至福のひと時です。
逆に言えば、そこ以外はなんかもうひとつ。一応今のところのネタは飯塚と長井の抗争で引っ張ってるけど、もう何年それ使うんだって具合で目新しさがないです。二人とも中堅に落ち着いて久しいのがより拍車をかけてる。新三銃士プッシュの犠牲者です。何とかアジアで多少なりとも光が当たれば良いんですが。
上手く悪者を分断した中堅さんがたが一気に畳みかけ、最後は吉江さんの最終奥義であるフライングソーセージが長井を押し潰して試合終了。あれだけは説得力あるんだよな、吉江さん。闘魂ガールズと衣装がかぶってます。蛍光ピンクとぴちぴち具合が特に。評価:3
6:長州&石井VS中西&ライガー
パワーホールが流れた瞬間、会場の温度が2〜3度上がったような気がした。関西人の圧倒的な支持を受ける長州。ネットの物凄い悪評を知ってるとちょっと信じられない光景ですが。
試合はまあいつもの長州で、
・相手の技の8割は石井が受ける。
・美味しいところをラリアット一発で持っていく。
・開始五分でいきなりサソリ。
といった大味な試合展開ですが、相手が中西なだけにある程度噛み合ってたようにも思えます。まあ、今日は一方的に大技の連発を食らい続けた石井が最大の功労者でしょう。メインなら頭に来ると思いますが。
関係ないけど、アルゼンチンってもう完全にヘラクレスカッターへの前振りになっちゃったんだよなあ。ドラゴンフルネルソンみたいに。評価:3
7:蝶野VS永田レッドシューズはもっとカットの練習をすべき。一月の東京ドームの反省がまったく生かされてないぞ。
ちょっと今回も露骨極まりなかったです。流血見て面白がる時代じゃないとは一緒に観戦してたnouelさんの言ですが、まったく同感。やるならもっとうまくやんなさいよ。
てなわけで、「傷口狙いの永田」「膝狙いの蝶野」の単調極まりない図式で試合が進みます。なんかめちゃくちゃ試合が長く感じた。要所要所で切れのある技が出てただけに、もっと面白い試合には出来なかったのかと思いながら、これが新日本のビッグマッチなんだってどこかで諦めてる自分もある。
再三のナガタロック2で永田が優勢に試合を運ぶも、戦前にマスコミに公開していた低空ヤクザキックの連発からSTF、そして噂の志賀締め(笑)に移行して蝶野が逆転勝利。闘魂ガールズがえらく喜んでましたが、あれは乙葉のオマージュでしょうか。蝶野以外の選手は知らないな、きっと。評価:2
8:天山VS小島
入場時は小島の応援が凄いです。天山の場合は拍手のみ。所属選手に対してあんまりな仕打ち。
実際、タイミング云々はともかくとしてもっと盛り上がっても良い試合なんですけどね。下手すれば三冠がかかってた試合なんですから。
試合の方も中盤に差し掛かってもどうもいまいちスイングしない。中盤の断崖コジカッターで首を痛めたか、十五分過ぎるまで天山が一方的に攻められます。小島もちょっとどうやって場を持たせたら良いかわからないようで、ダウンしている天山を前にマゴマゴしてる姿が目に付く。
天山が復調してようやく試合が動き出したら、今までのツケを払うかのようにお互いハードヒットの応酬。お互いの技を全部出し尽くす。もう終盤はほとんど四天王プロレスのようなカウント2.9の応酬で、どっちかが寝てる時間が比較的長いように思った。そりゃ三十分の時間なら、最後は引き分けしかないでしょう。
セミとしてはこれが一番妥当な結末ですし、最後はちゃんと面白かったから責務は果してる。でも序盤がアレなだけになんかすっきりしない。まあ、いきなり決着がつくのもそれはそれで困りますけどね。評価:4
9:中邑&棚橋VS佐々木&鈴木本日のベストバウト。まだ戴冠には早いと思ってたんだけどなあ。
中盤に至るまで中邑&棚橋が捕まり続け、佐々木&鈴木に反撃らしい反撃もできず。棚橋が膝を痛め、交互に公開リンチみたいな攻撃を食らい続ける。で、リング下でダウンしてた相方が復帰してきたら、すぐ落としにいく。
客が辟易してきたところで反撃開始。試合時間はすでに十五分オーバー。セミと似たような展開ですが、鈴木が終始ニヤニヤしてて、マジでこのまま試合が終りそうでした。あーおっかねえ。
外敵軍団が守勢に回っても決して弱さを感じさせないところが良い。相手の技の隙をつきあって攻守がめまぐるしく入れ替わる展開。健介&棚橋いわずもがなですが、鈴木&中邑にも意外に引出しが多いんですね。同じ技を何度も繰り返すかと思ってたんですが、これは意外でした。
合体攻撃もミドルキック+ラリアットや、Sトライアングル+閃光魔術など、パートナーの持ち技を利用したものが多い。こういうパターンも好み。最後は棚橋VS鈴木。ゴッチ式脳天杭打ちから逆落としを狙う鈴木、会場一体の悲鳴。これを丸藤のように着地した棚橋が電光石火、返されるとすかさず飛龍原爆固め。会場一体のカウントは3。
素直に面白かった。序盤の三銃士忍耐の時間があと五分短けりゃもっと良かったかな。評価:5
アンダーカードはグダグダながら、メインが良かったからそれなりに満足。セミも全体的には良かったんだけど、どうしても間延びした印象がある。まあ、今日健介に勝ったんなら良いけどね。
ヘビーは不満も多々あれど動いてはいるし、方向性は不明確ながら悪い方向に進んでる感じは今のところはない。
ジュニアは……他所に貸し出した方が良いと思うんだけど。