2002.8.29 新日本
藤田プロデュース 日本武道館大会観戦記

投稿者:彼方さん&エメラルドさん

観衆:9000人


彼方さんの観戦記

時間ぎりぎりに着いた武道館。多分当日で大丈夫だろうと思ってチケットは押さえてなかったのですが、窓口に行ったら案の定売り切れてたのは2階スタンドのみ。自分は1階スタンドを買って中に入りました。
中に入るともう音楽が鳴り始めていて、この後試合があるK-DOJOのユニット、Nudy Raveがリング上でレイヴダンスを踊っていました。この人たちにとってはダンスも見せ場のひとつなんでしょうね。結構本格的で上手だったです(後でパンフ見たら、彼らはドラゴンアッシュのダンサーにダンスを教わっているのだとか)。
会場は北側が黒いカーテンで仕切られていて、花道もそちらからリングに延びていました。というわけで観客席は北側にはなかったのですが、それでもこのときの席の埋まり方は8割くらいだったでしょうか?主催者発表が9000人というのも無理もない入りでした。
それではそろそろ試合に移ります。

第1試合 エル・サムライ・タイガーマスク VS PABLO・Hi69(with RYOKO)
KAIENTAI-DOJOの人気ユニット、Nudy Raveの2人(ユニット自体はRYOKOも入れて3人ですが)が新日ジュニア(タイガーは正確にはみちのくですが、もう新日ジュニアの常連と見ていいでしょう)相手にどれだけやれるか。個人的にはHi69が全日に参戦していた頃とどれくらい変わったのか。この辺を注目していました。
AKIRAがリングアナを務め、試合開始。Hi69とPABLOの奇襲から始まりましたが、すぐ目立ち始めたのがタイガーの動き。蹴りや空中殺法の切れ味、さながら研ぎ澄まされたナイフの如き。第一試合で見るのは本当勿体無いです(笑)。
一方Nudy Raveですが、Hi69とPABLOは独特のムーヴで魅せるものの、いかんせん線の細さは否めない。しかしそこはユニットのもう一人、RYOKOがセコンドという立場ながらフォローに入ってなんとかしようとします。見た目は思いっきりギャルなんですけど(笑)、実は彼女もK-DOJOのレスラー。ロープに走ったタイガーを足を引っ張って倒せば、サムライ相手にはトップロープに登って自らボディプレスを敢行。これはサムライにかわされて確かHi69に誤爆したのですが、懲りずに今度はサムライにスイングDDT!これは見事に決まって観客から驚きの声が上がります。
しかしさすがに新日ジュニアは、いつまでも好きなようにはさせない。最後は結局タイガーがPABLOをタイガースープレックスで沈めて決着。サムライはそれでも収まらなかったのか、試合後もHi69に勝ち誇った挙句にリング外に放り出し、RYOKOには報復とばかりリバースDDT!RYOKOはこれ1発でKOされてしまい、背負われて退場していきました。
Nudy Raveはノリは悪くないけど、新日にはちょっと合わない気がした試合でした。

第2試合 邪道・外道 VS カレーマン・日高郁人
入場とともに踊りまくるカレーマン。踊りがスコーピオ並みに長い(笑)
この試合もAKIRAがリングアナを担当。カレーマンの紹介「He is hot,he is spicy,and he is good taste,カレーマン!」にはちょっと笑ってしまった(笑)。なぜかコールが終わった途端、邪外に加担してカレーマンを叩いてるし(笑)。
しかしこのカレーマン、見た目は色物ですがファイトは違いました。伊達にスーパージュニアに出てませんね。一つ一つの動きが綺麗で、ピリッとした試合ぶりでしたよ。一方の日高、動きならカレーマンに負けてませんでしたが、ちょっと目立たなかったかな?「ショーンキャプチャー!」と叫んで邪道に決めたものの、外道にあっさりカットされてしまいましたしね。まあそれを言い出したら、カレーマンもスパイシードロップを阻止されてましたが。
試合は邪外がスーパー・パワーボムでカレーマンに勝ちましたが、これはまあ順当でしょう。ジュニアで邪外のコンビネーションに勝てるタッグはそうそうないですから。

第3試合 井上亘 VS KENTA
新日vsNOAH Jr.三番勝負の1。ジュニアでも若手の部類に入る2人の対決です。この試合からようやくリングアナがケロに交代しました。
ここは新日なので、当然入場はKENTAの方が先。この前のディファ有明の時からそうでしたが、KENTAはグレーのロングタイツにレガースを着用しています。セコンドには丸藤の姿もありました。
一方の井上、全力疾走で入場。走って入場する若手選手は多いですが、ここまで全速力で走ってくる選手もそうはいません(笑)。それでも息を弾ませてる様子が全く無いのはさすがです。
リングに上がった2人は、早々に胸をぶつけ合って視殺戦。場内を盛り上げます。
そして試合開始。待ちきれない!といった感じで2人して走り寄ってエルボーの応酬。打撃戦は体がある分、やや井上が有利か。しかしそうわかっててもKENTAも意地がある。なんとか対抗しようとします。
KENTAは井上をコーナーに詰めて、最近使い出したミドルキックを連発!しかし井上、効いている素振りを見せない。逆に膝をついて、「もっと蹴って来い」と言わんばかりに胸を指差す井上。ならばと注文どおり蹴るKENTAですが、井上は倒れない。このへんで井上有利の印象を観客は持ったのではないでしょうか。
KENTAはその後も打撃や腕ひしぎで活路を見出そうとしますが、戦局はあまり変わりません。場外戦になったときも井上にエプロンからのジャンピングニー、椅子に飛び乗ってのシャイニングウィザード(!)を決められてしまい、主導権は握れずじまい。最後は卍固めががっちり決まってレフェリーストップ。終わってみれば井上完勝の印象が残りました。
KENTAは井上に比べると、気持ちでは負けてないもののフィジカルな面でどうしても劣りますね。またそれをカバーできるものも現時点ではまだなかった。スタイルを変えたばかりで中途半端な面もあったと思います。この日は残念ながらKENTAの試合で、久しぶりにハズレを引いてしまったようです。マットを叩いて悔しがっていたKENTAのリベンジに期待するとしましょう。

第4試合 金本浩二 VS 橋 誠
新日本vsNOAH Jr.三番勝負の2。IWGPジュニア王者と、前GHCジュニア王者の対戦です。
対抗戦ということもあって、金本は最初から喧嘩上等モード。橋が張り手で応戦したら、金本はそれを倍返し。橋は一度場外に出て体勢を立て直そうとしますが、なかなかリングに戻ろうとしなかったため場内からブーイングが飛びます。正直、序盤は悪いときの橋が出てしまいましたね。
しかし!橋も中盤から盛り返します。金本は相変わらずきつそうな打撃を橋にぶち込みますが、橋も良く耐えて、エプロンサイドへのリバースDDT(これは痛そうだった)→場外ダイビングヘッドバット、フィッシャーマンズ・バスターといった攻めを見せます。
次第に一進一退となってきた戦局。金本はムーンサルトプレスを繰り出しますが橋はこれをかわす。ならばと金本は今度はファルコンアロー、しかし橋は返す!金本はムーンサルトプレスを再び出すが、橋はこれも返す!
気がつけばもう総力戦。橋もダイビングヘッドバットを返され、切り札のゴリサンダーを出すがこれも金本は返す!ここで橋は普段見せないラリアットを披露。勢い良く倒れる金本だがこれもカウント2!金本はスタンディングヒールホールドも出したが、これも橋に2度ともロープに逃げられます。
もう2人共出す技が無い。そんな感じでしたが最後は打撃の応酬から金本の二ールキックが橋の側頭部あたりにクリーンヒット。崩れ落ちる橋に金本がかぶさりこれでカウント3!
1発の重さなら橋も負けていなかったと思いますが、最後は打撃において強みのある金本が試合を制しました。あれだけ技を受けて勝ってるんだからやっぱり金本は強いですね。でも橋は頑張った。最初は正直位負けかと思いましたがよく盛り返しましたし、なにより前半戦で一番盛り上がっていた。次も対抗戦があるなら是非出て欲しいと思います。

第5試合 成瀬昌由 VS 村浜武洋
休憩前最後の試合。僕もこの試合を書き終わったら休憩します(笑)

村浜は大阪プロレス代表ということで、今日はえべっさんをセコンドに連れて入場。リングインするとぶんぶんとシャドーボクシングを始めました。
成瀬はB'zの「Ultra soul」で入場でしたが、「♪そして輝く ウルトラソウル!(Hi!)のサビに入る頃を計算に入れてリングインしてましたね(笑)。途中で立ち止まってリング上の村浜とにらみ合ったりしながら時間を稼いで(笑)。
さて試合ですが、2人して中段に構えてステップを踏み出します。序盤はキックで探りあい→時折タックルで相手を倒してポジションの取り合いの繰り返し。総格風味の試合展開です。
中盤に入ってもこれが続き、ちょっと退屈になってきました。2人共技術はあるんですよ。村浜は体は小さいけど打撃では逆に押してたし、成瀬もグランドはやっぱり上手かったし。でもそれだけで良い試合が作れるかというとそうとは限らないからプロレスは難しい。前の金本VS橋が盛り上がった反動もあって、会場のテンションは低めだった気がします。
村浜のトペ・コンヒーロ、成瀬のキャプチュード、見せ場は作りますがいずれも単発。村浜のアームロックでも成瀬のクレイジーサイクロンでも勝負は決まらず、意地でバチバチやってるうちに試合終了のゴングが。時間切れ引き分けです。
試合後村浜は成瀬に握手を求めに行き、成瀬もこれに応じていました。

休憩の前に、話題のマスクマン・ヒートと、復帰が決まった飯塚高志がリング上に登場。ケロの紹介を受けていました。飯塚は10月9日の無我の試合で復帰戦を行う予定だそうです。
飯塚「休んでる間、多くのファンの方から励ましの手紙やメールをたくさん頂きました。この場を借りてお礼を申し上げます。また頑張りますのでよろしくお願いします」

第6試合 ジャイアント・シン VS ジャイアント・シルバ
前から揉めてた大巨人2人の、一応決着戦がこの試合でした。
2人共入場の際、T2000のメンバーが大挙してついてきました。どっちも暴れだしたら手がつけられないから、数にものをいわせてお守りについたんでしょう(笑)
試合開始。なんせ2人共デカイですから何をやってもインパクトがあります。でも厳しい言い方をすれば、それだけなんですよね。攻防自体は至って単調でしたし、あまり他に見るべきところはなかった気がします。
試合は最初はシンが押していましたが、シルバが盛り返して最後はジャイアントプレスでピン。終わり(笑)。
でもおまけが試合後につきました。なぜかさっき紹介を受けたヒートが乱入して、大巨人にちょっかいを出したのです。ロープに寄りかかった状態でヒートのドロップキックを受けたシルバはひっくり返って場外に転落。ヒートはやることやって、一目散に花道の奥に逃げていきました(笑)。
立会人みたいな形でリングに入ってきていた蝶野に、観客から「寒いぞ、何とかしろ!」の野次が。でも蝶野はまるっきり無視。見ると場外に転落したシルバが動けない様子で(周りが大勢取り囲んでいたのでシルバの様子はわかりませんでしたが)、蝶野はそれを心配して見ていたようです。それじゃ野次どころじゃないですね。
結局シルバは立ち上がることが出来ず、担架になんとか乗せられて(乗せるの大変そうだったけど)帰っていきました。

ここで、アマレス日本代表選手団がリングに登場。壮行セレモニーがありました。選手団にはもちろん永田克彦の姿もあり、彼が紹介されたときはひときわ大きな拍手が。挨拶もこの永田弟が担当していました。

第7試合 中邑真輔 VS 安田忠夫
デビュー戦がいきなり「外敵」になった新人・中邑。なにを見せてくれるのか注目です。
安田の入場時は、場内静まり返ってました。リングインすると拍手とブーイングが半々。中途半端な嫌われ方がリアルで嫌です(笑)。
試合開始。中邑は早々にタックルからマウントを奪って場内を沸かせます。観客は中邑コールで彼を後押し。安田はこれにやる気をなくして、リングを出るふり(笑)。エプロンで観客からのブーイングとレフェリーの注意を受けます。
その後中邑は2度目のタックルを安田に決めますが、安田は体勢をひっくり返すと中邑にギロチンチョーク。これはあからさまに反則で、観客からは当然ブーイング。
安田は続いてタイガードライバーの体勢に入りますが、ここで中邑は木戸修ばりの脇固めで切り返す!これは沸きました。場内からは「木戸〜!」の声も(笑)
さらに中邑は安田の120kgの体をジャーマンで投げ捨て!さらに沸く観客。これに安田は切れたか、中邑の顔面にパンチを浴びせてすかさずフロントスリーパー。最後はあっけなく終わりました。
中邑のデビュー戦、安田という難しい相手にこれだけできれば合格だったのではないでしょうか?一方の安田は、ヒールになるなら満場一致でブーイングを浴びるくらいになって頂きたいもの。今のままだと嫌がられてるだけで、本当の意味で熱くしてるわけじゃないですからね。

ちなみに試合後、安田に対して永田がいきり立ったのがきっかけで、魔界倶楽部が乱入して新日のセコンド陣と乱闘になっていました。なにやらマイクで喋っていましたが、この辺は何が何やらよくわかりません。次シリーズに魔界倶楽部も参戦するようなので、その予告編ととったらよかったのでしょうか。

第8試合 佐々木健介 VS 藤田ミノル
「300秒の奇跡」とサブタイトルがついたこの試合。奇跡ってそんな大げさなと思いましたが、よく考えたら藤田ミノルの試合がこの位置で健介相手に組まれていること自体、奇跡みたいなもんですな(笑)。
両者リングインして、それぞれケロのコールを受けます。
「青コーナ〜、身長181cm、体重131.5kg、藤田ミノル〜」
…おい、この前1kg増えたのに、また0.5kg増量しとるぞ(笑)
それはさておき、この試合は5分1本勝負、KOかギブアップのみで決着がつくというルールでした。藤田が5分持ったら健介はノーギャラでK-DOJOに出ると言ってましたが結末はいかに?
というわけで試合開始。藤田は健介相手にまともに行くわけないと僕は思っていたのですが、なんと藤田は開始早々にエルボーで健介に襲い掛かるではありませんか。今日に限って正攻法?
でも藤田ができたの、結局これだけ。健介はエルボー、チョップの雨あられ。パンチもいっぺん繰り出してましたね。藤田は重い攻撃に何もできません。最後はロープに藤田を振ってラリアット一閃。ダウンカウント、10。以上、終わり(笑)
今回は健介側が、もともと潰すという前提で5分1本勝負と言ったわけですから、こんな展開になったのは当然といえば当然。これを藤田が受けた以上は、その上で何か見せることが今後に繋げる必要条件だったと思うのですが、何もできませんでしたね。今回に限っていえばそんな藤田がちょっと情けなかったかな、と思いました。僕が新日サイドの人間だったら、次に藤田をリングに上げるか、ちょっと考えてしまいますね。

第9試合 獣神サンダー・ライガー・田中稔 VS 金丸義信・菊地毅
新日本vsNOAH jr.三番勝負の3。と同時に、IWGPジュニアタッグ選手権試合です。
NOAHはKENTA・橋と連敗し負け越しが決まってしまっています。この上でタッグまで負けたら3タテ食らうことになるので、さすがにそれだけはNOAHとしては阻止しないといけない。まして同じカードで前回負けているので、なんとしてもリベンジしないといけないところです。
NOAH側の入場は、「MAXIMUM」で2人いっぺんに入場。2人共普通に入ってきました。金丸には、GHCベルトを見せびらかしながら観客を煽るくらいはして欲しかったんですがね〜。最初にベルトに挑戦して来いって言ったのは金丸の方なんだから。そして菊地ですが、タイツが日の丸です!
観客は普通に拍手で迎えてました。KENTAも橋もそうだったんですが、観客はNOAHとの対抗戦なのにブーイングの1つも浴びせないんですね、新日のホームだというのに。
そしていつも通りライガー側は「怒りの獣神」で入場。さすがに拍手はNOAHよりは多かったです。
リング上で睨みあう両者。ライガーはまたもマントを金丸に投げつける!お約束になってます(笑)
そしてゴングが鳴る前に、どちらともなく襲い掛かって試合開始。最初はごちゃごちゃしますが、やはり負けられない気持ちが出たのか、序盤はNOAHが主導権を握ります。田中を捕まえ、早いタッチワークで攻め立てる金丸と菊地。特に菊地の気合が凄い。エルボーの威力は普段の50%増しくらい。頼もしいぞ、今日の菊地は。
しかし相手はさすがに新日ジュニア最強タッグ。中盤になると逆に菊地が捕まる展開になります。ライガーと田中のえげつない攻めの連続に、沸き起こったのはなんと
大・菊地コール!。そしてライガーと田中には、いつしか大・ブーイングが。何で?(笑)。いや、確かに見に来てたNOAHファンは結構いたんでしょうけど。田中は気がついたらブーイング煽る側に回ってるし、これじゃNOAHのホームで試合したときと一緒やん(笑)
そうこうしてるうちに、菊地はエルボーとゼロ戦キックで活路を開いてようやく金丸にタッチ。それまで菊地と遣り合っていたライガーも田中にタッチ。金丸と田中でやりあいますが、田中はバックを取られた金丸に急所バックキック!股間を押さえる金丸を横目に、田中も真似して股間を押さえて飛び跳ねる。そんな田中に観客またも大ブーイング。お返しに金丸が本家(笑)をお見舞いすると、今度は観客大歓声。あのー…ここ本当に、新日のリングですか?(笑)
中盤過ぎ、ライガーは菊地に掌打を繰り出しますが、菊地はダウンするもののすぐに立ち上がってライガーにエルボー!ライガー、菊地、両者ノックダウン。そして金丸と田中もやりあうが、ミノルスペシャルでもムーンサルトプレスでも決まらない。こっちも両者ノックダウンし、4人全員が天井を見上げながらダウンカウントを聴くという凄まじい光景に。
やがて起き上がった4人は、いよいよ終盤に向かって走り出します。ライガーは、田中が金丸を分断する隙に菊地をライガーボムで攻め立て(カウント2)、菊地をコーナーに乗せます。そこから繰り出したのは…雪崩式フィッシャーマンズバスター!。凄い落差と角度でマットに落ちる菊地に、場内からは悲鳴が。しかし…菊地は返した!。ならばとライガーは今度は垂直落下ブレーンバスター!しかし、これは金丸がカットに間に合う!
これだけ攻められてもしぶとい菊地は、ライガーにジャーマン連発!1度目はカウント2でライガーが返す!菊地はクラッチを切らずに2度目!これは田中がカット!
ここで割って入った金丸、田中に垂直落下式ブレーンバスター!これが効いたようで、田中はリング下に転げ落ちる。場内は興奮最高潮。
ダウンしているライガーを尻目に、金丸の方を見やる菊地。しかし金丸は、場外の田中を気にしつつも腕を振り回し、菊地を指差す。「頼む、決めてくれ!」と言わんばかりに…金丸は、ここまで試合を引っ張ってきた菊地に全てを託すつもりだ!
意を決した菊地はライガーを持ち上げる。菊地にはまだこれがある…そして決めるのは、ここしかない、この技しかない!
火の玉ボムだ!!
無抵抗なまま、ワンバウンドしてマットに叩きつけられるライガー。カウントが入る!
1,2…カウント3!!!

IWGPジュニアタッグ王者、
菊地・金丸組の誕生だ!

場内は「HINOTAMA KOZO」をBGMに、大・菊地コール!。ここが新日のリングなんて本当に信じられない光景です。僕にはマットの色も、一瞬緑に錯覚して映りましたよ。
そしていよいよベルトを巻くときが、このときもまたしても場内大・菊地コール。これまでNOAHジュニアの対新日戦線は金丸が引っ張ってきましたが、この日は間違いなく菊地の日でしたね。火の玉小僧、ここに復活!を印象付けた1戦でありました。

第10試合 藤田和之 VS 高山善廣
ようやくメイン。夜を徹して書いてたら、ここまででとうとう朝になってしまった(笑)

この試合があるからこそこの日は藤田プロデュースなわけで、NWFヘビー級王座決定トーナメントの1回戦がこの試合でした。
藤田がいれば当然この人も出てくるわけで、猪木が試合前に登場。入場テーマで一番盛り上がるのって、昔も今も変わらず猪木なんですよね、新日って(笑)。
で、いつもながらの漫談ですが、大体こんな感じでした。

バカヤローッ!
猪木の挨拶非常識、猪木のやること非常識
非常識なら空も飛ぶ。今日も空から降りようと思ったけど、天井があってできなかった(場内笑)。
元気ですかーっ!
元気があれば何でもできる、元気があれば笑顔も作れる。
猪木が笑えば世界が笑う、世界が笑えば平和がやってくる。
でもこのリングは、平和じゃつまらない。
そこで藤田が中心になって、熱い闘いをしてくれる者たちが集まった。」
この後猪木はリング下にいた、昨日ダイナマイトに参戦したばかりのノゲイラをリングに上げて、なにやら挨拶させていました。

猪木は「彼も熱い戦いに是非参加してくれれば、と思います」
そのあと、「今日は藤田がプロデュースするということで、俺は立会人という立場で来ました。後は勝手にやってくれ」というと、NWFのベルトを静かにリング中央に置いて去っていきました。後で気がついたんですが、「1、2、3、ダー」が無かったですね。

猪木の前説が長くなってしまいましたが(笑)、そろそろ試合に。
高山の入場。テーマ曲は…「DESTRUCTIVE POWER」!まさか新日のリングで、あの手拍子ができるとは思わなかった!場内の多くから、手拍子とシャウトが!高山はもうこの曲でどこにでも上がるつもりなんでしょうか?いや、でもこれは嬉しい誤算でした。
そして藤田入場。炎のファイターのオーケストラバージョンも、慣れるとそんなに悪くないですね。原曲は一緒でも、こっちだともう、ちゃんと藤田の顔が思い浮かびますもん。
そして試合開始。今回はグローブなしの試合でした。藤田は藤田なりに、プロレスで勝負してきたようです。
しかしこういう勝負になると、高山はやっぱり上手いですね。逆に藤田は遠慮してしまった感じがあったように思えました。マウントの膝蹴りひとつとっても、腿の部分を高山の肩に当ててるだけに見えましたし。前に永田にやったみたいに頭頂部に膝ぶちこむような戦いはやりにくかったのでしょう。
試合は殴る、蹴る、押さえる、極める。この2人らしいプリミティブな戦いになりました。正直セミほど試合は盛り上がってなかったし、前にPRIDEで戦った内容を越えたものとも思いませんでしたが、ゴツゴツとした味があって悪くはなかったと思います。この2人で3カウントで試合が決まったのも新鮮でしたしね。

長くなりましたが、この日のベストバウトは文句なしでセミのIWGPジュニアタッグ戦。MVPも文句なしで菊地毅。まあ、陰の立役者はホームなのにヒールになってくれたライガーと田中ですけど(笑)。
他に光ったのはタイガーマスク、カレーマン、井上、橋、中邑あたりでしょうか。
逆にうーんと思ったのが、成瀬、村浜、シン、シルバ、安田、藤田ミノル。何とも言えなかったのがPABLO、Hi69、日高、KENTAあたりでしょうかね。
まあ、見たことがない選手が多く見られたので、その点での収穫も結構多かったですし、最初に書いたように何といってもNOAH勢が新日のベルト巻くなんて劇的なシーンに立ち会えたわけですから、行って見て良かったなと思いました。

エメラルドさんの観戦記
彼方さん。
ニアミスです〜〜〜。(笑)
私も徹夜明け→大阪からのロケバス帰り(8時間コース)、をものともせず、武道館に直行しました!
一応、AKIRAの登場からギリギリ観れました。

この日は、やっぱり、菊地(IWGPタッグ)に尽きますよね。
一人で見てるというのに号泣!!!しましたもん。
火の玉ボム!!で3カウント入って、ベルト渡されて、写真撮影とかしてて(雑誌用)、花道を引き上げていくまで、ずーっと震えが治まんなかったです。
「あー、金丸、二冠だぁ・・・」とか、とりとめのないこと考えながら。
金丸たちも、花道奥のカーテンのとこでアピールする元気もなく(笑)、すっごい試合でしたよね…。
リングに入るときの菊地が、やけにキレーな顔してたので「もしかして」って思って、祈りモードだったけど、ライガーから獲ってくれるなんて!

涙でかすんだ目には、そのあとの猪木登場が場違いに感じました。カエルみたいなネクタイしちゃってさっ!(女っぽい意見ですみません)

高山は、蹴りで決着ついちゃったのが、少し残念に思いました。
っていうか、藤田が、あえてプロレスに戻ってきたのなら・・・っていう期待を持ってたんです。
もしかしたら藤田の「プロレスLOVE」をね、見せてくれちゃったらどうしよう〜、と。
うーん…。でも、これは個人的見解ですが、やっぱり、あんまり上手じゃないんですね、多分。高山が試合運びという点でやり辛そうにしたとこもあったし。
最後は抱擁して称えあっていましたが、高山の懐の深さを感じたのが正直な感想です。
もうちょっと、やれたんじゃないかな、とも思いました。(藤田次第ということなのでしょうが)

KENTAと橋については。
KENTAはスタイル変えてすぐ、っていうのもあったと思うけど、マット叩いてた姿が物語ってたと思う。18キロくらい差があったけど(井上とは)、それくらいは覆せたと思うから。
橋も、金本に関しては、向こうが数枚上手だったなぁ。シングルで勝つにはまだ、もう少し・・・。うん。

共通して言えるのは、二人ともまだ、武道館をシングルで埋めるにはちょっと力量不足かな、と思いました。
レスラー同士で肌を合わせたからこそ感じるものって絶対あるわけで、プロならそれを絶対的にお客様に伝えなくてはいけないんですよね。
そういう意味で、武道館中に気持ちのムーヴが伝わったかというと「?」でした。とくにKENTAは。

ノア勢だけを観てたわけじゃないので、全試合、それぞれに思うところあるんですが、ひとまず、このへんで・・・。
ただ、彼方さんもおっしゃってましたが、大げさじゃなく、6割がノア側のお客様なの?って思いたくなるような興行でした。
純・新日派の方が思わず、黙っちゃったんじゃないかなっていうような空気でした。
(純・新日派のお客様は、蝶野も永田も中西も天山もタナケンも試合しない興行には来ないのかな?)