2005年6月9日 リアルジャパンプロレス
後楽園ホール大会観戦記

投稿者:KEIさん

観衆:???人


 初代タイガーの佐山聡が旗揚げした新団体「リアルジャパンプロレス」に観戦に行きました。
日本語に訳してみると「真日本プロレス」です。別に某老舗団体に喧嘩を売っている訳ではなく
「真の日本のプロレスを復興する」という意味を込めているらしい。
プロレスの楽しさと戦いを見せるつもりでいるリアルジャパンプロレスですが
果たしてどれほどの内容を見せる事ができるのかに要注目です。

 今大会は普通のプロレスの試合と佐山が代表を務める掣圏真陰流のトーナメントを混ぜ込んだマッチメーク。
佐山は「フュージョンベース」なる言葉で言い表していましたが、プロレスと格闘技を組み合わせた興行を
打っていくようですね。それがプロレスを観戦に訪れた人達に受け入れてもらえるのか?と
不安が募っていた所に開始の合図。初代&2代目ザ・タイガー(ウルティモ)らが
リングに上がり旗揚げの挨拶。その挨拶が終わるといよいよ試合開始!


  第1試合 佐山サトル指名試合
 ●ラッセ(みちのくプロレス)対○景虎(みちのくプロレス)

 オープニングマッチはみちのくプロレスのレスラー達によるシングルマッチ。
ラッセはJr.体型のマスクマン、景虎はラッセより少し大柄な選手。二人とも知らない選手なんで
見てみない事には分からないですね。佐山は「この試合では単なるルチャをやらせない」と語ってます。
よその団体の選手がその思想をどこまで飲み込めるのか、少々疑問ではありますが良いモノを見せて欲しいです。

 試合開始、しばらくは静かなグラウンドの展開。結構な緊張感を醸し出しています。
その空気の出し方、ロープワークを見てみると、しっかりした選手であるのが見て取れました。

 打撃合戦を続ける両者、ウェイトで勝る景虎が次第にラッセより優勢に立ちます。
ラッセを抱え上げて叩き付ける景虎、マットの衝撃音が異様に会場に響き渡ります。結構マットは固いのかも知れません。
押され気味のラッセは隙を突いて景虎を場外へ、そして華麗なプランチャを放つ。リアルジャパンでは鉄柵が
用意されていないので、この試合に限らず場外ダイブは観客を盛り上げる好材料となっておりました。

 攻撃を畳み掛けたラッセは、 ファイヤーバードで勝負に出るもかわされてしまい、景虎が逆襲開始。
ダイビングエルボー、ラリアットから一騎当千でラッセから3カウント。
良い具合でした。第1試合としてはかなり良かったと思います。

  第2試合 掣圏真陰流トーナメント 準決勝1
 滝沢○ 判定 3−0 ●細江

  第3試合 掣圏真陰流トーナメント 準決勝2
 斉田● 判定 1−2 ○崎浜

 掣圏真陰流の試合の前に自衛隊による徒手格闘演武が行われました。自衛隊員4名がリングに上がり、
4人がそれぞれのコーナーに立つ。3人が木刀を手に1人に襲いかかるという、
合気道の演舞に似た感じのもの。思ったより短時間で演舞が終了すると、今度は清めの儀式へと移行。
日本刀を持った掣圏真陰流の選手がまたもや演舞。日本刀の美しさに何となく目を奪われてしまいましたね。

 その演舞が終わると今度は掣圏真陰流のコンセプトやルール説明へと移行。ちと試合以外の事が長いよ....。
ルールは大体プライドと同様のようです。締め、間接技もある模様。
次に掣圏真陰流は市街地での格闘を想定として、戦闘服は白いスーツ(型胴着)にOFG。
そして掣圏真陰流では一人対多を想定しているため、膠着=他の人間から攻撃を受ける、という考えから
選手同士が組み付いたりして膠着状態に陥った時、すぐにブレイクを取るとの事です。
試合を見た限りでは10秒前後膠着したらブレイクを取っていました。その点がプライドとは違う部分と説明され、
最後に「地味ですが楽しんで下さい」と付け加えらる始末。つまりは見た感じ面白くないのか....。

 試合は2試合とも結構迫力のある殴り合いをしていました。しかし説明通りで、すぐに膠着してブレイクをとる。
だから絞め技も間接技もろくに極まらずグラウンドの状態が打ち切られるし、打撃の応酬の際にも
クリンチするとブレイクをとって仕切り直しとなるので、何とも言えないもどかしい展開。
しかも3分2ラウンド制なので、どっちが優勢なのかも把握できないまま
勝敗が判定で決するという消化不良な終わり方....。
観客も始めは良いパンチが当たったりすると沸いていましたが、その内ただ見ているだけの状態に..。

 正直言ってこの段階で結構ダレました..、自分。



  第4試合 ○アレクサンダー大塚(AO/DC)、佐藤(闘竜門)対折原、●タナカ ジュンジ

 試合は折原組の奇襲によってスタート。折原を見るのは久しぶりです。変わってないなぁ。
佐藤という選手は闘竜門の選手でJr.体型でキックを使ったり、飛んだりといった選手。
タナカの方は少し佐藤より体格が大きく、これまたキックの使い手です。二人とも自分が目にするのは初めての選手。
佐藤は言うまでもなく、タナカも身体が小さいので得意と見えるキック攻撃が少々物足りないといった感じでしたね。

 試合は中盤まで佐藤が一方的に劣勢に立たされます。折原組はフットスタンプやパイルドライバー、ライガーボムなど
キツイ攻撃で会場を盛り上げる。何度となくタッチを阻止される佐藤は更に折原のスパイダージャーマン、
ムーンサルトの必殺コンボに万事休す。そこをアレクがジャーマン連発でカットに入る。
ようやく試合の権利はアレクへ。溜まった鬱憤を晴らす役割のアレク、微妙な動きをしながらも
ドラゴンスクリューやジャイアントスイングでタナカに対して優位に立つ。
折原をカットした佐藤は場外プランチャで分断に成功。アレクはタナカをブレンバスターの体勢に抱え上げ
ツームストンパイルドライバーへ。アレクがタナカを沈め試合終了。

 リアルジャパン・佐山は「第1試合からメインまで、勝敗が重んじられた昭和的プロレスをする」と
提唱していましたが、変哲のない普通の試合でした。まあ他所の選手を使うんだから仕方ないと言えば仕方ないですがね。


  第5試合 掣圏真陰流トーナメント 決勝戦
 滝沢○ 判定 3−0 ●崎浜

 第5試合に入る前に休憩へ。15分も取ったよ....。休憩嫌いな自分として何とも辛い長さです。
やっと休憩が終わったかと思えば、進行表には記載されてなかった、
協賛である「エイズ予防財団」の方が挨拶を開始。旗揚げへの祝辞とエイズ被害の現状、
そして寄付を呼びかけます。うん、大切な問題だと思いますよ。しかし休憩を兼ねてやってくれれば有り難かったです。

 続けて7.10パンクラス横浜大会で高橋義生と対戦が決まっている桜木裕司が掣圏真陰流型演武として
ミット撃ちと1対3での演舞を披露した後、今後の抱負を熱く語りました。この時点で開始2時間経過....。

 そして漸く第5試合開始。トーナメントの決勝戦ではありますが、著しく盛り上がりに欠けます。
試合の内容も先に行われた準決勝と大差なし。1本で極まらないのがお客さんにも何となく分かるからでしょうね。
歓声の全くない後楽園ホール、最も響き渡る声の主は選手のセコンドです。
選手の腑甲斐無さにブチ切れて観客から笑いを取ってました。試合は判定決着へ。

 掣圏真陰流の問題点はブレイクを取る速さの他に、スーツ型胴着にも見受けられました。
スーツのせいで動きが制限されマシなパンチが撃てないし、絞める際にも胴着が大幅に邪魔になるんですね。
まあハッキリ言って人に見せる物ではない未完成競技です。この1連の流れで完璧にダレました。自分としては珍しい。



  第6試合 セミファイナル
 2代目ザ・タイガー(ウルティモ)、石森太二、佐藤秀●対南野たけし、○マンゴー福田、パイナップル華井

 全員闘龍門の選手です。自分はウルティモ以外初めて見る選手ばかりです。
闘龍門自体を観戦した事ないので結構楽しみな試合でした。2代目組と対戦するチームはロス・サルセロス・ハポネセスと
言うらしいです。そのハポネセスは南国チックな曲で入場すると3人で軽快なダンスを決める会場を盛り上げます。
2代目組は佐山が歌う「バーニングタイガー」で入場。佐山、結構歌が上手いですw

 先発は石森と南野、石森は名前だけ知っていましたが、なるほど良い動きをする選手ですね。
石森が南野を場外へ蹴散らすと、石森は佐藤にタッチ。福田はタッチもせずにそのままリング内へ。
この試合はどうやらタッチとか関係なくその場の「流れ」で試合権利者が変わる設定のようでした。
同様な試合を大阪プロレスで見た事があったかな。でも試合前に説明しなきゃ..。
そして2代目の登場。見た目がかなりカッコイイです。人気が出るとしたら初代よりもこちらですね。
序盤はヘッドシザースで華井を投げるなど観客を盛り上げていました。

 試合は佐藤がハポネセスに捕まり、石森が逆襲に転じるという展開。2代目もラ・ケプラータを見せたりしましたが
総じて見せ場が少ない。福田のダイビングボディプレスに佐藤が沈む結果となりました。

 もっと2代目が目立たなければイケない試合だったのですが、普通に終わってしまいました。
感想としては普通。残念ながら自分のダレを解消してくれる試合ではなかったですね。
このリングは闘龍門勢やみちのく勢が試合をする場となるのかな。出場レスラーを見た所そんな感じ。

  第7試合 メインイベント
 初代タイガーマスク(スーパータイガー)●対○大谷晋二郎(ZERO1-MAX)

 両選手入場の前に今大会の主賓がリング上に移動します。有名どころではラモス、千代大海、俳優の伊吹吾郎
がいましたね。観客は特にラモスへ声援を送ります。ラモスもひょうきんにその声援に対応。
両選手入場後、合計8、9人の主賓がそれぞれ紹介されながらの花束贈呈..。あのねぇ、旗揚げ戦を
華やかにしたい気持ちは分かるけど、そんなの試合後の控え室でやりましょう。本当にダレてます..。
リングに近い観客はまだ盛り上がっていたけど、自分を含む距離が開いた南側の観客は終始全くの無反応。

 今回、タイガーはスーパータイガーのコスチュームで試合に臨みます。スーパータイガーって
皆さんご存じなんでしょうか?自分はあまり知りません。SFC版のファイヤープロレス3の隠しキャラとして登場して、
そのようなレスラーが昔は存在していたんだと思った程度ですね。果たして過去に隆盛を誇ったタイガーマスク、
当時のストロングスタイルに現在でも需要があるのか?今回観戦に来たのもそれを見極める為です。忘れてたw

 試合開始、タイガーはキレのあるローキック、ハイキック、タイガースピンで観客を沸かせる。
大谷も負けじと顔面ウォッシュで会場を盛り上げる。ここら辺までは良い感じ。

 ここで少々番外編。序盤戦の最中、中々声に張りのある手拍子付きの「タイガー」コールが叫ばれ始めます。
しかしまだ時期尚早で、観客もその声援に乗りません。しばらくしてまた同じ声の主達から
タイミングを外した「タイガー」コールが南側に座る自分の右斜め前から巻き起こります。
気になったので身を乗り出して見てみると、4〜5人の青年達が通路で前屈みになって
試合に喰らい付きながらタイガーに声援を送っているではないですか、......同じ制服を着てw
更に一人はタイガーマスクを被っているし。4〜5人いるなら何故東西南北に散って
「タイガー」コールを同時に起こさない!?1方向からでは限界があるでしょうに。
確かに色んな団体の会場にサクラはいる事でしょうが、あんまりなサクラ振りにかなりウケましたw
必死な彼等は3度目のアタックを決行、しかし相変わらずタイミングを外しているので観客も全く相手にしないw
いや、イイ味出してるぜ、君達!君達の勇姿はこの眼にしっかり焼きつけたからな!
ふと気付くと..、いつの間にか自分のダレ、疲労が解消されてるじゃないか!!君達、GOOD JOB!!!

 では試合に戻ります。タイガーはキック、フライングチョップ、ダイビングヘッドバッドで勝負に出ます。
続けてムーンサルトを放ちますが、大谷は回避してミサイルキック。しかしタイガーも
タイガーネックチャンスリー、腕ひしぎで反撃。大谷にロープに逃げられるとカードを出し尽くしたのか
スタミナが切れたのかタイガーは大谷のパンチ攻撃に朦朧とします。そして10分を過ぎた頃、
大谷のキングコブラホールドに捕獲され敢えなくギブアップ。

少し呆気無かった感がします。まあまあタイガーは動けていたとは思いました。でもシングルマッチはキツイかな。

  感想

 観客はほぼ9割。意外です、もっとダメダメだと予想していたんですが、結構埋まりました。
興行のバランスは最悪。やりたい事、理想を押し込み過ぎ。観客の事をもっと考えないと。
合計3時間で1時間は退屈な時間がありました。掣圏真陰流を組み込むのも再検討するべきです。
佐山が復興するべき形として提唱したプロレスを実践できたのも、第1試合とかろうじてメインだけ。
観客の反応を見ても、タイガーへの需要は残念ながら感じられませんでした。
新団体への興味、それぐらいでしょうかね。私的ベストバウトは番外編の観客vsGOOD JOBな彼等。
彼等の必死さと観客のノリの悪さが良い具合にマッチしてましたw
次回は9/26に同じく後楽園ホールで旗揚げ第2戦があるようです。興味のある方々は足を運んでみて下さい。