2004.8.15PRIDE GP 2004
さいたまスーパーアリーナ大会観戦記 |
観衆:47629人
埼玉スーパーアリーナ入場者記録更新の今大会、総論としては優を付けたいと思います。
ラストの後味の悪さなど、色々ありますがそれも含めていわゆる「リアルファイト」だからです。
ただ、高田の喋りはいただけなかった。最後のまとめは及第点ではあったものの、懲りすぎて言ってる事が散漫。猪木とか前田とか、そのあたりの言葉作りの上手いというかインパクトのあるカラッとしたしゃべりをしてほしいなあ。第一試合 ×ムリーロ・ブスタマンチvs中村和裕○
中村の頑張りと勢いが試合を制しました。
菊田ですら敗北した世界有数の寝業師を封じてみせたことで、今回中村が試合に出たことに納得していなかったことを、実力で覆してくれました。
贅沢を言えば、判定でなくて一本とって欲しかった。第二試合 GP準決勝 ○アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラvsセルゲイ・ハリトーノフ×
結局、ハリトーノフを図ることが出来なかった。
的確に放つボディブロー、三角締めから十字への流れを止めて見せた反射運動、どれをとっても一流なんだけど、結局なんだったのっていう不可思議な試合でした。
ノゲイラが判定で勝利。ブスタマンチから伝授された技らしいムーブや脚関節狙いもしましたが、決まりませんでしたね。第三試合 GP準決勝 ○エメリヤーエンコ・ヒョードルvs小川直也×
まるで、さよならジュピターの映画版のような試合でした。
劇場の暗幕が上がり、公開されるまでがとてつもなく楽しかった、そんな試合でした。
試合前の緊張感、両者が揃ったときの胸の高鳴り、最高でした。
ヒョードルが一気にパンチのラッシュをかけて、コーナーに追い込むと小川が胴に組み付いて後ろに回って倒そうとしますが、逆に上に乗っかられてマウントからの腕十字で敗北。
1分もない試合でしたが、それ以上に楽しめました。
負けて、情けないですけどハッスルしますって、落ち込んだハッスルをしてました。
年末に、ハリトーノフとやるか?第四試合 GPリザーブマッチ ○ロン・ウォーターマンvsケビン・ランデルマン×
組み付いた瞬間、ランデルマンが奇跡のパワーでウォーターマンを持ち上げてテイクダウン。
このまま終始試合を試合すると思いきや、一瞬の動きでパスを許してウォーターマンに乗っかられ、パワー任せのハイパワー・アームロックでフィニッシュ。
大味なだけに、意外と楽しめましたね。第五試合 ×エメリヤーエンコ・アレキサンダーvsミルコ・クロコップ○
アレキサンダー、めちゃ動きよかったです。
ミルコのものすごい切れのある膝や、打撃を受けながらも、意外とコンパクトにまとめた打撃でミルコを相当苦しめました。
しかし、ラストは左ハイ一閃!
けれど、この試合は両者にペイがあったいい試合になりましたね。
ミルコの完全復活と、アレキサンダーの将来性、すべて明るく輝いた試合でした。第六試合 ×近藤有己vsヴァンダレイ・シウバ○
不動心、シウバをしても思わず慎重にならざるを得ないほど、安定した動きで戦っていました。
シウバの回転の速い打撃の最後にカウンターで一発かますスタイルで、上手にやっていたんですが、近藤が放ったローキックにあわしたワンツーがヒット。
思わず下がったところに、ワンツーを繰り返して追いかけて、ついにパンチがクリーンヒット。
倒れたところを、顔面ストンピングでレフェリー・ストップ。
しかし、ラストのストンピングは最初か、二発目からロープを持っての連発していて、少なくとも最初の一発目までは近藤には意識はあったように思いました。
駄目押しのストンピングは明らかに故意によるロープのホールディングからのストンピング。
これを高田は、流れだからと説明していましたが、これは問題視しないといけないだろうと自分は思いました。少なくとも、レフェリーは二発目で気付いて、割って入り、反則裁定や一旦ストップも出来たはず。これはいい試合だっただけに残念でした。第七試合 GP決勝戦 △エメリヤーエンコ・ヒョードルvsアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ△
大会に影を落とした試合になりましたが、実際ドクターストップに至るまでは至極まともに試合はすすみ、ああヒョードルの馬鹿強さが光ってるな、ノゲイラ研究してるなと、思った矢先の事件でした。
飛び込んでパンチを打ちたいヒョードルと、体を起こしたいノゲイラの動きが同調した不幸な事故でした。
傷は、5センチくらいに及び、白い骨も開くと見えていて、明らかにストップに値するものでした。
一部のお客さんがブーイングをしていたのは、判断の遅れと両陣営への説得の遅れが原因なんですが、あの傷を見た時点で、高田か榊原社長権限で止めて、次回に持ち越したほうが、変に時間をかけるよりよっぽどすっきりしたような気がします。
今回の傷を、表現するなら右目の上にもう一つ、目が出来たような傷でした。
試合もよかったし、休憩時間が25分と半端に長かったことと、メイン前の15分間の準備時間がちょっと億劫でしたが、選手側にはいいのかもしれません。
総合格闘技ならではの、不透明決着というか、それが現れていて、それはたとえPRIDEでもそんなことはあるんだと、お客さんに分からせる説明能力が問われたような興行で、それも含めて優にしました。
これを乗り越えたPRIDEは、さらに大きなプロモーションに変化するはずです。
しかし、どうせノゲイラとヒョードルが二試合するんなら、小川やハリトーノフもどうせ一日二試合に同意しているんだから、三位決定戦みたいなのもやってほしかったな。
それなら、まだ小川の真価が見れた気がする。ヒョードルが完全に封殺しちゃったからなあ。