2004年4月17日
大阪プロレス 大阪IMPホール大会観戦記 |
観衆:???人
1:B・バファローVS的場
デビューして半年、未だ勝ち星には恵まれない的場ですが、随分試合にも慣れてきた様子。今日は大先輩であるバファローに、打撃戦を挑む見せ場を作ります。今のところお笑い限定ながら、メインにも起用されるようになってきたし、受けも相手のフィニッシュホールドを出してもらえるようになって来ました。一般の新人から言えばちょっと成長の度合いがとろいんですが……鈴木の初勝利・タイガースの何十連敗を見てきたものとしては許容範囲。
今のところ、アルゼンチン・一本足頭突きの次の一手があれば、10分以上は楽しめるんだけどなあ。バファローのバックドロップ、ラリアットを返したのは良かった。パイルドライバーでピンフォール。
うん、ファンにも先輩にも愛されてるな、彼は。評価:3
2:ゴアVSユタカ&チカコ
これ、アングル説明必要なんじゃないの?(笑)。確か、アイドルキャラの福田ユタカ改めユタカのスキャンダル発覚! 相手は売店を切り盛りする白鳥千佳子だった!なんてのりだったような。ちょっと幸せぶとりのユタカが気になるところ。
ユタカはあまり進化してないなあ。黄色い声援を上げる白鳥とのラブラブギミックも、ちょっと本人同士でテレが見受けられる。こういうネタって、周りが引くぐらいべたべたにやるぐらいでちょうど良いと思うんだけどね。「ユタカーー!! わたしのために勝って!!」「チカコ!! 俺に力を貸してくれ!」みたいな。うわ、ちょっとひいた。
白鳥がちょこちょこ介入するものの、ゴアの牙城は崩せない。ゴアもシングルマッチが上の試合で使われるようになってきたし、ベルトに挑戦してもなんも問題ないわけだし。パンフのコラム連載で料理の話ばかり書いてるところは好感が持てる……悪役だけど。
小うるさい白鳥にジャックハマーを敢行するも、これをかわした白鳥、逆襲のスイングDDT。さすが元女子プロレスラー。しかし直後にラリアットからのジャックハマーでユタカが撃沈! ダメじゃん! この技、かつてのガンマスラッシュに匹敵する説得力を発揮してきました。瞬発力のあるゴアにはよく合う技なので、今後も大事に使って欲しいですね。評価:3
3:えべっさん・ガンマ・ミラクルマンVSデルフィン・くいしんぼう仮面・ペロ今日は結構新ネタが多くて、いつもより楽しめた感あり。えべっさんとくいしんぼうを除けば、全員新コスチュームで新鮮です……ミラクルマン、いくらなんでもTシャツとジャージは金かけなさ過ぎでは。
ガンマ組改めエビス組、ネタユニットとしてはどうなるものか心配だったのですが、ガンマとミラクルマンもボケ具合も以前に比べて格段にスムーズになりましたね。次から次へのネタふりの嵐、本職ではない二人には厳しいものがあったと思うのですが、漸く「モノ」になってきたのかな。
定番のネタにアレンジを加えて、常連も楽しめる作りになってきたのは良い傾向だと思います。この手の試合はネタ切れとマンネリ化が一番の大敵ですからね。ただ、それだけに映像での演出が出来なかったのはちょっと痛かったな。
くいしんぼうの予想外の活躍、誤爆も合わせた金的攻撃を5〜6発食らったガンマ、とどめを加えようとくいしんぼうが首かっきりのアピール……長い! 見かねたデルフィンがデルフィンクラッチでさっさと試合を終わらせてゲームセット。
試合後、沖縄のなんとかいう飲み物をしきりにアピールするデルフィン軍団。あ、スポンサーなのね……(笑)。せっかくのエビス組お披露目なのに負けてしまったえべっさん、
えべ:「このままでは収まりつかんで。明日のホリパラ、デルフィン軍団と解散をかけてやろうやないか!」
あ、来週から違う路線なのね(笑)ガンマ:「えびす……お前の心意気、よーわかった!」
えべ:「お前が負けとるんや!」
ガンマ:「わいも人の子や。鬼やあらへん」
えべ:「わかっとるわ!」
ああ〜〜グダグダ(笑)。えべ:「ミラクル兄貴もそれでいいか!?」
ミラクル:「……え、ああ、俺ネタ食ってへんから」
えべ:「……兄貴はアドリブに弱すぎる」
まったくだ。評価:4
4:BKキッド・タイガースマスクVSツバサ・ガルーダ一応、この試合もガルーダ絡みでいろいろあったんですが、映像がないために省略。ん〜〜やっぱりきつい。
試合の方はルチャ特有のグラウンドの切り返しから、スタンドのジャベでじっくりねっとりの展開。ヘッドロックをハンマーロックに切ってとったり、足取りをトンボを切って返したりは見ごたえあるんだけどな……相方曰く、
「複雑でよくわかんない」
まあ、複雑なのがルチャだから。こういう展開になると、ツバサ・ビリーの両名は素早くて良いです。しかしガルーダ、ツバサとマスクがそっくりなせいでいまいち見分けがつかんぞ。
これが徐々に空中戦に移行していくわけですが、この辺からビリーが捕まりだします。まあ、これもいつものパターン。ビリーが耐えまくってタイガースが逆転するという、キャリア的に言えばありえない展開なんですけどね。しかし、今日のビリーの受けは半端ではない。結構早い段階でクロスアームジャーマン、三角飛びフランケンとくらいまくり、ちょっと防衛に暗雲が。
対するツバサ・ガルーダ組は技の競演に華がある。ファルコンアローを同時に放ったのは勿論、圧巻はリングを分断する対角線トペ。これを二人同時にやるんだから見事なもんだ。ちょっと気になったのがガルーダ。彼、攻めはまあそこそこ見れるんですが、受けにまわった時がこわいんですね。パンプがへたるような感じがして、危なっかしくてしょうがない。あの上背で飛び技をこなすのは大したものですが、投げられた時に相手をカッコいいと思わせるより先に、ひやりとするのは良い傾向ではない。
なんとかたどり着いたタイガーススープレックスもカットの憂き目。再びビリーが捕まってからはいつ3カウントはいってもおかしくない。ツバサのウルトラウラカンラナ、垂直落下式ファルコンアロー、そしてドラゴンスリーパーでついにビリーの動きが止まります。
「こんな地味な技で終わるなんて嫌だな!」
相方よ……一応ドラゴン藤波が一世を風靡した技なんだが(笑)。タッチしたガルーダが投げ捨てジャーマンからフェバリットのファイアーバード、万事休すかと思われたビリーが膝剣山の一輪挿し! 気がつけば二十分オーバーの大熱戦。「ね〜天笠、どっちが勝つと思う?」
「ま、プロレス的に言えばツバサはともかくガルーダがとっても客入らんだろ」
「なんでそんなしけた視線でしか見れへんわけ、あんたは!?」
……俺って穢れてますか?
タイガースの奥の手、デルフィンスペシャル3号でも決まらず。カットしたツバサが場外に連れ出したため、勝負はリング中央でどつきあうビリー・ガルーダの間でつけられることに。J−CUPでゴアを沈めたウラカンラナで勝負をかけたガルーダですが……。
蘇生したビリーのニールキックからの蝙蝠吊り落とし(変形シュバイン)。これでグロッギーになったガルーダに駄目押しの二発目。あたしゃ思わず若林の実況を思い出しましたねえ。
「鬼だ! 鬼が二人いる!」
リング上大の字のガルーダに、とどめのファイアーバードスプラッシュが炸裂。ガルーダ、肩が上がらず。勝負タイムは25分56秒。インディーじゃ異例のマラソンマッチでした。防衛戦を続けるたび、最初は頼りないトラビリでしたがだんだん貫禄が出てきたように思います。立場が人を作るってことか。毎回、やられそうで勝っちゃうのが魅力なんだが、王者時代のW2に似てるような。虎はともかくとして、ビリーの当たり率が極端に高いのは評価できる。
試合後にJ-CUPで敗れているゴアが乱入。満身創痍のガルーダにラリアット決めて再戦をアピール。こっちでも漸く、J-CUPのアフターがはじまったか。評価:5
5:村浜VS大王カルトタイトルマッチなのにセミ。メインが現在の大阪で考えうる限り最高のカードなので致し方なし。相方は大王カルトのファンなので、開始前からテンション上がりすぎです。
試合前に観戦に来てた、爆竜戦隊アバレンジャーの役者さんから村浜に花束贈呈。オンエア中から思ってたが、ヒーローにあるまじきテキトーな命名はかなりどうかと思う。横の兄ちゃんいわく、
「こいつらに地球の平和は守れんな」
「だって勝てそうやもん。素で」
ま、特撮業界もプロレス界も、イケメンばかり増えて昔ながらの濃い顔がなくなってきたというところかな。古くは藤岡弘、宮内洋……おっと話題がそれた。試合の方はカルトの奇襲からスタート。ここ最近、村浜の口癖が
「もう駄目っすわ」
「ぜんぜん駄目っすわ」
だったので、序盤のカルト有利は予想できたんですが、それでもほぼ大阪黎明期から一貫してヒールのNO.2を演じてる彼、対するは最近負けが込んで来てるとは言え、実績は格段に上の村浜。中盤からはだんだん巻き返されてきます。
ニールキックからミドルキックのラッシュ。フィッシャーマンからいつものぶち切れラッシュ。カルトの反撃もどうしても単発で終わってしまいます。つーか村浜、もうちょっと受けてやれよ(笑)。どうも、メジャー団体の雄から見ると見劣りするんだよなあ、王者としては。
えべつない角度のハイキックでカルトがダウン、相方絶叫。
「村浜! 空気を読め!」
……大森さん!?ここで加賀百万石アッパーを狙った村浜ですが、これが松井レフリーに誤爆。これに気づかない村浜、キックからブレンバスターで楽勝コースでしたがカウントが入らない! 村浜が松井を引き起こしてる最中に体勢を建て直したカルト。とどめを刺そうと蹴りを狙った村浜の顔面にぶちまけられる必殺パウダー攻撃。ムタなら毒霧かましてるところですかね。小麦粉ごときでうろたえるなよ村浜!(笑)。
ここからラリアット、旋回式垂直落下ぺディグリー。ノアオタ風に言うなら、旋回式SAYONARAか。ここからほぼ旗揚げから一貫してフィニッシュにしているこだわりのチョークスラムで叩きつけ、晴れて村浜王座陥落となりました。村浜もようやく重圧から解放されると言うわけで。岸和田愚連隊VS新日本でしばらく話題はもつので、これを機にしばらく休むっちゅうことでしょうね。
しかし王者カルトで客を呼べるのかな? まあ、長期防衛はまずないと踏んでるんですが、それでも多分プロレス生活初のシングル王座。本名時代から見てると、どうしても応援したくなるんですよね。評価:4
6:ライガーVSマグマお目当ての試合。入場時から他の試合とは雰囲気が違う。今日は新日本ファンも多数来てたらしく、結構大規模な応援合戦が成立するぐらい。フルハウス800人の会場じゃもったいないよ。
ゴング前から両者、今にも相手に飛び掛っていきそうな勢い。これでこそライガーさんだ(笑)。ゴングとともに突進、体当たり、どつきあい。正統派をよしとするライガーだけど、基本的にはやっぱりこういう相手こそ手が合う。やっぱり金本とは別のコーナーに立ってて欲しいなあ
序盤はパワーでマグマが圧倒。力任せのリフトアップスラム、マンドリラーでダウンさせておいて、観客期待のその場飛びムーンサルトプレス。
「見たか新日本ファン!」
と叫ぶ前の席の兄ちゃん。隣の新日本ファンの兄ちゃんは、
「ま、ライガーは一応相手の攻撃を全部受けるからね」
と彼女に講釈。
場外でも優位にたつマグマ。このまま押し切ってもおかしくない勢いを止めたのはライガー、起死回生の低空ドロップキック。マグマ勢いあまって一回転。
ここから形勢逆転。ドラスク連発で場外に落としたあと、鉄柱攻撃からアバレンジャーの眼前で机上にニークラッシャー、長机を引っつかんでぶんぶん振り回す獣神が怖すぎ。やっぱりライガーは怒ってないと。
マグマファン曰く、
「反則やろ! くそむかつくわあの禿山田ー!!」
いやいやいやいやいや(笑)。いろいろ突っ込めるんだけどやめとこう。
リング上に戻してから再度足取り。「折ったれ!」との観客の声援に応え、
「おう! 折ったるわい!!」
とドラスク二連発、そして足四の字。ライガー、まるでVSノアジュニア並の怒りくるいっぷりです。いや〜このときのマグマへの声援、普段ブーブー言われてる者とは思えませんね(笑)。
なんとかロープブレイク、ラリアットとハイブリッジジャーマン、そしてセカンドロープからのラ・ケプラーダで反撃にでるマグマ。いや、それはパワーファイターが使う技じゃないんですが(笑)。怪獣時代以来だな、これ。
しかし、セカンドロープからのムーンサルトが誤爆。この機を逃さないライガー、浴びせ蹴りからライガーボム、それから垂直落下の体勢へ。ここで入ってきた愚連隊の乱入テクニックはさすが熟練の呼吸。
カルトが松井を捕まえている間、ゴアが椅子→バファローがラリアット→ゴアがスプラッシュ→マグマのスーパーフライ。乱入は最小限に抑えて欲しかったんだがなあ……まあ、マグマの引き出しはまだまだあったしねえ(笑)。
これをカウント2で返すライガーにとどめ、満身創痍のライガーを抱え上げ、十分に溜めてからバウンドしそうな勢いでラ〜〜ストライド!!、エビ! エビ! エビーー!!って感じ?(笑)。反則絡みとは言え、大阪では史上初のシングルでのライガーフォール。
「マグマが勝ったーーー!! 狂喜! 乱舞! マグマが勝ったーーー!!」
と福沢実況並の大歓声。
対する新日ファンは罵詈雑言。
「そりゃ四人がかりじゃ勝って当然だろう!!」
でもまあ、仮にもGHCを預かるライガーが、たかだか地方インディーの一選手に完全ピンフォール取られるのは、いろんな意味でまずいっしょ(苦笑)。個人的に、マグマにはリバースファイアーサンダーやらスープレックス地獄(元祖オブライト)をやって欲しかったんだが……ライガーなら受けきれると思うんだけどなあ。お約束の完全失神で、長椅子担架で運ばれる獣神、リング上では岸和田の独壇場。
「おいお前ら! これでよくわかったやろ!」
これもう決め台詞になってるよなあ。
「この四人で新日乗り込んでやるからな!!」
時期的には次のドーム辺りかな? 代々木の金本もそんなこと言ってたような。新日本・大阪ともども、次につなげるにはあれしかないグッドエンディングでした。評価:5
総評:悪者大活躍といえど、下手に試合が壊れることもなく良い大会だったんじゃないかな? メインは別としても、セミセミのタッグ選手権。ちょっと場がもたない感もあったけど、ツバサとビリーがお互いのパートナーをよくカバーしてた。
内容の良いロングマッチがコンスタントに打てるのなら、もうそろそろひとつ上の段階にあがっても良いころだと思う。地道なのはデルフィンの良いところですけどね。
あとは営業も含めた他団体がらみかなあ。そろそろノア&0−1勢との絡みも見たい。とりあえず、今日のところは料金以上に楽しませてくれました。……村浜がなんか辞めそうで怖いよなあ(笑)。
文責:天笠