2003年12月21日 大阪プロレス
大阪IMPホール大会観戦記 |
観衆:808人
ほとんど月一連載みたいになってきました、大阪観戦でございます。ノア観戦を続けてきた例年とは違い、今年は敢えて別の団体のおっかけをやってみました。ノア観戦記だったら、行く人も書く人もたくさんいるだろうし……と思ってたら、下半期に入った途端、観戦記コーナーにはピンク(大阪)と茶色(プライドBy佐の介氏)が交互に並ぶという、とても全日&NOAH系とは思えない状態(笑)。
みなさん、プロレスはやっぱりライブが一番ですよ! 見ても書くのがあれだけど。というわけで、今年最後のIMPです。前日、地上波で東京大会の模様を見て士気を高めつつ、そこでのJ-cup速報を見ていきなり士気が下がります。井上・石狩はまだ良いよ。僕も出るならこの二人だと思ってたし。でも村濱ってなによ。新しいスターを出すのがコンセプトの大会で、いきなり団体のエースぶつけてどうする。イルカさんはどうも本気で優勝をさらうつもりのようです。おとなげねーなあ。
1 ツバサVS福田
肺炎で欠場してたらしいツバサの復帰第二戦だとか。とは言え、見た感じはいつもと変わりないように見えました。動き自体はちゃんとしてるし、飛び技も普段と比べて遜色なし。福田もいつも通り、第一試合としては無難な出来でしょうか。無難すぎて印象に欠けるし。福田君の攻撃にある程度付き合って、ファルコンアロー二連発からドラゴンスリーパーでツバサがギブアップ勝ち。10分持たないかと思ってた(笑)。
評価:3今年の福田君:福田君なあ・・・今年もあまりパッとしなかったなあ。同時入社の阪神仮面があれだけプッシュされてるのに、この格差はなんなの? 俺が彼だったら夜な夜な泣きますよ。ルックスは良いし、たまに「おっ?」と目を見張る頑張りも見せるんだけど、なかなかメインストーリーに組み込んでもらえない。
いつも試合前にリングチェックやってるのを見ると、「どうせ抜けられない泥の中なら、いつか蓮の花でも咲かせてみようじゃありませんか」とでも声をかけたくなる。今年のツバサ:まず第一に、怪我が多すぎ。今年も去年に引き続き、インフィニティ関連が大半を占めた彼だが、常にどちらかが怪我してたんでは? この人、大技はあまり見栄えがしないが、ちょっとした小技が天性の華を感じさせるのは多いに買いです。牛さんとも破局を迎えたし、来年はシングルファイターとしてやっていくのかな?
2 Gamma&えべっさんVS社長&くいしんぼう
でもフィニッシュのドラゴンスリーパーっておいらあんまり好きじゃないんだよねえ。
先月のガンマデルフィンネタの流れで、なぜかヤクザギミックになってしまいました。このネタ、しばらく続きそうだけどちびっ子には判らんだろうなあ。入場曲は「仁義なき戦い」……田上? えべっさんの「おじきが動いたら……茶臼山も動くで……!」ってのは個人的に物凄いツボなんですが。
試合自体、いつものアレなんですがギミックに合わせてちょこちょこネタが変化しとりますな。とりあえず機会があれば見るがよろし。試合と会場がかなりいい感じでグダグダになったところで、Gamma叔父貴のフラッシュバックでくいしんぼうが轟沈。
黒スーツのGammaがジャストフィット。
評価:3今年のGamma&えべっさん:Gammaは本当に肩に泣かされた一年でしたな。村濱と結託して、いざ他団体出陣しようかという矢先にやっちゃったし。結局、メスはいれないですむことになったけど、大事にして欲しいですよ、本当に。お笑い方面に染まりすぎるのも、ファンとしては複雑なところだろうけど。なまじ面白いからなあ。
で、えべっさんですが……こちらは対照的に飛躍の一年。スーパージュニアに出るは全日本には出るわ。ある意味、大阪のエースですし、来年はまた未踏の地に立って欲しいですねえ。NOAHとかNOAHとかNOAHとか。今年のデル軍団:……はいいや(笑)。第一線からひくと宣言して本当に馬場ポジションに立ってしまいました。社長に関しては、先だっての有明みたいに、たまに往年の凄みを発揮してくれるだけでいいかな?って気がします。てゆーかJ-cupの交渉がんがれ。
3 グラン浜田VSブラックバファロー
やたらテーマ曲がかっちょいい浜さん。なんか出るなり不機嫌モードですが、リアルでなんかあったのでしょうか。黒牛さんの奇襲もものともせず、頭突き・ラリアットとニールキックで追い込んでおいて、とどめに旋回式浜ちゃんカッターで一蹴。書くことあんまりないなあ……ゴング後も食い下がるバファローを場外に叩き出し、ついでにチェックの甘い松井レフェリーにも頭突きを一閃。なんか的場君を彷彿とさせるやられっぷりの牛さんが涙を誘います。
評価:2今年のBバファロー:今年一年、興行の中心に陣取りながら、主要な試合はほとんど敗北でつっぱった希少なお方。まあ、大阪は浪速のWWEみたいなもんなので、勝ち負け自体に大した意味はないわけですが……それにしても(涙)。つくづく報われん人ですなあ。
4 ミラクルマンVSペロ
思うんですが、黒牛の岸和田入り→インフィニティ解散の巻はどう見ても失敗じゃないかな。ファンでも予想してた人はかなりいるだろうし、戻っても岸和田のやられ役というのは余りに不憫だし、後味悪いし。これなら、むしろ心機一転のバファロー→ツバサが突然岸和田入り!……なんて展開の方がよほど今後の幅が広がるんじゃなかろうか。
ここから大逆転のストーリーをやらかしてくれるのを期待します。ラリアットはともかく、マイクは良いんだしさ。
で、大阪名物選手権。かたや巨人ファンのミラクルマン。かたやただの犬のペロ。もはや大阪とはなんの関係もないのですが、これで良いのでしょうか。全体のトーンはお笑いながらも、二人の微妙なすべりっぷりがいい味出して、これはこれで面白かった。見せ場のほとんどをセコンドのGamma&えべっさん&福田@アイドルに取られていたとしても(苦笑)。
エクスプロイダーやら延髄斬りなんかで追い込んだミラクルが、セクハラ攻撃をペッキーに見舞ったのが最後の見せ場。横回転付ファイアーバードみたいな技でミラクルが抑えて幕。ミラクルツイスター? ツバサのトルナデ・アカプルコとか言う技ではなかったかな。
評価:3今年のミラクルマン:コメントに困る(苦笑)。なんでも出来るのに、こやつの試合はいつも今ひとつに見えるのは何故? 安定感のある中堅どころとしてはいい仕事をするけど。その辺、本人も敢えてネタに利用しているところもあるようなので、来年もこの位置をキープすること濃厚。そのうち、テコ入れの一貫で悪役に転向しそうです。
今年のペロ:二月の城ホールを最後に転身してから、なんか微妙な印象が続いてましたが、彼女のペッキーが登場してから、回を重ねるごとに良くなってきた。コントでもえべっさんの力を借りずに、自力で笑いを取れるようになったのは大きい。でも、えべっさんが評価されたのは、お笑いとストロングスタイルを両立させていることなので、リング内の動きも精進を重ねて欲しいものです。今はまだ、良くも悪くも中の人の動きを出ていないので。
5 ビリケン&タイガースVSカルト&ゴア
本日のベストバウト。まあ、カルト・ビリケン・ゴアに関しては外れの心配は皆無だし、ちょっと虎が格落ちな気もしたんですが、見事なフォローにまさに全員が主役状態。この試合、前回に引き続いて相方と夕飯を賭けてまして。
「あたしカルトとゴアに勝って欲しいなあ・・・どう見てもタイガースより強いし」
「じゃ・・・俺、ビリーと虎な」
大阪プロが、インフィニティのネクストということで、等身大のヒーローとしてこの二人を売り出そうとしているのは明白。ここでプロレス観戦経験のキャリアの差が出たか……!この勝負貰った! なんて、賭けに勝ってなければ書いてないんですが。
実際、ここまでのストーリーラインも1シリーズで作ったにしては良く出来てたし、試合もほとんど総力戦といった感があって、ストーリーに関係なく、次代の大阪を象徴する試合だったと思います。序盤、タイガースがゴアの花道ジャックハマーで戦線離脱する場面が気になりましたが、それもビリーが脅威の受けでカバー。初公開の3D、雪崩式リバースブレンバスター、餅つきパワーボム、そしてチョークスラム……ことごとく2で返す姿はまさに受けの凄み。
耐え切ったビリーのファイアーバード、ラ・エスパルダもカウント2、替わって入ったタイガースが、今度はゴアからジャックハマー、シャイニングウィザードと立て続けに食らってもはや万事休す。と見せかけて、とどめのスプラッシュを剣山で返す気合が、今日のハイライトですか。これがいつも出ていればなあ……ビリーのミサイルキックのアシストを受けてのタイガーススープレックスでゴアを降し、そして俺に晩飯をもたらしてくれました。ありがとう!!
試合後のゴアが握手を求めに行ったんですが、キャラじゃないところが、余計に「試合を作る」という意味を考えさせてくれました。悪役にとっても、多分会心の出来だったんじゃないだろうか。
評価:5今年の若手正規軍の二人:タイガースにとってはまさに、大きく躍進した一年でしたが。でも課題は山積みだと。当たり外れがでかいのが一番大きい。結果は出してるが、今のままでは会社のプッシュが露骨過ぎ。それをファン側に不自然に感じさせては、大きなマイナスだ。まあ、来年は阪神の活躍次第でシングル巻きそうな気もするんですが……今年は星野がいないから(苦笑)。
ビリーケンはかなりいい感じで格が上がってますね。Gamma負傷中の今では、実質正規軍ナンバー2でしょうか。このままタッグでしばらく続けるなら、せめて半年。タイガースとのコンビで、タッグフェスタ優勝を。本当は余りにも卒がないのがちょっと不満だったりして。今年の岸和田の二人:カルトが人気ない。キャラ的に弱いのは分かるし、脇に回ってこそ光る選手なのも承知。でもたまには、ストーリーにガンガン絡んでいく彼も見たいわけですよ。その見地で行くと、今回のゴアとのタッグはなかなか良かったりする。どうしてもマグマの下にしか見られないよりも、同格よりちょっと上ぐらいが一番いい。ただでさえ、自己主張が少ないし。
6 村濱VSマグマ
で、ゴアですが。今年一番頑張った選手は彼だと思ったりする。今のところ、見た試合全て外れがないし、なにより正規軍時代よりのびのびやってる。転身して成功した一例でしょうね。問題なし。来年こそ、ベルト巻いて欲しいし、他団体に打って出て欲しい。こないだライガーに負けたけどな。あと五年後ぐらいに、二代目デルフィン襲名とかしそうな予感。
で、メインです。大阪の看板カード。ノアで言うところの三沢VS小橋。全日でいう武藤VS川田。
この試合に関してはなあ……僕らの隣に三十代間近と思しき男性が座っていたんですけどね。もう独り言が凄いのよ。まずゴング鳴って、珍しくマグマが奇襲をかけないんですけど。
「村濱……気をつけろよ……今日のマグマは冷静やぞ……焦ったら思う壺やぞ!!」
まずここで天笠、早くもノックアウト。
最初はグラウンド勝負。なんか村濱がマグマに圧倒され気味。そうこうするうち、場外戦になって、村濱が鉄柱に叩きつけられる。
「……ここでマグマの凶暴性が出たか!!」
いや、マグマはもともとヒールですから(苦笑)。鉄柱に投げたぐらいで凶暴といわれたら大多数のレスラーは……。
開始後、約15分で村濱は大半の技を出しつくし、ブレンバスター三連発をも返されて打つ手がなくなり、しばらくマグマに攻められる一方になります。投げ捨てジャーマンかラリアット、更にラストライド食らって青色吐息。これまでのストーリーは【1:タッグのベルトを失う。2:前哨戦で敗北。3:マグマ天王山優勝。】、もうこれ以上ないぐらい敗色濃厚な村濱ですが、流石にまだこの時点ではフォールを許しません。しかし隣の兄ちゃん、
「村濱! もう寝てていいんや! また取り返したらいいや! もう立つな!」
……やかましいわ。お前な、150円やるからその席空けろ。
で、一瞬の隙を突いてニールキックで反撃。
「……お前、どこにそんな力が残ってるんや……!」
だからなんでいちいち台詞が梶原一騎調なんだよ!? ここから村濱が怒涛の反撃。前回マグマを破った雪崩式ブレンバスターが返された時は、これで種切れかと思いましたが……ぶち切れ村濱はやっぱり強かった。再三のラリアットでなぎ倒されるも、その度ゾンビの如く起き上がり、掌打とキックのラッシュを仕掛けていきます。徐々に、マグマの反応が鈍って行き。最後は膝立ちのマグマの顔面に高速のミドルキックをぶち込み、そこから駄目押しのブレンバスター投下。川田か己は。
隣を見たら、やっぱり泣いてやがるよ……(苦笑)。
「村濱―――!! 村濱――――!!」
なんつーか、間近で聞くとこれほど鬱陶しい観客もいないんですが、こんなファンがいてくれること自体が、大阪の強みなんでしょうかね、やっぱり。にしても、なんで俺はこんなに席運が悪いんでしょうか(笑)。今年の村濱:まあ、K-1にも出たし。NOAHにも出たし。かなり頑張ってたと思うんですが、やっぱり王者としてどうかと問われれば……特に思いを強くしたのは今日の試合を見てからです。四年目と考えれば出来すぎも良いところなわけですが、チャンピオンにしては、一試合の幅が少なすぎると思う。お笑いもストロングスタイルもよくこなすけど、一試合に限定すれば、試合が単調になりがち。ありていに言えば、引き出しがない。相手の良いところを完全に引き出せてない気がしますし、それにオフェンス面でも種が切れたらブレンバスターとサブミッションに頼り切りになってしまうのはいかがなものか。
ここぞという時の気迫の見せ方は非常に上手いし、打撃の迫力はプロレス界でも随一。だからこそ、さらに上を目指して欲しいと思います。プロレスラーとしては、デルフィンに比べるとまだ見劣りするのでね。好選手から名選手に、これが来年の課題でしょうか。今年のマグマ兄さん:しかし彼は本当に村濱とは相性が悪いですねえ。今年、これだけ頑張ったんだから、最後ぐらいベルト巻いて欲しかったんですが。普段の試合でも、好き勝手やってそうに見えて、きっちり相手をリードする姿は好感が持てますし、まさか最後ぐらいマグマが良い思いしても、誰もバッドエンドとは思わないだろうに。
ふう、長かった。
今年は城ホールから今回まで、何かとマグマが泥を被るシーンが多かったように思われますが、まあ今の流れから言えば年明けにも村濱VSライガーでタイトル移動→マグマ挑戦という流れが十分に考えられますので。こっちに期待ですね。マグマがスポットライトの中央に立つ姿を見たいのは、僕だけではないはず。
まあ、丸一年同じ団体を見続けてつくづく思った。この団体はまだまだ改良の余地が多いなあという点。完成された団体なんてないし、メジャーなんかはなかなか変えられない点もあるだろうが、ここはまだ工夫次第でもっと良くなるはず。
さて、来年一発目はNOAHを見に行きます。悪名高き神戸ワールドですが。今度はなんかインパクトでかいカード組んでくれよ。