2003年11月9日 大阪プロレス
IMPホール大会観戦記 |
観衆:???人
決勝大会でございます。場所は映画の先行試写会以外には使い道の思いつかないIMPホール。前回に入手したチケットはなんと三列目。でもデルアリじゃ結構楽勝に最前列に座れるので、あまり有り難味がなかったりする。
しかも、二列目にデジカメ持った親子が陣取り、試合中に身を乗り出してパシャパシャやるので見づらい事この上なし。デジカメ使うなら二階席行きやがれと。実は準決勝のカードが出揃った時点で、相方がニヤニヤしながら、
「誰が優勝するか賭けよっか♪」
「じゃ、当てた方が晩飯奢るのでいいか」
「じゃ、あたしマグマ」
「……(゚Д゚)ハア?」
プロレス知らんと思って下手に出たらいい気になりやがって……1:大王カルトVS的場
今日は的場が何分持つか、この試合の見所はその一点。めったに10分以上もたないが、見るたびに新技を引っさげて来るのでちょっと好感が持てますな。まあ、ラストは逆エビか何かだろうな〜と思ってたら、ビッグブーツから河津落としという新しい攻め手を開発。やっぱり、ちょっとアメリカナイズされたダイナミックなプロレスが好みらしい。
しかし若手のうちからこういうことやってたら、基本はルチャの大阪じゃ将来は必然的にヒールに(笑)。瀬野の例もあることだし。で、その瀬野じゃなかったカルトはある程度付き合ってからおもむろにラリアット→アルゼンチンで早々に試合を終わらせちゃいました。まあ、彼もある程度のキャリアはあるし、前座の第一試合は不満かも。
でもコメディも出来ればハードコアもできるカルトの芸の幅は、一部で絶大な評価あり。
評価:2
大王カルト(6分06秒アルゼンチン・バックブリーカー)的場2:えべっさん&トルトゥガー&福田VSデルフィン軍団
福田、なんか時代を逆行するジャニーズ系のコスチュームで登場。観客の度肝を抜く&失笑を買うを同時にやってのける器用な真似をします。このまま放っておけば、福田はこの路線で定着しちゃう可能性大。しかし相変わらず入場が長いっす。タバコでも吸って来ようかと真剣に悩みました。
試合の方はいつもどおり。よく言えば新喜劇調。悪く言えばマンネリ。僕のお笑いのつぼは吉本で培われたので、こういうコテコテなのは割と好きなんですが、嫌いな人はちょっと食傷する恐れあり。ただ、小ネタを駆使して場が盛り下がらないように苦心するえべっさんと、展開を工夫して毎回目新しいものを出すシナリオ担当の人(これもえべっさんかなあ)には頭が下がります。大阪が巡業をやって、半年に一度見る分には満足間違いなしなんですが。
中盤、福田がコーナーに逆さづりにされて、そのまま全員に放置されるのは目新しい展開。頭に血が下がって苦悶の表情の福田の眼前で、延々と繰り広げられるいつものネタ。くいしんぼうが、亀をパワーボムに捕らえて首かっきり。その最中にえべっさんが閃光魔術。これも定番ながら、くいしんぼうが福田に衝突。ダウンしたくいしんぼうの上に福田がそのまま倒れちゃってカウント3。福田、くいしんぼうから初勝利!! おめでとう!!
……やっぱりこの路線で行くのかなあ(笑)。近いうちにマスク被ったりして。ドテ焼き仮面とか。
試合後のなぞなぞコーナーでペッキーが「栗は栗でもびっくりしたときに……ああ、答え言っちゃった!!」というシュールなネタを披露して幕。地味にバルーンアートをマスターしているペロ。
評価:3
福田(15分49秒体固め)くいしんぼう仮面3:ツバサVSマグマ
まあ、二回戦までの内容から見ると、ツバサに勝ちの目は薄いんですが。別にツバサが悪いわけじゃなく。考えてみれば、マグマに黒星がついたのは過去わずか三回。しかも両方エースに不覚を喫したのみ。
戦前予想はマグマ圧倒的有利なまでも、序盤はツバサが果敢に攻め込みます。基本的にツバサはグラウンドとドロップキックで序盤の大半を過ごすわけですが、今日は決め技のウラカンラナをリング内外限らず放ちまくり。中盤に飛び出したトップロープからのダイビングフランケンで、一気に場内の期待が高まります。ひょっとしてツバサが獲るかも?なんて女性ファンの期待を、十分過ぎに一気に覆してくれるマグマ兄さん。
定番のラリアットやジャーマン、ダブルアームも切れが良かったですが、一発逆転狙いのツバサが雪崩式フランケンを狙うところ、逆に態勢を入れ替えておいて、気合一閃。掟破りの逆雪崩式フランケンが火を吹いた瞬間が一番びびりました。こりゃ勝てねえ(笑)。ライガーでも勝てねえ。
最後、ウラカンラナであわやの場面を作っておいて、興に乗ったツバサが突っ込んでくるところを、再び掟破り。フランケンシュタイナーで見事にフォール勝ちをスコア。こんなテクニシャンな真似をされては……(笑)。余裕見せすぎです。
評価:4
マグマ(17分21秒フランケン・シュタイナー→エビ固め)ツバサ
4:タイガースマスクVSビリーケン・キッド
先週村濱から殊勲のフォール勝ちを得たタイガースの粘りに期待したんですが、やはりビリーに油断はなしか。
試合の方は普通に面白い。両者とも、身体能力にはそんじょそこらの選手とは一線を画すものがあるし、ルチャムーブの切り返しの応酬も見ごたえあるし。不満点を上げるなら、若手らしい粗やサプライズがほとんどなかったこと。開始直後、握手を誘った阪神仮面がドロップキックで奇襲をかけたんですが、この勝ちに対する執着を、もっとラストまで続けた方が、観客の期待をもっと煽れたはず。一回戦のペロ戦みたいなえげつなさを見せた方が、試合的としては面白く見れたはず。
まあ、技量的にはおおむね満足できる内容だったので、もし再戦があるとするなら、そこに至るまでのストーリーをどこまで膨らませることが出来るかだなあ。
一進一退の攻防ながら、ビリケンドライバーやスウィング式ブルドッキングヘッドロックを返しつつ、必殺のラ・エスパルダを一度はスクールボーイで切り替えしたのがタイガースのハイライト。延髄斬りからの猛虎原爆、ここから出す奥の手、デルフィンスペシャル三号を返されたあと、一瞬の隙を突いた再度のラ・エスパルダで丸め込まれてカウント3。
個人的にはタイガースを応援してたんだが、とりあえずビリーにかけておいて良かった(笑)。
評価:4
ビリー(13分45秒ラ・エスパルダ)タイガースマスク5:冨宅飛駈VSゴア
で、この間の有明で湯浅相手に見事勝利を飾ったゴアさんですが。パンフのコラムからも、なんか的場にめちゃくちゃ優しかったりするし、当初のトンパチキャラとはかなり趣が違ってきている。
そんなゴアさんも見ててかなり面白いんですが、この冨宅戦に関してはもっと当初の悪逆非道ぶりを出しても良かったような。使ったのは椅子ぐらい? 小麦粉ぶつけるなり金玉蹴るなり毒霧吹くなりやった方が、すっきりしたと思うんですなあ。それで試合が壊れて反則負けになっても、ただでさえ冨宅は素でヒールキャラになってるんだから。
まあ、パンクラシスト相手にサソリ固めやったりジャックハマーやったりダイビングボディプレス決めたりは良かった。なんか、赤木圭一にブレンバスター決めようとする三四郎を思い出したよ。最後は蹴りまくられてU伝統の羽折顔面締めのお決まりのパターンだったけど(笑)。
今回は冨宅のプロレス技は出なかったんですが次回の後楽園大会(村濱に挑戦)ではトペコンでもやってくれるんだろうか。
評価:3
冨宅(6分47秒胴締め式チキンウイング・フェースロック)ゴアここで休憩。セミ前に休憩はちょっと体力的に厳しい。ここで後楽園大会とキラメッセ沼津大会の決定カード発表。
えべっさん・タイガースマスク・獣神サンダーライガーVSデルフィン軍団はあ!? 後楽園でこんなカードやるわけ!? ライガー、これでいいのか? しかしこの程度で驚くのは早かった。
ゴアVS獣神サンダーライガー
金村キンタロー・黒田哲人VSマグマ・カルト静岡県民にこんなカード提供して、俺らはなんばでたこ焼きでも食えとでも? うらやましすぎる。しかもこの感覚が大阪人にしかわからんところが腹立つ。観戦できる人は是非行ってください。
6:グラン浜田・GammaVS村濱・ミラクルマン
とにかく浜さん! 浜さん! 浜さーーーーん!な試合。初対決なのになんなの、このかみ合い方。これがキャリアってやつですか?
全日なんか割と前座で便利屋みたいなことやってますが、今日は他の三人が意図的に引いていたせいか浜田の独壇場。別に派手な技を使うわけでもないのに、ジュニア中心の大阪では他の追随を許さない迫力。52歳であのスピードで動けるとは驚嘆の一言。なにより、大阪以外は鼻にもかけないなみに、「あの人、本当に凄い」と言わせる存在感。
コメディ方面でも、村濱と積極的に絡んでいってくれまして。「俺の方が背は高いだろ!」って張り合って見せたり、「このジジイが!」「やかましいガキ!」と激しくも馬鹿馬鹿しい打撃戦を展開。いや、マジで定期的に参戦して欲しいものですよ。聞けばデルフィンの師匠とも言える存在だとか。だったら、タイガース以下の世代は孫弟子にあたるわけで。対戦するだけでも得るものは大きいはず。
上体起こしへのラリアット、ウラカンラナでペースを掴むとミラクルマンにコーナー最上段からの雪崩式浜ちゃんカッターで余裕の勝利。いや、面白かった。
評価:4
浜田(10分57秒雪崩式浜ちゃんカッター→体固め)ミラクルマン
7:マグマVSビリー
まあこの組み合わせなら、会場の支持はおおむねビリーに集まるわけですけどね。後ろの方はどうか知らんが、意外にマグマ支持の声援も結構あったりして、異様な盛り上がり方をしてましたねえ。
岸和田の介入も思ったよりはなく、反則行為も他団体のヒールに比べれば可愛いぐらい。荒れた展開にするなら、流血は不可欠だと思うんですが、それが出来ない大阪が選んだ結論が、鶴田タイプのエースであるマグマなんでしょうね、きっと。しかしあの程度で「レフリー止めろ! 反則しすぎや!」なんて叫ぶビリーファンの、なんと純粋なことか。旧FMWの末期なんか見たら卒倒しますね、きっと。
確かにビリーも頑張ったと思います。別に賭けてるから言うわけじゃないけど、序盤からほとんど一方的に攻め込まれながらも、決してやられっぱなしには終わらないでジャーマンやらライガーボムやらを繰り出していく姿は、感銘に値するものでした。それでも……それでも最後までマグマに「受けてもらってる」って印象は崩せませんでしたねぇ……ええ。
準決勝では見せなかったファイアーバード、ビリケンドライバーなどの、数々の技をことごとくカウント2でクリアされ。投げ捨てジャーマンの連発からのフルネルソンスープレックスでダウンカウントを取られ。この頃になると、マグマのセコンドについてたゴアが、マットをバンバン叩いてビリーに檄を飛ばす姿が非常に印象的でしたね。同世代であり、下克上を狙っていた同士だけに感じるものがあったのでしょうか。
もうほぼ完全にマグマペースのところ、放ったラ・エスパルダもカウント2で返され……ラリアットから問答無用のラストライドで万事休す。ビリーは敗北したあとも立てず。そして、俺は晩飯代奢らされること確定。
金欠なのに。試合後もマグマは元気一杯。若手が光っていても、こういうのを見ると、まだまだトップとの差はあるなあって思います。
「おいお前ら! 誰が強いか分かったやろ! お前(村濱)も弱いくせにベルト巻いてるんと違うぞ! 早く村濱かライガーとシングル組めや!」
ここで村濱が激昂して一瞬即発状態。やっぱり、今しばらくは主役はこの二人から移ることはないかな。マグマもようやく他団体に打って出るし。ぶっちゃけた話、村濱が他団体の選手に負けたってあまり気にしないけど、マグマが他団体の選手に負けたらこの上なく動揺するかも(笑)。
表彰式は、前回(マグマが一般人のリバティプラネット社長に暴行! そのまま無期限謹慎処分を受けて城ホールにつながる)の反省を踏まえて、厳重な警戒の元で行われる。社長、びびりまくり。マグマを必死で抑えるゴアが高評価だ!
週プロ賞は未だ失神中のビリーケンキッド。ベストバウトは、二回戦のマグマVSゴアに決定。表彰状をひったくるマグマのあとに、フォローを入れるように社長と握手するゴアがやっぱり高評価だ! ただの良い人かも!
評価:5足掛け一ヶ月にわたってお伝えしてきました天王山2003。いかがでしたでしょうか。印象としては若い選手が目立ちましたね。ビリーケンキッド、ゴア、そしてタイガースマスク。他団体に通用する選手は村濱しかいないと評価されがちな大阪でも、決して他団体に劣らない(一応僕の肩書きはノアオタです)熱い試合でした。この三人が三つ巴で伸びていけば面白くなるはず。
……しかし、その三人の頑張りすら一蹴するマグマに、すべてかき消されてしまったような。村濱が大阪の強さの象徴なら、マグマは大阪の誇りですよ、本当に。こんな選手が旗揚げ当時から大阪内部でやってるのは、地元大阪人(現在は違いますが)として嬉しく思います。
天王山が真に太鼓判を押せるトーナメントになるのは、若い世代と村濱・マグマが鎬を削れるときになったとき、多分来年あたりは、もっとスケールアップしてるはずだと思っております。
駄文・長文失礼しました。