2003年10月18日 大阪プロレス
デルフィンアリーナ大会観戦記

投稿者:天笠さん

観衆:345人


 
 え〜月刊大阪プロレスこと天笠でございます。NOAH系BBSでひたすら布教を続けてはやしばらく。読んでくれる人だけ読んでくれればと言うことで・・・・・・NOAHオタを自称してるくせにNOAH観戦してないのですが、全ては関西でビッグマッチを平日に打つNOAHが悪いんじゃ!!と。せめて土曜日にやってくれれば(涙)
 今回は天王山トーナメントの一回戦。星川が漢になったのもこのシリーズでしたし、キャラクターレスラーが年に一度だけ真面目になるという意味でも、貴重なシリーズです。二週にわたって観戦してきましたが・・・・・・やっぱりデルアリは狭いわ(笑)。

 とりあえず前座ははしょって本編へと。

1:GENTAROVS福田

 テーマは「福田よ! 男になれ!」 結論から言えばなれずじまい。パンクラスの冨宅戦を初めとして、頑張ってるのは十分に伝わるんですが、如何せん説得力のある決め技に欠ける。下積みも長いし、そろそろ金星に恵まれてもいいのでは。首固めでもスクールボーイでもいいから、なんとか上位選手から一本とって欲しい。
 で、GENTAROなんですが……思ったよりいけるじゃん(笑)。見せ方も心得たものだし、すかしたアメリカかぶれのキャラクターも案外悪くない。何より、福田相手にあれだけ引き出してやれれば十分合格点でしょう。
 試合の方は、福田が耐えてGENの技が切れたところをついていく展開。一時に比べてかなり受けが強くなったのは買い。とは言えそれだけでは。
 雪崩式アストロシザースなどの新技も見せたんですが、新技二号(多分変形のブルーサンダー)を切り返されたのがちょいときつかったか。スワンダイブのボディプレスからスイートチンミュージックでGEN完勝。まったく危なげのない試合運びはさすがベテラン。
評価:3

2:ゴアVSアステカ

 テーマは「アステカよ、もうちょっと何とか……」 城ホールで見たときより、更にまったり感が増していたアステカ。でも試合運びだけは上手い。大阪ではそれなりに会場人気はありますが、ヒールのゴアがヒールとして機能しないのはやっぱり戴けない。
 まあ、ゴアは良くやったと思います。ゴングと同時に自分のフィニッシュをぶつけるのはアレですが、キャリアではかなり上を行くアステカに果敢に挑んでいく姿は、文句なしにかっちょよかった。ひょっとして、彼は最近流行のダークネスヒーローを目指してるのかも知れません。アステカのフィニッシュ、ブレンバスターをジャックハマーで切り替えしたり、リミッターショック(鼓太郎の使うあれ)も完全に決めたし。アステカが狙った足掛け延髄がペチッってヒットしたのが最後。アステカが起き上がらないうちにシャイニングウィザードで突っ込んでピンフォール。まあ、アステカに関してはあの内容で勝利されてもリアクションに困るので、この結果が順当かも。会場の空気も、ヒールのゴアの方に傾いてましたしねえ。
 試合後は、村濱の完全実力主義宣言に肯定的なマイク。11月2日にデメキンで有明に行くそうですが、ここは是非湯浅に勝って師匠に花を添えて欲しいところ。
評価:3

3:村濱VSえべっさん

 テーマは「受けの凄み……堪能させてもらいました」 年に一度のえべっさん真面目モード。試合前のスキットでは「一回戦の対戦が発表された時点で僕の天王山は終わりました……」なんて語っていたのですが、なかなかどうして。
 試合タイムのほぼ8割はひたすら村濱の攻撃をうけまくるえべっさん。期待されるお笑い・コメディ的な要素は一切排除。村濱もチャンピオンなんだから、ちょっとは技を受けてやれば良いものを、反撃も許さず蹴りまくり、腕や脚をかなりの長時間にわたって締め上げる。しかし、ギブアップとピンフォールだけは絶対に許さないえべっさんに、場内のボルテージ最高潮。
 いや、マジで泣いてたお子様もいたような。10分過ぎ、「よっしゃ来いやー!!」と上着を脱ぎ捨ててから怒涛の反撃を見せます。地獄落とし(オリンピックスラム)からえびす落とし、閃光魔術、やたら打点の高いドロップキック……ブレンバスターを首固めで切り返したときは、誰もが金星を期待したはず。
 ムーンサルトをかわされてのブレンバスター、ハイキック二連発から再度のブレンバスターでようやく轟沈したものの、この日のえべっさんの姿に、在りし日の全日本の匂いを感じましたね、僕は。
評価:4

4:浜田VSミラクルマン

 テーマは「仕方ないことだが……不完全燃焼」 この日はほとんど浜さんを見に来たようなもの。伝説の達人VS大阪の器用貧乏。でも大阪のファンはどうも浜さんをもうひとつ判ってないようで、いまいち反応が鈍い。ん〜感涙ものなんだけどなあ(笑)。
 特筆すべきは、二人の試合が始まると、試合が終わった選手が続々と会場に姿を見せたこと。控え室にもモニターはあるだろうに、やっぱり生で見ておきたい!ということか。このことからも、グラン浜田という選手に対するリスペクト、或いは威厳がうかがえます。
 その浜さん、動きは悪くない(むしろよかった)ものの、五分少々でミラクルマンのケプラーダを受け損ねて後頭部強打、昏倒。非常事態にどよめく場内に目を覚まさない浜田、遂に松井レフェリーがストップを宣言してミラクルの勝利……スタッフが「救急車の手配は!?」「もう出来てます!」と叫ぶ声がバックステージまで聞こえ、それが余計に不安をかきたてます。
 一応、精密検査の結果は異常なし。不幸中の幸いだが……まだ契約残ってるなら、もう一度ぐらい出てくれないものか。
評価:なし

5:タイガースマスクVSペロ

 テーマは「キャラクターレスラーの底力?」 と言うことで二日目、一発目はキャラクター対決。この対戦自体、客から笑いを取るために組まれるカードですが、えべっさんに引き続いてお笑いは封印。最近会社から強烈なプッシュを受けているタイガースと、城ホールを最後にデルフィン軍団に編入されて、一人ババを引いた感があるペロ。この二人が徹底的に勝ちにこだわる試合運びをするんですが、色物の中の奇妙な違和感。これがなんとも言えず心地いい。
 タイガースは普段、阪神人気も手伝って会場ではかなりの支持を受けてるのですが、今日はその印象をかなぐり捨てて非情の膝攻めを繰り返します。低空ドロップキック、ドラゴンスクリュー、足四の字固めに膝十字。ピッチング式チョップ後も、いつものようにスライディングに行くわけでもなく、コーナーに逆さ吊にしておいて、膝頭にドロップキック。まるで7月大阪の川田VS武藤を髣髴とさせます。
 中盤になると、ペロももはや満足に立てなくなるんですが、言うことを聞かない膝を何度も叩いて立ち上がります。そこになおも攻撃を加えるタイガース。大阪らしからぬ極めて異常な空気。
「良い試合をしました、頑張りました、今年はそれで終わらす気はない」
 と語る試合前のタイガースの映像に説得力が出るというもの。エルボーで反撃したペロも蓄積したダメージからか、パワーボムやペロクラッシャーからフォールにいけません。見てるだけで悲痛なペロに、タイガースの猛虎原爆固めが炸裂。一度は返されるも、二度目を意地で決めて見事。タイガース二回戦進出。
 キャラクターを逸脱した二人の試合、いつもとは違ったけど良かったです。特にペロは、なかなかこういう機会がないし。
評価:4

6:ツバサVSくいしんぼう仮面

 テーマは5試合目と同じ。いきなり奇襲をかけるくいしんぼう、逆水平の音だけで客をびびらすくいしんぼう、なにより攻撃を受けても仁王立ちのまま、強烈な張り手をかますくいしんぼう。覆面のせいで表情がよめず、苛烈な攻撃を食らっても無言のまま攻撃を返すくいしんぼうが、ターミネーター的な印象を与えてめちゃくちゃ怖い(笑)。普段は自爆が前提のうまか棒(背面式ボディアタック)も要所でツバサの動きを止め、一瞬のフランケンで何度もあわやの場面を作り出す! まあ、中の人の実力は判ってたんですが、これほどの好勝負になるとはちょっと予想を超えてました。
 受けの方も、クロスアームジャーマンやウラカンラナ、そして決め技のドラゴンスリーパーも、ことごとく決まらず。逆に、雪崩式フランケンで動きを止めると、的確に頭部をわき腹にヒットさせる新型の関空トルネードを二連発。この試合に限っては、会場人気トップクラスのツバサを、声援の量で完全に凌駕してましたね。
 ラストは両腕をクラッチする変形のドラゴンスリーパーで無念のギブアップ。満身創痍に関わらず、試合が終わったらネタに走るくいしんぼうに、ちょっと安堵を感じました。
 それにしても、今年はキャラクターレスラーの大反撃か。終わってみれば全員一回戦負けだけど。
評価:4

7:大王カルトVSビリーケンキッド

 テーマは「これぞ天王山!」 文句なし。多分来年の週プロで引き合いに出されるであろう名勝負。飛び技と一瞬の切り返しを宗としながら、実はスタンドからの投げ技も光るビリー、パワー・ラフで一気に攻め込むようでいて、実は試合巧者なカルト。しかもシングルマッチ、これは良い試合にならなければ嘘ってもんだ。
 基本はルチャながら、力技が問答無用のアクセントを加えて攻守がころころ変わる試合。ウラカンラナや飛び付きアームホイップなどの、ビリーの得意技を次々と切り替えしていくカルトと、何度返されても諦めずに技にトライするビリー。内容では一回戦ベストバウトかも知れません。
 タイガースマスクとともに、最近上り調子のビリーだけに、ひょっとしてカルトが噛ませ犬に終わってしまう可能性も危惧してましたが、例え噛ませ犬でもそれだけに終わらせずに、観客の期待以上の出来の試合に仕上げられるカルトに乾杯。
 ファイアーバードをカウント2で返し、ラ・エスパルダ(丸藤のチョココロネから逆さ押さえ込み)は急所蹴り、さらには旋回式のペディグリー、ダイビングボディプレス。彼の攻撃と受けがなければ、この試合は成立せず。ラスト、雪崩式のリバースブレンバスターを放って会場から悲鳴を上げさせ、さらに多分にビッグショーを意識したチョークスラム。これで決まっても誰も文句は言わせないだけの説得力。
 これを回転エビ固めで切り替えしたビリーが、再度のラ・エスパルダを決めて試合終了。絵に描いたような逆転勝利に会場は大爆発でしたが、カルトの退場時にブーイングはほとんどなく、むしろ万雷の拍手が沸き起こったのが印象深い。考えてみれば、ほとんど大阪創世記からヒールでやってる選手だけに、その職人技が如何なく発揮された試合だったといえます。
評価:5

8:マグマVSバファロー

 テーマは「ああ無情」 セミが大阪では珍しい20分を超える試合だったので、少々疲れを覚えてのメインイベント。最近勝ち星に恵まれないバファローだけに、天王山の快進撃ストーリーを期待したのだが、やはりライガーとのシングル戦を控えたマグマには敵わずか。前回の覇者が、一回戦負けでは格好つかないしねえ。
 試合前のスキットで、「緻密に、確実にとりにいく」と語ってたバファローさん、ゴング後もしばらく相手の隙をうかがって、静かに立ち上がる……と思ってたらいきなりラリアット! そしてフォール! ぜんぜん緻密じゃねえ!! 緻密さとは無縁の某団のエースを彷彿とさせます。
 とりあえずバファローの調子は悪くなさそう。序盤はとりあえず優勢に試合をすすめます。エプロンからのギロチン、断崖式DDTなどNOAHの白い人に通じるえげつない攻めは流石に元ヒール。スリーパーにテーピングを利用したり、マスクに手をかけたり……とても正規軍とは思えない攻撃も、最終的な勝利の布石と考えれば納得できる。実はバファロー、最近本当に負けが込んでるのですよ(苦笑)。
 ところが、このダーティーファイトが悪かったか、マグマの怒りが爆発。場外戦でペースを握ると、度重なる鉄柱攻撃。「こいつだけは許さんからな!!」の怒りの声には、ストーリー外の怒気を感じましたねえ(笑)。マスクを破られ、黒い頭髪をむき出しにしたマグマが本気で怖いです。
 ジャーマン、ラリアット、そしてラストライドのフルコースをなんとかカウント2で回避、それから打つ手がラリアットしかないのがちょいと辛い。原爆固めやスクールボーイを交えつつも、ちょっと厳しくなってきたかと思ったら、スーパーフライを狙ったマグマをトップロープ上で捕獲、そこから放った技は……雪崩式フィッシャーマンバスター。追いかけてる相手の奥の手をぱくった奇策。ここで獲らなきゃいつ獲る!って場面でした、これもカウント2。やっぱり、フェバリットがラリアットはちょっと厳しいんだが……。
 ラリアットの相打ち、両者ダウン……ダウンカウントは7。ここからバファローの胴締めスリーパーで残り時間5分。時間切れ引き分けは両者失格なだけに、ここで落としておかないと後がなかったんですが……結局はロープブレイク。ここからマグマのスープレックス地獄。もうふらふらのバファローに投げ捨てジャーマン3連発。あの人間風車が乗り移ったか。ダウンカウント9で立ち上がったバファローにとどめ。やっぱり最後はフルネルソンスープレックス……じゃない、投げ捨てドラゴン。残りわずか三分。あまりにも無念のKO負け。やはりマグマは強かった。
 27分、セミを越える長時間の試合だったんですが、大阪のイメージを崩すような殺気溢れる試合でした。一応歩いて帰ったものの、バックステージに入る時に思わず崩れ落ちたバファロー、そこまで死力を振り絞る姿にデジャブを感じるのは、四天王プロレスを敬愛した者特有の感覚かも知れず。
評価:5

 

 正直、こうやっていちいちNOAHファンの話の腰を折るのもちょっと心苦しいし、やっぱりメールでやるべきかとも思ったのですが、予想外に内容が良かったもので。インディーにもこんな良い選手がいるよ!ってみなさんにお知らせしたい気持ちもありましてね。浜田も出てるし。毎度のお目汚し、失礼しました。
 しかし、そのNOAH勢との絡みが未だに村濱、しかもヒールとしてしか触れてないのも惜しい。元々インディーとの交流には極めて消極的なNOAHではありますが、ジュニアが育ってきた現在だからこそ、交流や対抗戦(まあ、贔屓目に見てもクソミソに負けるんでしょうが)する価値は絶対にあると思うんですよ。
 来年にはJ−CUPという機会もありますし、是非来年こそは実現して欲しい夢であります。