ノア 2002.9.7 大阪府立体育会館大会観戦記

投稿者:天笠さん

観衆5200人


就職してから久しぶりの観戦記ですね〜。
 今回は会社の同僚と連れ立っての観戦。ゴング一時間前にもかかわらず、仕切にせかす同僚を無視してブックオフで立ち読み。そんなにあせらなくても悠々入れるんだからさ……ここは後楽園じゃないんだよ(自虐)。
 10分前に入っても楽勝でパンフとビールとエビセン購入に成功。わかってたこととは言え(涙)。アリーナはそれなりに入ってましたけど、来る人来る人一様に大スポ(東スポの大阪版)を携えてます。

永田 赤っ恥 チャイナ圧勝
 ……別の意味でブルーになりました。
 五割が血の気が多そうな野郎、お姉ちゃんが三割、おばちゃん2割にお子様少々……なんなんだこの東京との格差は。入ってないとは言え、いつ喧嘩が始まってもおかしくない殺伐とした雰囲気。少ないくらいでちょうどいいかもね、大阪ってところは。
 なにはともあれようやくゴング。Dream on〜♪

第一話 気がつけばお約束!?
(ファミ悪)

 哀愁を漂わせて花道を入場する四人。その渋すぎる佇まいはまさに演歌の花道。ビバ花道です。
 それにしても伝統芸能の域ですね、もはや。個人的にはもうちょっと若手を鍛える場としての役割を見せて欲しいんですが……次々に炸裂するお約束の嵐はなんとなくほっとする味を醸し出します。臭い息に「何が痛いだこのヤロ」、そして永源のつば攻撃オンザ花道。背中が熱いジャイアントスウィングに見かねた永源、20回転のジャイアントスウィング。
 五分もしないうちに百田のバックドロップ〜ラッシングラリアットの必殺パターン、これを返す館長。大舞台だからってそんなに展開を早くしなくてもいいのにね。百田のショルダースルーを回転エビ固めで返す館長。返されるや綺麗な弧を描いてのニールキックでピンフォール。
 それにしても最近のラッシャーは「それにしても暑いですね」しか言わないような気が。「こんな時は大阪名物お好み焼きとたこ焼きで暑さを吹き飛ばしてください」って、あんなもん暑さ対策になるかいな(爆)。
MVP:花道

第二話 少年よ大志を抱け
(菊地・金丸・橋VS杉浦・KENTA・鼓太郎)

 先日の新日本参戦で男を上げた四人が集結。それにしてもコケンタの紙テープ多すぎ。杉浦はなにげにテーマ曲を変えてるし。なによりも沸いたのは勿論、菊地と金丸の入場。金色に輝くあのベルトはIWGPだ!! 以前チャットで、「なんか負けそうだなあ〜」なんて発言してすんませんでした! あんたら二人、輝いてるよ〜!! 特にベルト二本携えた金丸! 正直、あんまり好きじゃないけど認める。ちょっとだけかっこいいぞあんた!
 そんな赤コーナーに対し、青コーナーは対抗意識もろだし。杉浦に至っては二試合目にも関わらず菊地に視殺戦を挑みにいく。大阪ではこれをメンチの切り合いと言います。
 勿論奇襲を仕掛けたのは青コーナー。KENTAのスワンダイブミサイルキック、橋のラリアット、杉浦のスピアーに菊地のトペと、新日ジュニアか大阪プロレスの6人タッグを思わせる、華麗かつ重厚な攻防が序盤から惜しげもなく披露されます。若手の熱がストレートに伝わる試合って、毎回思うけど素晴らしいですね。
 一人地力の劣る鼓太郎がつかまる展開になると、会場は鼓太郎コール一色。鉄柵ギロチンにエプロンからのダイビングヘッドバット、さらにエプロンギロチン。さらに、鬼神の表情で締め上げる菊地の逆エビ地獄。他団体に参戦するとなんでこの人はこんなに怖くなるんでしょうか? 裏の切り札、アームロックまで出す始末。まだまだ対抗戦の余熱は続いているようで。
 対する鼓太郎、今は食らいまくって青コーナーに辿り着くのが見せ場です。ロープブレイクの後、ソバットとライダーキックで脱出して杉浦へ。水車落しにスピアー、俵返しとこの人も相変わらず単純明快。掴んで投げるだけとはよく言ったもの。その後に交代したKENTAもミドルキックの鋭さはなかなかのものです。単純にスタイルを変えるだけではなく、飛びつきラナから腕十字なんて具合に、素のスタイルに融合させようとしている姿は好感が持てます。
 スパイダージャーマン、ダイビングヘッドバット、ボディプレスとコーナー三段活用の餌食にされた鼓太郎、ブリティッシュフォールを首固めに切ってとるなど粘りを見せるものの、ラリアットからブルーサンダーの必殺パターンを食ってしまいます。確か前回の羽曳野はこれで終了したんですけどね。先輩方の意地のカットが間に合うも、直後のダイビングヘッドバット二連発で無常のゴング。よく頑張った。
 試合終了後、熱が冷めない青コーナーが赤コーナーに詰め寄ります。KENTA、菊地に思い切り突っかかってましたけど……良いんだろうか? 乱闘の最中、KENTAのハイキックが橋の後頭部に命中。たまらずリング下まで転がり落ちる橋。コケンタの今後に期待を抱かせるに十分なカットでしたね、あれは。
MVP:鼓太郎

 ここで休憩……って早! 相変わらずトイレと買い物とタバコの三択はやめません? せめて十分は時間を取って欲しい。一端切ります。

第三話 夢の中へ
(田上・川端VS井上・本田)

 夢の中へ〜♪ 夢の中へ〜♪ 行ってみたいと……思いません(怒)。今回、唯一眠くなった試合。もっさり軍団隔離マッチですか? 頭突きで倒れた田上の足が多聞の股間に命中して、倒れた多聞がヘッドバットを田上の股間に……以外には、やたら目こすりが多いぐらいしか印象ないです。最後は川端がボディスラムだかブレンバスターだかを狙ったところを、雅央が丸め込んでお終い。
 関係ないけど、雅央のテーマってWWEのペリーのテーマに似てるよね。
MVP:天笠の前の席で夢の中にいた少年

第四話 弾けろ筋肉
(秋山・斎藤VSバイソン・ローデス)

 嗚呼、遂にバイソンにも紙テープが……初来日当初から彼の筋肉にぞっこんラヴだった天笠、感動の瞬間です。今回外人二期生の中でもモデスト・モーガン・スティーブが抜けてますが、それを補って余りある存在感。ベイダーが目をかける理由も分かろうというもの。
 対するは秋山斎藤の熟年コンビ。秋山の声援が多いのは当然として、斎藤の以前に増す調子のよさをアピール。そこに外人組の奇襲。場外から上がってきた秋山にバイソンがクロー攻撃。エプロンから強引に引きずり入れるシーンに会場がどよめきます。秋山の顔面を掴んだまま、強引にフォール! 彰俊の蹴りにも離さず。返されるやすばやく起こして河津落し。秋山とのエルボーも意に返さず、逆に物凄いエルボーでふっ飛ばす! いや〜古典技の連続とは言えども素晴らしい迫力。
 交代したローデス、天笠は初めて見るんですけど、思ったより悪くないなあと言うのが初印象。張り手も迫力あるし(彰俊に打ち負けたけど)、秋山に仕掛けた執拗なヘッドロック殺法も天笠好み(直後に垂直落下バックドロップで大ダメージでしたが)。ただ、上位陣に食い込んでいくにはなにかしらの+αが不可欠ですね。悪くもないけど良くもない。
 例えばこの後に仕掛けたバイソンのパワーとか。フルネルソンなんて単純かつ古典的な技、いまどき誰も使いませんけど、秋山がどれだけ暴れても切れないクラッチだけで場内を沸かせる迫力、説得力。なにかひとつ他のレスラーから秀でてるものが欲しいです。
 絡み付くフルネルソン地獄から脱出した秋山はたまらず斎藤にスイッチ。どうやら秋山サイドはバイソンの左足に照準を絞る気配。執拗な足攻めに苦戦するも、会場のコールに押されたかのようにロープブレイク。再び秋山、満を持してのジャンピングニー、これをかわしたバイソンの強烈なパワースラムから、自らロープに飛んでフライングタックル。ならばとトップロープからのダイビングニーを狙うも、これはアイアンクローでキャッチ。そのまま担ぎ上げてアイアンクロースラム! まったく、度肝を抜かれっぱなしです。一気に攻めかかる一瞬の隙、秋山の電光石火のエクスプロイダー。これです、秋山にはこれがある。
 入って来たは彰俊。ラリアットの打ち合いにも引かぬバイソンに再度の膝狙いのキック。痛みを耐えたバイソンのショートレンジからのショルダータックル。まったくこの人は古典技が良く似合う。
 タッチ成立後、交代したローデスはスリングショットネックブリーカーからフルネルソンバスターで勝負をかけるも、強烈極まりない投げ捨てジャーマン、バックドロップ、そしてスイクルデスの彰俊三連コンボに轟沈。まあ、あの畳み掛け食らったら仕方ないかなあ。
 それにしても、この試合はバイソンが一人で目立ちまくってました。負けたとはいえ、引き上げる際の満場一致の大拍手。大阪の民に強烈な印象を残して去るバイソン、次はもっと成長して来てくれることでしょう。
MVP:バイソン

第五話 復活の男
(小橋・志賀・池田・ヨネVSベイダー・スコーピオ・スリンガー・IZU)

 両軍大将のテーマで入場。やっぱり、グランドソードは鳥肌が立ちます。考えてみれば、入場時にコールが起こる選手って、三沢と小橋しかいないんですよね。会場を掌握するあの一体感は、会場でしか味わえません。
 気合を入れるためにお互いラリアットを打ち合うも、勢いあまってベイダーがスコピを昏倒させるというお約束のボケを交えつつ、試合開始。先発はいきなりベイダー! そして相手コーナーに詰め寄ると小橋を挑発。これに答えなきゃ小橋にあらじ。というわけで、試合は強烈極まりない打撃戦で幕をあけます。
 考えてみれば、旧全日最後の三冠王者小橋。そのベルトは、このベイダーから奪取したものでしたっけ。まるでその時を再現するかのような、チョップとハンマーの果てしない交換。しかし徐々に小橋が劣勢に立たされていきます。ダウンさせておいての強烈なリバーススプラッシュの二連発。さらにセカンドロープからのビッグバンクラッシュ。地力で立ち上がれない小橋を指差して何事か吼えるベイダー。「こんなものか小橋」とでも言ってるのでしょう。
 スイッチしたスコピに回転チョップを叩き込んで、ようやく交代。入ってきた志賀がドロップキックを入れたところで五分経過のコール。この試合は、時の流れを忘れさせる。
 その後は日本人チームが優勢に試合を進めます。三人とも良い動きしてます。志賀はスコピに担ぎ上げられたところをスパインバスターで返す機転を見せ、ヨネと池田もラリアットから二人がかりのフェイスバスター、ダイビングギロチンと連携も冴えてる。あ、そういやIZUも噛み付き攻撃が光ってましたっけね(笑)。
 ただベイダーが入ってくるとやはり形勢は一度に逆転。ハンマー一発で池田をグロッキーにさせておいて、コーナーに突き飛ばす。再び小橋出て来いの挑発。次の打撃戦は意地でも負けられない小橋、遂にベイダーを交代させ、コーナーに詰めることに成功! ここからはおなじみ、手拍子つきのマシンガンチョップ。
 小橋、果敢にブレンバスターに挑戦するも、逆に投げられる。やっぱり膝か……試合前のオーロラビジョンで全日時代の映像が流れてただけになんか侘しい。ベイダー、再三のラリアット攻撃をかけるも小橋倒れず、号を煮やしたベイダーがロープに飛んだのを見るや、自ら走って相打ちに持っていきます。両者ダウンは三冠戦の名場面の再現ですね。
 二転三転する試合内容は圧巻の一言。脇役さんたちも頑張ること。スコピのトーチャーラックスラムからのローリングセントーン、志賀の二回転スイングDDT、池田のダイビングラリアットにIZUの噛み付き(苦笑)。ヨネがリッチに筋肉バスターを仕掛けたところが勝負どころでしょうか。危険を察知したスコーピオが何とか阻止。転がったヨネを強引に引き起こしたのは皇帝戦士。軽々とトップロープに据えると、ヨネの顔が恐怖にゆがむ。ベイダーの切り札、スカイハイチョークスラムが炸裂。小橋チームはカットするので精一杯。外人軍団の連携の鮮やかさは流石。棒立ちのヨネにスコピのハイキックとリッチの水面蹴りの同時攻撃。大の字にぶっ倒れたところ、間髪入れずセカンドロープからのビッグバンクラッシュ。まさに完勝でした。
 試合後、しきりに小橋を挑発するベイダーが印象的でしたね。まるで「まだまだ、俺に勝ったお前はこんなものじゃないだろう」とでも言いたげで。
 そう、まだこんなものじゃないはず。そしてそれをファンに見せてくれるのは決して遠い未来じゃないはずです。
MVP:小橋……と言いたいけどやっぱりベイダー

第六話 贔屓の引き倒しラリアット
(W2VS三沢・佐野)

 せっかく用意したオーロラビジョン。セミセミからしか使わないのはもったいないような。試合前にW2が山篭りしている映像が流れます。お腹をぷるんぷるん震わせて山道を走る森嶋が場内を爆笑の渦に叩き込む。
 選手権試合宣言、ジョーさん今日の日付がわからず、気まずい沈黙が流れる。会場人気は圧倒的にWAVE。その中でW2に声援を飛ばすのは結構どきどきものでした。前回の大阪府立、休憩直後にシングルで一騎打ちを果たしたのがタッグを組む前のこの二人でした。あれから一年と半分。W2結成からノーフィアーとの抗争、敗北、勝利、戴冠、防衛、新日本との戦い。再び大阪に舞い戻ってくるまで、本当に試練の連続だったと思います。まだまだ発展途上と言えども、常に薄氷を踏みながらの防衛と言えど、やはりこの二人は大きくなりました。
 でもって王者組の奇襲からスタート。……こういうところは変わってないのね(爆)。チャレンジャー、あっという間に蹴散らしてからトペコンとエルボースイシーダの競演。リングに戻せば佐野の熟練のグラウンドテクニック。なんか、毎回この二人は序盤から翻弄されやがります。でもまあ、

逆境⇒諦めない⇒苦戦の末勝利

というはじめの一歩チックな王者が僕を捕らえてやまないのですけどね(笑)
 佐野、レッグロックから体勢を入れ替えての監獄固めと、テクニックでは森嶋の五枚ぐらい上を行ってます。社長に代わった後も首ごと持ってかれそうなエルボーでふらつく場面が何度も。それでも倒れない森嶋に場内から心無い野次が……黙って見とれ!
 遂に社長からエルボーでダウンを取り、力皇に。社長と替わった佐野が何度も蹴りつけるも、張り手一発で交代させます。さらに張り手、そして張り手。張り手で説得力出せる選手なんてなかなかいません。
 常に先手を取っていこうとする王者組に対し、ほとんど王者のごとき老獪なチャレンジャーサイド。まるで王者にプロレスの何たるかを教えるかのような丁寧な攻め。サーフボードストレッチをはさんだ力比べから、足攻めひとつとっても幾通りもの方法で、左膝なら左膝一点に集中する手法はプロフェッショナルな職人のようです。
 力皇もタックル、ブレンバスターなどの馬力を生かした攻めで対抗するも、佐野のソバットが要所で鳩尾に入り、いまいちペースを掴ませてもらえません。替わった三沢、顔面に鬼のような蹴り。さらに顔面にエルボー。こう言う三沢を見るとタイトルマッチであることを再認識します。三沢に鬼が宿ったのを感じるのは、スープレックスでもグラウンドでもなく、いつもスタンドでの打撃でした。
 早いタッチワークの挑戦者サイド、今度は佐野が森嶋に足四の字固め。逃げられない森嶋にたまらず力皇がカットに入るも、会場ブーイングの嵐。完全に会場を敵に回したか、以後王者組が何をやってもブーイングでした(涙)。
 延々と続く足攻めにを打開したのはやはり力皇。対角線ボディスプラッシュ、二発目は三沢の前蹴り返されたものの、直後にショートレンジから強烈なラリアット。一撃の破壊力はやはり王者が上か。すかさずのど輪バックドロップ、通称聖鬼軍スペシャルに移行しますが、この技は全日時代から何度も食らってる三沢のこと、空中で一回転して難なくクリア、森嶋へのタッチを挟み、続いてダブルインパクトを敢行するも、三沢が回転エビ固めで力皇を丸めているうちに、佐野が森嶋を雪崩式ブレンバスターで投げ捨てる。
 王者組が何をやっても返される懐の深さは、やはり最強の挑戦者の名に相応しい二人です。逆に孤立してしまった森嶋に、容赦のない追撃。三沢のフロッグスプラッシュ、続けて佐野がダイビングフットスタンプ、三沢が引き起こして正調タイガードライバー、リング大の字にまたしてもフットスタンプ、さらに引き起こしてノーザンライトボム。カットされるとすぐにゆりかもめ……
 よくもまあこれだけ連発で食らって生きてたものだ(笑)。力皇が三沢に封じられていましたが、自力でコーナーに辿り着く森嶋。疎らな拍手……人気ねえなあ、W2。
 満身創痍の森嶋でしたが、WAVEの二人もこの粘りに攻めあぐねたのでしょうか。ここで森嶋の「底力」発動。起死回生のラリアットで三沢をリング外に叩き落して、佐野の首に引っ掛けるようなラリアット、グランドキャニオン。蘇生してきた三沢の前に立ちふさがる力皇、タイトルをW2にもたらした、あのパワーボムで三沢を叩きつけ、聖鬼軍スペシャルに再度トライして成功。三沢がウラカンラナで返すかな〜とも思いましたが、タイミングを取り損ねたのか、この連続技をもろに食らってしまい、社長はしばらく戦闘不能に陥ります。
 ここを逃すとあとがないW2、社長にかまけてると絶対勝てませんからね。森嶋のラリアットの大盤振る舞い。佐野もなんとかローリングソバットで返すものの、火事場のクソ力モードの森嶋を微動だにさせることはできず。逆にできた致命的な隙をつかれ、首ごと叩き伏せるラリアット。このパターンに嵌ってしまってはいくら歴戦の佐野といえども……バックドロップの体勢に入ったところが最後の勝機でしたが、以前と違ってもう佐野に丸め込む力は残ってなかったのでしょうか。真後ろに凄まじい勢いで投げ捨てられ、勝負は決しました。W2、四度目の防衛成功。
 場内に蔓延する落胆の声。ザマみさらせ。認定証を読み上げられている間もしつこくブーイングしていた輩がいましたけど、せめて今だけは黙っててください。
 総じて、チャレンジャーサイドの老獪さ、W2の爆発力が目立った良い試合でした。毎度のことながら、勝ちパターンに入るまでが一苦労ですね、王者組。ちょっと気になったのが佐野に花を持たせようという腹なのか、三沢の見せ場が守りでしか光らなかった点。社長がサポートに徹しなければ、もう一悶着あったかもしれませんが、でももしそうなら多分W2は勝てなかっただろうと思いますね(笑)。別にわざと負けたなんて言うつもりはないけど、勝ちへの執着と言う意味では王者組の圧勝だったかと。
 で、終わった後に斎藤が挑戦表明。
「首を洗って待っとけ!!」
 相当気合入ってます。武道館で決定でしょうかね。う〜ん、何回防衛しても安心感がない王者って(笑)
MVP:森嶋

最終回 ノーフィアーかよ!?
(小川VS高山)

 これは……ノーフィアーのテーマだ!! 前哨戦を見てない天笠にとっては感動ですよ。本当に高山が戻ってきたんだなあ〜って実感しました。なんせ新日外敵軍のときはあのイントロが流れずに随分寂しい思いをしましたし。
 やっぱり試合前にオーロラビジョンでバックストーリー紹介をやってましたが、「俺がチャンピオンになる感動的な場面に良合わせたいやつは、大阪府立に集合!!」って府立でやっても仕方ないでしょうに。前日のテレビ中継じゃ、そこの部分完全にカットしてやがったし。
 予想を越えて小川に握手を求める高山。王者が応じると、予想通りにすかして頭を掻く(笑)。ゴング後、早々に首固めを入れていく王者ですが、高山は余裕でさばいていくという展開、二度目などカウント2が打たれる前に、小川の体が一メートルほど浮きましたよ。
 ある程度適当に攻めさせると、突然逆襲に転じます。基本的には殴る蹴るですが、一発の重みがまったく違う。王者を一方的に殴りつけておいて、強烈なボディスラム。これで小川、いきなりダウンカウントを取られます。起き上がった後もダブルアームスープレックス、花道を利用したサッカーボールキックなど連発で食らってしまい、今度は花道で場外カウント。16でようやく帰還した王者にフロントスープレックス。ここまで小川、良いところなし。
 このまま高山の楽勝かとも思ったんですが、串刺しハイキックを失敗してところから徐々に暗雲が立ち込めることに。足がポストに引っかかって外れない。その間に王者、もう片方の足をポストに引っ掛けて宙吊り状態。自分は場外に出て……左肘を鉄柱に何度も打ち付ける!

 リング内に戻してからも徹底した肘攻め。やはりパワーと体格差のビハインドに打ち勝つには、一点の集中攻撃しかなかったんだろうなあ。それも並大抵の失念じゃありません。ニースタンプからハンマーロック、キーロック。これをバックランドよろしく持ち上げる高山ですが、小川はここから巻き込むように回転して腕十字に移行。高山の絶叫と予想外の展開へのどよめきが場内に響く中、ロープに逃げられると引き起こしてDDT、しかも腕を極めたまま! さらに場外に誘って鉄柱攻撃。怒りの高山がラリアットを狙うも、自爆。しかも鉄柱に。際限ない小川の腕攻め。もはや執拗という言葉を超越している。
 ここで場外カウントが数えられます。高山がエプロンに姿をあらわさないまま、カウント17まで数えられる……カウント19ぎりぎりでリングに戻った高山にここまで温存していたバックドロップを二連発。当初は楽観していた高山を応援する声も、「おいおい、高山やばいんと違う?」を経て、「返せ! 返せ!」にクラスチェンジしてまして。小川が両手を広げてフィニッシュのポーズ。バックドロップを完全にホールド、カウントは……2! 安堵も束の間、即座に再三攻め続けた腕をとっての十字固め! もはやこれまでかと思われた高山。ロープブレイクの後、もう何度目かになる腕地獄を打開したのはやはり膝でした。高山の胸の辺りまで吹っ飛ぶ小川、三連発で入れた後に背後に回って、エベレストジャーマン!!!
 完璧な決まり具合でしたが、ここから小川の驚異的な粘り。高山のフィニッシュですらカウント2で跳ね返します。高山も意表をつかれた表情。引きずり起こしての四発目のニーリフトを小川が止め、そのままスモールパッケージホールドで回転。腕攻めに気をとられて忘れてました、小川の電光石火の丸め込み。この戦法、どこかで見たと思っていたら、ドラスクから足四の字で膝に意識を集中させておいて、逆さ押さえ込み・フランケンで丸め込む、ドラゴンや武藤そっくりです。

 高山はカウント2でクリア、二発目のジャーマンを狙うが小川、そこから……キドクラッチかあれは!? 高山の技がことごとく返されていく。やはり伊達でベルトの防衛はできません。やはり王者は強い。
 これも高山がクリアすると、小川の奥の手、四の字ジャックナイフ! カウントは……2.9! 四発目の丸め込みに行く小川。高山の足をフックしたまま、二人の動きが止まります。高山の身体が回転しない。事実上ここで勝負は決まってましたか。小川を引っ掴んで抱えあげ、そのままマットへ力任せに。形はブレンバスタースラムのようでしたが、パワーにものを言わせただけのような技です。しかしそれだけに逆に効くのかも。起き上がるところに渾身の膝。顎の先端に命中。藤田をも沈めたニーリフトですが、カウントは2。小川も良く耐える。フィニッシュを宣言した後、グロッキーの王者を引き起こして、しっかりクラッチ。完全無欠のエベレストジャーマン!!!
 西永がカウント3を叩いて王座移動。その瞬間会場爆発! 狂喜乱舞。高山のほっとしたような表情がなんとも印象深かったですね。苦戦でした。
 ベルトを巻いた高山の第一声が「見ての通り俺がチャンピオンだ」は実にらしい台詞です。本当に、初戴冠とも思えないぐらいに絵になってる。インタビュワー(平川アナだろう)になにかしらいちゃもんつけてから、
「あほ社長、それから今日の解説。うかうかしてっとお前らのお宝他所に持って行っちまうぞ」(大意)
 おお! 今度は武道館でタイトルマッチか!? やはり次は……社長しかいないだろうな。
 そして狂喜する会場を見回して。
「おい大阪!」
 大歓声!
「約束だ!」
 さらに大歓声!
「合言葉……行くぞ!!」
 そしてあの言葉。

ノーーーーーフィアーーーーーーーー!!!
 ほとんど123ダーに近いのりですけど。5000人強のいまいちの客でしたが、あの興奮あの一体感、高山が戦前言ってた通り、最高の瞬間でしたね。高山、一人になってもやっぱりノーフィアーなんだと。雑誌の記事で何度も書いてあったことが実感できた瞬間でもありました。
 この一戦。生で見たからじゃないですけど、今年のマイベストバウトです。
MVP:高山

総論
 今回はラストの高山の凱歌で全てぶっ飛びましたね(笑)。あのカタルシス、明らかに今までの観戦経験にないものでした。やっぱりタイトルマッチは違うわ。セミ以下も好勝負が多くて、不安要素は尽きぬものの、ほぼ100点満点に近いないようじゃないでしょうか。個人的に第三試合はなかったことになってますので。ただ……やっぱり営業面では新日本に負けてますなあ。ダフ屋さんの数も結構少なかったように思えましたし。せめてアリーナは満員になってもおかしくなかっただけに、そこが唯一残念。
 なにはともあれ、大阪府立第一を使うということ自体が大英断だったようなので。今回の客入りに懲りずにまたやってくださいな。やっぱり定期的にビッグマッチが組まれないとね。名所は言い辛いっしょ。
 でも次回も第二なんだよなあ(苦笑)

 試合後に配られたりゲインを飲みつつ書きましたが、協賛してもらったのかな? スポンサーと言えば、プロレスゲームに縁がないマイクロソフトが一番目立つところに広告出しているのが謎と言えば謎だ。