客入りは8割程度。関西にしてはなかなか入っていた方ではないでしょうか。小橋帯同効果はやはり凄いですね。一時間ほど前に会場入りして休憩室で一服することしばし、後からバラエティにとんだ観客が来るわ来るわ。若い女性におばはん、小さいお嬢ちゃんに至るまで。手持ち無沙汰になって売店でTシャツ購入。見事、整理券をゲット!!
試合開始前に小橋リング上で欠場の挨拶。降りる時に若手に肩を借りる姿は痛々し過ぎる。直視することがファンの義務とは思うのですが。
第一試合 ラッシャー・百田・鈴木VS永源・泉田・川端
いつものファミ悪。難波リングアナ、いつもの三割増しで唾飛んでます。本日の永源、ジャイアントスイング14回転。唾はA席7列目まで炸裂。第一試合にやるのは問題ありとは僕の意見ですが、お子様や女性客が多いせいか会場は意外な盛り上がり。真後ろで立ち見してたお姉ちゃん二人が、「ラッシャー可愛い〜!!」を連発してたのが印象深し。
ただ鼓太郎が絡むと泉田、川端、更には永源までも目の色が変わります。ボディスラムやエルボーも、マットに叩きつけられる音からして違う。鼓太郎もドロップキック、ミサイルキックと必至で食らいつくものの、大先輩の容赦ない攻撃になす術もありません。でもこれで良い。試合で魅せるにはまだ経験が不足してますが、ひたむきに立ち上がる姿が結果的に観客をひきつける結果になっているのですから。
最後のダイビングボディアタックを受け止められると、あとはどこまで返していけるか。バイキンマン泉田の引き込み式STOでしたたかに後頭部を痛打。カバーされるも何とか返す鼓太郎。直後に飛んできたラリアットで首を支点に一回転し、返せず。隕石まで出させる事は出来ませんでしたが、まずまずの結果でしょう。遠からず、隕石を食らっても返すことが出来るはず。まだ若いんだしネ。
余談ですがラッシャーさん、あんた京都といえば舞妓さんしか思いつかんのでしょうか(笑)。土地柄よく祇園をうろうろしますが、場外馬券場のあたりまで行かんと出合えんのですが。
第二試合 斎藤・金丸VS菊地・KENTA
早くも第二試合で王者秋山の腹心、死神彰俊登場。普段なら5〜6試合に位置される試合ですが、上位カードがかなりいじられてるせいでしょうか。どうせKENTAがブレンバスターで沈んで終わりだろうなあ〜という、本来ならば何の注目度のない試合。ただ、いつもの定位置からずれているせいかなにかしかの期待を抱かせてくれます。
序盤はヘッドロックからヘッドシザースホイップ、リープフロッグを巡る攻防とジュニアではお馴染みの展開。注目はKENTAのヘッドロック。金丸がロープに振ろうとしても離さず、そのままグラウンドに移行。この戦法、昔の鶴田VS川田戦や秋山VS志賀を見たときから、僕はかなり気に入ってます。できれば徹底的に拘る選手が出てきても良いと思うんですが。
互角なまま双方スイッチ。ベテラン同士は打って変わって壮絶な打撃戦です。菊地のエルボーは去年に比べると確実に重みを増してます。斎藤も最近は一歩退いているとは言え、ミドルキックの嵐に衰えは見られない。こちらも全くの互角。試合が動いたのは菊地がKENTAと再スイッチした直後でした。入ってきたKENTAを一分少々も持ち上げる超々滞空のブレンバスター……これは流石に度肝を抜かれました。叩き落された場外に待っていたのは金丸。鉄柵にギロチン、リングに戻せば斎藤の投げ捨てパワーボム。さらに交代した金丸が強烈な逆エビ、逆さ吊りのスライディングキック。独りキャリアの劣るKENTAを捕まえ続けます。流石に地力ではスターネスが有利。
中盤、斎藤のハイキックをダッキングで空振りさせたKENTAが、起死回生のウラカンラナ。これはカウント2で返されますが、バーニングの反撃の狼煙となります。帰還したKENTAからたすきを受け、満を持してのつーよんリングイン。串刺のゼロ戦キックを筆頭にスパイダージャーマン、KENTAのミサイルキックのアシストを受けてのダイビングヘッドバットと、決まりかけていた試合を振り出しに戻します。KENTAのウラカンラナも様々なバリエーションで炸裂し、徐々に追い込まれていくスターネス。
しかしここで悪い流れを断ち切れるのがスターネスの強み。金丸がアッパー気味に放つ掌底が要所でペースを制し、攻撃の要である菊地が場外にいる時間が長くなります。これが本家の赤い角に炸裂する日が来るのでしょうか。ムーンサルトプレスはカウント2でカット成功しましたが、そのつーよんも直後に斎藤と共に場外へ。孤立無援のKENTAにトップロープからストマック狙いのダイビングニー……そのまま正面からの飛びつきDDT! 相当良い角度で決まったのですが、金丸のカバーをカウント2で跳ね返すKENTA。フィニッシュのブレンバスターをも一瞬の隙をついてのスモールパッケージホールド。ぎりぎりで返す金丸ですが、次のラリアットも切り返されてスクールボーイ。あわや下克上かと思いましたが、これもなんとか跳ね返します。決めきれない金丸。三度目の正直のラリアットがようやくヒットし、つなぐブレンバスターが成功。マットに垂直に突き刺さったKENTAに返す力は残っていませんでした。
ラスト数分のKENTA脅威の粘りは若手台等も近いことを予感させます。金丸は金丸で来る対抗戦に向けて色々実験的なことをやってましたし……どっちかってーと大阪臨海アッパーといった感じですけど。ライガーとの直接対決も十分期待できるのではないでしょうかね?
第三試合 スリンガー・スティーブVS力皇・ヨネ
早くも第三試合で登場、GHCタッグ王者。いや、これも第二試合と甲乙つけづらい好勝負。力皇は突進力に加えてなんか貫禄がついてきたような。地位が人を作るという言葉もあながち間違いではありません。ヨネも前座定着とは思えない動き。もっと上で使ってください社長さん。
力皇とスリンガーでスタート。あの三人ではバイプレイヤーに徹しているものの、各種キックにノアでもトップクラスのテクニック、更にはチャタヌガ・チュチュという禁じ手まで保持しているベテラン・スリンガーですが、いまや立派なトップレスラーに成長した力皇には全く通じない。怒涛のぶちかましに会場に響く張り手、圧倒的なパワーでまるで子供扱い。もっとも力皇もこの試合はヨネに任すつもりのようで、ある程度攻撃を受けると存外あっさりヨネにスイッチします。これは外人組にも願ったりな展開。ただ、交代する前に強烈過ぎる置き土産を残していくのは王者のプライドか。
そのリッチも、今回はスティーブの教育マッチと言う趣か、勝敗を左右するポイントを除けば、極力スティーブの後方に控える布陣です。ヨネを集中的に攻撃しつつ、力皇の場外封印に尽力し、マット上ではヨネとスティーブの直接対決。序盤は双方互角、それも最高級の意味で、です。どうもスーパースターは羊頭狗肉の印象が強いスティーブですが、ヨネの正面から当たって砕けるようなファイトとうまくスイングし、得意の飛び技を中心に中々の戦い振りを見せます。これは最年長のスリンガーの功績ですね。
ただ前座定着とは言え、インディーの旅人ヨネが一筋縄でいくはずもなく。逆片エビの掛け合いからチンロック、さらにはロープ往復のランニングギロチンドロップと、技のラリーを披露します。どんなにリッチが策をめぐらしても、決してペースを一辺倒にせず自軍コーナーに帰還できるのは流石。要所の外人組の合体攻撃も、後に控える力皇が余裕のカット。即席タッグであるがゆえ、連携は影をひそめていましたが「タッグマッチはそれだけではない」とは、王魂の馬場の言。
終盤、力皇を場外に落とした外人組が勝負に出ます。スリンガーにアトミックドロップ気味に抱え上げられたスティーブの強烈なギロチンドロップ。リッチはそのまま力皇を抑えに行き、グロッキーになりながらも立ち上がったヨネに、スティーブのトップロープからのダイビングボディアタックが炸裂!……と思いきやヨネのカウンターのニールキックがずばりと喉下を捉えます。悶絶してダウンしたスティーブをなんとか救出しようとするリッチですが、力皇がそれを許すはずもなく、哀れ鉄柵の餌食に。「いきますよ皆さん!」の掛け声、直後に落下するギロチンドロップオンザトップロープ。しかし、これをカウント2で跳ね返すスティーブ。すかさず引き起こしてコーナーに引き摺って行くヨネ。この畳み掛けは圧巻でした。
マルマティカに担ぎ上げてグルグル回転、そして……「筋肉!!!」 完璧に炸裂。ああ〜タイトルマッチで見たい!!
ここで休憩。トイレ行った後に整理券をもっていそいそと並びます。サインしてもらう時に「頑張ってください!!」とか「応援してます!!」とか言おうと思ってたのですが、二の腕に入った手術後、長蛇の列にも関わらず笑顔で接してくれる小橋を見た瞬間、全部吹っ飛んでしまいまして。
「ありがとう」ともろに関西弁のイントネーションで声をかけてくれる小橋に、結局何も言えないまま。バーニングTシャツを握り締めて立ち尽くす僕でした。中学生かよ。しかも次の試合が始まってるし。
第四試合 池田・杉浦VS田上・井上
てなわけで! 最初の五分は見逃しました! 小橋直筆サイン入りTシャツに負けました!(自慢)……嬉しいです、ハイ。
ちょうど入ったときに、杉浦の五厘刈りを物凄い音を立てて叩く田上に遭遇。この試合の御題は、「痛みが伝わるプロレス」ってやつですかね。マルコメ君の杉浦を、田上雅央も容赦なくバシバシ叩く。これがまた良い音が鳴るんだわ。痛そうだけど(笑)。なんかのりがファミ悪に似てないこともないですが。
とは言え締めるところは締める両チーム。今やもっさり軍団筆頭と化した田上・井上も今日に限れば中々ハッスルしてた方じゃないでしょうかね。池田・杉浦も要所要所で誤爆(笑)を挟みながら、レフリーのブラインドつきながら太鼓の乱れ撃ち五連発。最後は大ちゃんが飽きちゃって「もーいーよ」 でも次の瞬間にはスピアーと大ちゃんボンバーの競演、立ち上げる田上・井上に稲妻レッグラリアットwithイナズマ。さらにはあのノーフィアーがタイトル奪取した時に、実質三沢を戦闘不能にしたハイキック→原爆固めのコンビネーション。そして……ラリアット誤爆で二人ともダウン(笑)。全く息が合ってるんだか合ってないんだか。
とにかくクルクル動きまくる二人に対して、井上の最近珍しいミリオンダラーバスター、バックブリーカー。田上は喉輪落しにダイナミックボム。しかし闘うドツキ漫才に対抗するにはコミカルモードの方が良く似合う。もっともダメージを与えたのは田上のモミジ攻撃でしょう!……あれは本当に痛そうだった。その田上、大ちゃんをロープに振っておいて帰ってきたところを担ぎ上げます。昔懐かしいバックフリップでもするのかと思いきや……掟破りの逆「死になさい!」 でもデスバレーボムと言うよりはエアプレンスピンなのは田上が田上たる所以かも知れません。
十五分前後。杉浦、井上に反り投げ連発。それを凌いでのオリャーラリアット。
「おっしゃ担ぐぞ!」しかし担ぐ前にうまく背後に回りこまれ、杉浦はジャーマンの態勢、エルボーを食らわせても絶対にクラッチを切らない杉浦。業を煮やした雅央、渾身の力で杉浦の爪先を踏みつける! せこ! ロープに飛んで再度ラリアットと言ったところで背後に忍び寄る大ちゃんに捕まります。杉浦千載一遇のチャンス! そのままランニングエルボー……しかし自爆!(笑) エプロン下に転落する大ちゃんと、呆然としたままスクールボーイで丸め込まれる杉浦。嗚呼無情。
当然試合後も大ちゃんの怒りは収まらず。杉浦の輝く頭をパチパチしばいて納得いかないアピール。杉浦も逆切れして大喧嘩。あわててヨネが間に割ってはいるものの、胸を押す杉浦と頭をしばく大ちゃんの、ドンパチドンパチドンパチ……なんだかなあ。ノリが完全に新喜劇なんですけど。
第五試合 森嶋VSブル・スミス
なにげに期待のカード。歩くタイヤチューブVS呼吸するプッチンプリンの対決です。全身これ筋肉のスミスと並ぶと、森嶋の震える脇腹が非常に良く目立つ。W2最大の弱点と言っても過言ではありますまい。とは言え、恐れ多くもNOAHタッグ戦線の至宝を戴く森嶋。外見を除けばノアでも屈指のあたりの強さがある。ショルダータックル合戦を制すと、ラリアット合戦に持ち込み、場外に叩き落す。一時に比べれば本当に成長しました。場外戦に持ち込まれても、ブレンバスター合戦……そしてこれも勝利。
二日前の福井大会では斎藤に負けていたようですが、今後はシングルでも実績を求められるだろうし、またそれだけの結果を上げられる実力は十分にあります。意外に男性客にはノーフィアーに次ぐ人気がありますしね。ただでさえ力皇の方が格上とみなされがちなんですから、そろそろシングルに対する何らかのアクションがあってもいいんじゃないかと思うんですが。
で、相手のスミスなんですがあの筋肉、あの体型は何をやってもド迫力です。説得力を出すには体型も重要なウエイトを占めるんだなあ。コブラツイスト、サーフボードストレッチで締め上げる森嶋に正面からパワーで対抗。まあ、スミスの場合は受けに回った時の脆さという別の課題があるんですが、ステロイドでも使ってない限り(ちょっと心配)、日本での試合はきっと将来の糧となるはず。バズーカ砲のようなドロップキック、二メートル近い落差のパワースラム、そして雪崩のようなラリアット。どれをとってもフィニッシュ足りえる説得力を持ってます。
この怒涛の攻撃を受けきった森嶋、かつてとは違う安心感があります。これくらいじゃGHCタッグ王者は沈まない。まああの分厚いお肉が衝撃を吸収してるのかどうかは知りませんが。再度ラリアットを狙ったところに気合一閃スクラップバスターで叩きつけると、コーナーに串刺のラリアット、さらに対角線往復。無理やり引き摺り起こしてロープへ。帰ってきたスミスに、重力を加えてのしかかる120キロの腹。鶴田の真似と言われて久しいですが、実はジャンピングボディシザースって相当効く技なんじゃないだろうか。いつかスタンガンでカウンターされないかと毎度ひやひやして見てますが、あの巨体をロープ際まで運ぶのも至難の技ですしね。
覆い被さってカバーしますがスミスも返す。3じゃないかと抗議する森嶋の背後でゆらりと立ち上がるスミス、そこに振り向きざまのショートレンジラリアット! ショートレンジなら、小橋がいない現在、NOAHでは森嶋が最強の使い手でしょう。事実上これで勝負が決まったも同然ですが、チャンプは全く容赦せず。強引に引き起こして背後に回り、ほぼ垂直落下のデンジャラスバックドロップ。124キロがy=2x二乗の放物線を描き、二メートル近い位置を通過するんですから驚き。鶴田、川田、ウィリアムス、後藤……並み居るバックドロップの名手の末席に、そろそろ森嶋も加えてもいいかも知れません。
今度はスミス、微動だにも出来ず。本大会最短の七分強という短い試合でしたが、双方の持ち味を十分に生かした良い試合だったと思います。こういうシングルをもっと多く組んでくれれば、NOAHももっと安定した面白さを発揮できると思うんですが。
第六試合 多聞・志賀VS大森・高山
噂のイエロー志賀です。ある意味メインにしても可笑しくない試合。男子に圧倒的な人気を持つノーフィアー、関西ではかなり好評価の多聞、しかし今日の主役は志賀でした。その精悍な面構えはこれまでの志賀とは一味違う。会場の声援のほぼ全てを一身に受け、颯爽とリングインする志賀。あんた誰だ?(笑) トランクスに一点輝く「志賀」の二文字も熱い。
試合前から早くもノーフィアーと視線の交錯。一歩も引きません。先発は当然志賀、高山とエルボーの打撃戦。おっかない高山の肘を真っ向から受け止め、絶対に倒れない。逆にランニングエルボーをぶち込んで、先にノーフィアーからダウンを奪います。序盤の打撃戦で思わず客を立ち上がらせることが出来る男、志賀。当然きついお返しが待っているわけですが、どんなに蹴られ、転がされてもすぐに立ち上がって仕掛けていけるのは良い。スイッチした大森はエルボースマッシュからブレンバスターの体勢。腰を落として阻止した志賀、しばしの膠着を破ってブレンバスター。どうもノーフィアー、志賀の気迫に押され気味。
大森と多聞のハンマーパンチ合戦を挟み、勝負は再び志賀と高山へ。しかし入るや否やの志賀に高山のフロントハイキックがヒット。もんどりうって場外に転落する志賀にノーフィアーの追い討ちがかかります。ハンマースルー後のビッグブーツ、リング内に戻された後の踏み付けのフォール、これはカウント2。こういう展開になるとノーフィアーは強い。サッカーキックからレフェリーのブラインドをついて、交互のボディスラムを6連発! もはやこれまでかと思われた志賀ですが、その目はまだ死んではいない。タッチした大森が美麗なドロップキック。さらショルダースルーを狙ったときに、志賀の目がきらりと輝く(笑)。起死回生の飛びつきDDTが炸裂。悪夢の時間を自分で断ち切って多聞へ。
あ、ちなみに多聞ちゃんもかなり頑張ってますが、いかんせん志賀の印象が強すぎて技の覚えが悪いです。別に多聞が悪いわけではない。志賀が凄すぎるだけですが。このときも大森にレッグシザースからSTF、とくれば伝家の宝刀肩固めに移行するのは当然の戦法。ただ、タッグマッチが災いして高山のカットに入ります。ついでに正面からのサッカーボールキック、直後に大森の拳落し。そして会場に高く響く強烈なブレンバスター。たまらず志賀が入ってきますが、スイッチした高山にあっさりと蹴散らされる。ここのところはあまり変わってないなあ(笑)。そのまま二人がかりでエルボードロップ。その数実に七連発!! やりたい放題のノーフィアー、場外から不死鳥のように甦ってきた志賀がエプロンへ。そこに高山のフロントハイキック!! まともに顔面に食らった志賀、エプロンから本部席の机まで突っ込みます。前言撤回、食らいまくるところは以前の五割増パワーアップ。しかし志賀の目はまだ死なず!!
ボディにヘッドバッド、そして水車落しで窮地を脱した多聞は、志賀にタッチ。休んでいるうちにも相当のダメージを食らっているはずの志賀、ロープに振られながらもそのままエプロンにエスケープ、そして高山を降りて来いと挑発。あのノーフィアーに場外戦を挑むんだからねえ。怒り狂った高山が鉄柵攻撃、しかしそれを振り返す! 大森が降りてきて今度こそ鉄柵にぶち当てる……と思いきや鉄柵を蹴った志賀、反転して大森の顔面にエルボーってお前は三沢社長か〜〜〜!!!??? 会場はもうスタンディングオベーション。
先にリングに戻って来た志賀、高山をエプロンで捕まえて強引に一本背負い、マットに引き入れて腕十字。がっちり決まるも、グラウンドの志賀の顔面に大森のニードロップ! これでペースを掴まれたか、大森と交代後のダブルタックル、左右を指差してノーフィアードロップの餌食に。しかしカウント2! 志賀はまだ生きている。そしてなんと高山の顔面を蹴る! 蹴り返されるが退かず、遂に高山を蹴り倒し、さらに大森に隙をついての一本背負い、自軍コーナーに帰還。
交代した多聞、連発のヘッドバットからヘッドロック、そして対角線を走るブルドッキングヘッドロック。そしてタモンズシューターと息をつかせぬ攻撃。高山のカットも志賀が場外へ叩き落す。トップロープに大森を据え、タムンズパワードを狙いますが、大森もロープを掴んで堪える。ここでまたしても志賀が大森の脇腹にエルボー。このアシストを受けて、タモンズパワード成功。あわや、という場面で高山がカットに入ります。両チーム、よく粘る。ここで高山、遂に殺人ニーリフトを解禁、多聞の身体が腰から宙に浮く。志賀が入るがまたしても場外に……この試合だけで何度落ちているのだろうか。落ちるたびに休まず戻ってくるのは、スターネス時代とは確実に違っているところです。
ジャンピングネックブリーカーとバックドロップ、これも志賀のカットが間に合います。しかし高山がビッグブーツ、場外に蹴りだした直後に決めに入ります。これは流石熟練の呼吸。多聞を引き摺り起こして固定、走りこんできた大森が棒立ちの多聞に渾身のアックスボンバーを叩き込んでカバー。マットにめり込むかと思われた多聞、高山の壁に阻まれた志賀、二人ともそれ以上動くことは出来ませんでした。
とにかく志賀! 志賀! 志賀! しょっちゅう場外に叩き落される等の不安要素はつきませんが、ようやく気持ちがファイトにつながるようになってきました。男は守るもののために強くなるって本当だったんですね。元気を分けてもらう……って言葉はこの試合の志賀の為にある。堪能させてもらいました。
第七試合 秋山VS橋
とにかく橋! 橋! 橋!な試合。いわゆる教育マッチ、師弟対決ですが、ポイントは橋がどれだけ自分を出せるか。
試合前、握手に来た秋山の手に頭突き。注意するレフリーに「一礼しただけだよ」 相手の握手を払うシーンは良く見ますが、橋流になるとこれになるわけか。ゴング後、のっけから強烈な張り合い。橋も負けずに張り返すも、その後にさらに強烈な張り手が飛んできます。双方倒れないと見るや、壮絶なモンゴリアンチョップの打ち合い。開始僅か数分で二人の鎖骨あたりは真っ赤。秋山、徹底的に橋に付き合うつもりらしいです。志賀のように徹底的な潰し試合をするかと思ってましたが、橋の十を引き出して十二で仕留めるつもり。
串刺ニールキックからフェイスクラッシャーからの一連のムーブ、さらにはいきなり得意のゴリラーマンスープレックス。返されるや場外に叩き落してエプロンからダイビングヘッドバット。まさに全力。橋に出来る最高級のラッシュ。それをも余裕で受け続ける秋山。GHC最多防衛更新中は伊達ではありません。
それだけに反撃に転じると恐ろしいまでにえげつない攻めを見せる。まずは逆エビ。二人の後頭部がくっつきそうな反り具合。なんとかエスケープした橋が逆水平チョップ、そしてヘッドバット。それを自分の頭を差し出して受ける秋山。それだけではなく、橋の固い頭にヘッドバット。さすがにダメージを食らってましたが……これが秋山の愛情でしょうか。
橋、秋山の左足に照準を絞りヘッドバットを連発。そして足四の字固め。ところが「効いてないよ。もっと締めろ!」と師匠の一喝。まさか本当に痛くないはずはないんですけど。ロープに転がってエスケープ後、寝転びながら橋の頭を何度も蹴りつける。そしてロープへ、帰ってきたところにジャンピングニーが側頭部にヒット! ここから、サディスト秋山の本性がむくむくと。場外に転落した橋が、エプロンに上ると間髪いれずジャンピングニー。再び場外に叩き落すと、A席付近の入場通路まで引っ張っていって、リノリウムの床に叩きつける。さらにリングに戻してキャメルクラッチ。凄まじい反り具合ですが橋もギブアップしない。秋山の背中がマットにつくまで反り上げてもまだ耐える。会場一致の橋コールの中、一分ほど締め上げた秋山がカバー、しかしこれを橋は返す!
一体何が彼をここまで支えるのか。コーナーに振っておいての串刺のニールキック、フェイスクラッシャーはラリアットで返されますが、トップロープに昇った秋山にボディブローを入れ、雪崩式のブレンバスターを狙います。これを秋山、場外向けの雪崩式ブレンバスターで切り返そうとする。そんなの食らった死んでまうって。一瞬橋の身体浮いてヒヤリとしましたが、そこに秋山は張り手を飛ばし、トップロープから叩き落します。しかし橋はトップロープに舞い戻ってくる。再度トライ、遂に執念のブレンバスター成功。カウントは……2! すぐに先輩を引き起こしてヘッドバットの連打、連打、連打。この試合で橋が放ったヘッドバットはゆうに50発を超えているでしょう。膝から崩れ落ちる秋山をカバー、カウントは2。
橋、必至の猛攻。使い込んだ必殺技をここで投下。トップロープからのダイビングヘッドバットは肩口に命中。休まずに更にもう一発。これも肩口に。次の一撃はかわされましたが、すかさず引き起こしてゴリラーマンスープレックスに。ここで秋山が一瞬の隙をついてナガタロック2! これはロープが近くエスケープされましたが次の一手、両手を広げたミサイルキックは払われて落下、哀れ一人バックドロップ状態。そして秋山、再度ナガタロック2。いつレフリーが止めても、また橋がギブアップしても可笑しくない状態でしたが、橋は粘り続けます。遂に秋山が根負けしてカバーへ。そしてこれもカウント2で返す!
ゆらりと起き上がった橋に、秋山の串刺ジャンピングニー、間髪入れずノーザンライトスープレックス。これもカウント2。橋の全てを見届けた秋山の猛攻。それをことごとく返す橋に乾杯。満を持して放ったエクスプロイダーもカウント2。すかさず二発目、タイトル戦用の高角度のエクスプロイダー! 全てを出し切った橋への褒美のような容赦のない一撃でした。
試合後に金丸の肩を借りながら握手には応じたものの、自分の足では動けません。まさに玉砕。
第八試合 三沢・小川・佐野・丸藤VSベイダー・スコーピオ・モデスト・モーガン
シングル増やした皺寄せがもろに感じられるメイン。でも軍団抗争の形式が如実に感じられて中々よろし。全選手、お互いの大将の曲で入場。外人組が奇襲のフェイントをかけると、WAVEもやり返す。ただしこっちはマジ。乱闘のさなかに開始のゴング。
ただ向こうの大将ベイダーの機嫌は最高。序盤から万馬券でも当てたかのようなハイテンション。試合中もひっきりなしに声を出して煩いこと。丸藤、佐野あたりでは勢いは止められず。ソバットやスーパーキック、踏み台式のドロップキックをまともに食らってぴんぴんしております。ハンマーであっさりと蹴散らすと、三沢に入って来いとの合図。今のところベイダーの宿命のライバルと言える存在ですしね。ところがロープに飛ぶ時にエプロンのスコーピオに捕まります。エルボーで振りほどくと外人が一斉に入ってきてまた乱闘。その最中、件のベイダーがハンマー攻撃、ついでいきなりのリバーススプラッシュ。ベイダー早すぎます。
これを救出したのが丸藤。超滞空のミサイルキックのアシストを受けた三沢のスクールボーイ。タッチを受けたのはモデスト。フロッグスプラッシュを狙った三沢に倒立フランケン。しかし強引にそれを振りほどく社長。おいおい、ちゃんと受けてやれよ(笑)。ランニングエルボーで叩き潰すと丸藤へ。
外人組も負けてはいません。タッチを受けたスコーピオ、モデストのDDTのようなフィイスバスターからダイビングローリングギロチン! おお! ブル様がいるよ! えびぞりになる丸藤を引き起こすとロープに振り、ホイップ。完全に宙に浮いた状態から丸藤のウラカンラナ! 丸藤はいつも予想もつかないところで驚かせてくれますね。余勢を駆ってトップロープからムーンサルトアタック……しかしこれが裏目に出ました。避けられた時にいつも通り着地しようとしたようですが、足首を捻ったのかマット上にへたり込む丸藤。代わって佐野が入ったものの、丸藤はリング下で完全に戦闘不能。異常事態に会場に緊張が走ります。
いつの間にか外人組はモデストにタッチ。佐野がカベルナリアからサンダーファイアーパワーボムとしたところで小川にタッチ。ロック様がよくやる旋回式のDDT、足をかけての延髄斬りを食らったところでモーガンに。WAVEは早く試合を終らそうとしているのが良く解る。丸藤はいまだリング下で悶絶したまま。フィッシャーマンネックブリーカーを切り返してのネックブリーカーが決まったところで、三沢と佐野が飛び出します。カットを封印している最中に小川のバックドロップホールドが決まってカウント3。
試合後も会場は騒然としています。丸藤は遂に歩けないまま。マットを担架代わりに運び出されていきました。どう見てもただ捻っただけの怪我では無さそう。靭帯損傷か脱臼か、いずれにしても欠場は余儀なくされそう。今後のタイトルマッチはともかく、選手生命に関わるような怪我でないといいのですが。
(3/25-22:03 - No.4549)
まず上げられるのが若手の気合の入り具合。今回は特にベストバウトはあげてませんが、他の大会なら文句なしにベストバウトというハイレベルな試合が多かった。特に志賀・橋・ヨネにKENTAの頑張りは見事。他の選手を引っ張る展開が多く、もっさり軍団も気にならなかったのが大きいです。
そしてシングルが二試合あったこと。メインが8人タッグになったりしましたが、やはりプロレスの大きな楽しみの一つですからね。シングルにすることのみでテーマが出来る場合もあるし。選手数じゃどの団体でも負けないノアだから、いまだシングル未対決の選手も多いはず。
最近ノアを叩いてばかりでしたが、今回の興行は文句なしに100点満点。素直に面白かった。
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