2004年9月20日 ハッスル5
横浜アリーナ大会観戦記 |
観衆11096人
取り敢えず行ってきたハッスル5。二階は閉め切りの七割程度の入りだった。客は少ないけれど雰囲気は出来あがったいた。まあ、武道館で観たWWEに比べたらシニカルな客も多く、統率感が無いが個人的に辛かったのはやたらセンスが無い人に限って受け狙いの野次を飛ばす事だ。印象としてはIWA+DDTの客を集めたように思えた。
▽第1試合 ハッスル軍対高田モンスター軍7対7対抗戦(時間無制限1本)
カズ・ハヤシ○レオナルド・スパンキー 片エビ固め ザ・フライング・ヴァンパイア16世ザ・フライング・ヴァンパイア28世×
オープニングマッチとして行なわれたが、所々テクニカルな遣り取りがあるものの連続性が無く刹那の感嘆で終わってしまう。ただ思ったのはそういうテクニカルなスポット等よりかはハッスルに集まった客としては”穴”を欲していたのではないだろうか、突っ込みしてくださいと言わんばかりの穴を……。
笑いと技巧を巧く組み合わせれば良かったんだと思うが(ヴァンパイアはそれを狙った節のものが幾つか散見できたが)、それらが客の中で截然と別け隔てられる事なく曖昧になってしまったのが、スポットがいまいち盛り上がったかった要因であると思う。
こういう事は非常に不健康な傾向であるが、かといってファンにヴァンパイアという匿名性の強いレスラーが混ざっているような試合に勝負論に志向性を向けろというのは酷な話。
▽第2試合 ハッスル軍対高田モンスター軍7対7対抗戦(時間無制限1本)
川田利明×横井宏孝 エビ固め ザ・モンスターC○ マーク・コールマン
K!C!の遣り取りを観ていたら剛!で盛りあがったFMW@川崎球場とかIWA後楽園を思い出した。試合よりも試合前のスキットが良かった。試合は纏まりの無い稚拙なものだったがファンが勝手に作り上げたK!C!コールがあったお陰で多少は盛りあがったようだ。
▽第3試合 ハッスル軍対高田モンスター軍7対7対抗戦(時間無制限1本)○ハッスル仮面レッド ハッスル仮面ブルー 10分4秒 ハッスルウラカン・ラナ ザ・デビル・ピエロ1号×ザ・デビル・ピエロ2号
DDTのヒーローと被っているような気もするが……客的にはレッドという”穴”があったせいで微妙に盛りあがる。試合前のVで試合をする理由(取り敢えずお姉さんがモンスター軍に拉致されたのを救出する為)がわかったが露悪的にチープに仕上げ過ぎてあれで勝負論に肉付け出来たと思っていたら殆どビョーキ(80年代風)である。客からはレッド違うだろ?と突っ込まれているが毎回中身の人が都合により変わるのだろうか?確かに連携は少ないように思えた。
▽第4試合 ハッスル軍対高田モンスター軍7対7対抗戦(時間無制限1本)
×ザ・グレートサスケ 8分43秒 体固め ジャイアント・シルバ○
やっと匿名性の無い”唯一”の試合。途中のケブラーダ空かしは単にシルバがスポットを忘れた為か?途中暗転して白使が登場という仕掛けがあったが、いいアクセントになった。身体が大きいというのは矢張り貴重なものでシウバみたいなショッパイ人でもアリーナという大会場でも客にスポットの効用を伝えられるという利点がある。
▽第5試合 ハッスル軍対高田モンスター軍7対7対抗戦(時間無制限1本)金村キンタロー 田中将斗 ×坂田亘 11分40秒 横入り式エビ固め サイコ・ザ・デス○ ザ・ピラニアン・モンスターZ スペル・クレイジー
坂田が普通になってきたようになってきた。あのコシチュームだと佐々木貴のように見える。ただ良くなってきたといっても個性が抜けて普通に観れるようになってきたという意味で凡庸化とも言えるのだが。
三分過ぎに武器使用OK牧場というハードコアルールだったけど盛りあがらず。というか視点が三つに分裂している分見ている方が視線が定まらずテリー伊藤の如く眼球を動かさなければならない。この点野球やサッカーというのは球を中心に視点を定められる分観客の集中力をそこに収斂出来る分優れいると思う。スペクテータースポースポーツたるプロレスならばもうちょっと考えて欲しい。せめて本線の絡み合いがあって他の2視点は観ても観なくてもどうでもいい攻防を繰り広げているとか。
あと思ったのがモンスター軍の方は付け焼刃なのか試合になるとギミックが死んでいる。ハードコアマッチは出来るがそれを遂行するのに必死で、ギミックを駆使したスポット等が殆ど皆無である。サイコは入場時にだけそのエキセントリックな動きの片鱗が見られただけだ。ただでさえ勝敗の重みが希薄であるのだからせめてキャラで楽しませて欲しい。
▽第6試合 ハッスル軍対高田モンスター軍7対7対抗戦(時間無制限1本)
長州力○ハッスルRIKISHI 9分36秒 体固め ダン・ボビッシュ O・YA・JI・GA・RI×
恐るべき長州人気。こんなんだと本人が勘違いしても当然だと思う。試合はタッグマッチというよりかは、力VSオヤジとボビVSRIKISHIの二つのシングル戦が行なわれているような感じで、外人嫌いらしい長州シフトだった。注目のスティンクフェイスは試合中に出ず試合後に島田が食らっていたが矢張り試合のスポットとして未遂はあったけど挟まなければいけなかっただろう。DSEも安生かボビッシュどちらかを捻じ伏せるぐらいの強引さあればもう一寸試合内容が増しになると思う。
▽第7試合 ハッスル軍対高田モンスター軍7対7対抗戦(時間無制限1本)
○ジュードー・オー 5分4秒 片エビ固め ロシアン54×
この試合は54秒で終わったと言ってもいい。あとはお遊戯である。小川が54秒を凌げるか否かというスポットでこの試合が見せれる事は無くなってしまったのだ。逆に小川が54秒で極めるという手もあったと思うが、如何せんアリーナのメインという事で54秒終了は難しかったんだろう。残念!。
試合時間は5分4秒だったが途轍も無く長く感じた。こんなメインは格闘技タレントのボブ・サップさんとK-1のアーネスト・ホーストさんのレッスル1東京ドーム以来だ。まあ或る意味では貴重なもん見せてもらったとは思う。中々ここまで稚拙な試合は滅多にはお目にはかかれない。
試合後は高田総統等が出てきて長州等と中途半端な乱闘騒ぎ。長州が花道じゃない所から出てきたのは多分1・4ドームのパロディーだろう。その細かい演出は個人的にツボだった。☆総括
ハッスルで思ったのは矢張り勝敗の重みはなんだかんだ言って大切だという事だ。繰り返しになるがその場凌ぎの匿名性の高いレスラーに対して勝敗に対する興味が出てくる筈が無い。勿論その匿名性の高いレスラーがいなければ巧く循環していかない事情もあるんだろう。かといってセミのように匿名性の低い試合になるとその矜持が邪魔してと呉越同舟的な感じになり、内容的にもレベルの低い双方が傷つかない表面的な争そいで終わってしまうというジレンマがある。その点DSEが解決できればハッスルはハード面ソフト面両方充実しオーバーしていくのではないだろうか。